当日は抜けるような青空でした。白川郷はどぶろく祭りで有名ですが、蟻原代表によれば今年は会期中一度も雨が降らなかったとのこと。我々のトレッキングにも絶好の条件でした。
まずトレッキング前に、今回の行程での注意事項をお聞きしたあと、全員で準備体操をしました。怪我無く無事に行程を終えるためには丁寧な準備体操が欠かせません。
今回の目的地である「しらいとの滝」付近は平瀬温泉の源泉の近くでもあります。蟻原代表から、昔の湯治客は湯治場まで何キロも歩いて行ったそうで、そのための道も険しい岸壁に沿って作られていたことをお聞きしました。
歩き始めて最初の難関は渡渉です。水温は12〜13℃くらいとのこと。流れが急なので渡りきる前に足がしびれて感覚がなくなります。ガイドの蟻原代表のサポートで一人ずつ足下を確かめながら渡りました。
渡りきったあとはドロノキの林を抜けて藪に入ります。しばらく悪戦苦闘したあとで、渓流沿いの道をあがって特製のお弁当をおいしくいただきました。渓流沿いはひんやりとしています。入れていただいた珈琲を飲みながら静かなひとときを過ごしました。
そしてコースの途中で蟻原代表おすすめのブナの木に出会いました。芽生えた2本のブナが寄り添いながら大木に成長した姿を眺めると元気をもらえる、参加者の方には必ず紹介しているとのこと。すらりとした姿は確かに雰囲気があります。
最後に「しらいとの滝」にたどり着いた時には心地よい疲労感と達成感でした。
今回歩かせていただいたコースはまだ開発途中で未整備部分も含んでいましたが、行程が終わってみると、ガイドの蟻原代表のリードでそういった難所を感じさせない行程であったように思います。途中足がつってしまった学生やカメラを流してしまった人もいましたが、そのたびに的確に対応していただき、安心して歩くことができました。歩きの行程やコース、時間配分、参加者の体調などすべてガイド任せで歩くことができるため、周りの自然に目を向けるゆとりが生まれ、いつもの山歩きとは違って深く自然に集中することができたと思います。
今回歩かせていただいた場所は、環境省の指定する白山国立公園内の特別保護区域内であり、最も厳しい規制がかかっています。そのような場所であっても、森林空間そのものを観光資源として活用する今回のような試みが成功すれば、地域の振興と自然の保全をよいバランスで両立できるのではないかと思いました。そのためには環境負荷をいかに抑えるか、持続可能であるための収益性の確保、などの仕組みが必要であるとも感じました。
秋晴れの一日に、講師およびガイドを勤めていただいた白山白川郷トレイルクラブの蟻原代表、どうもありがとうございました。
嵯峨・柳沢