『森林情報』で郡上森林組合のGIS活用を学ぶ
クリエーター科林業再生講座1年生が学ぶ『森林情報』、ここでは一般の森林GISに加え、
森林組合が利用するGIS、行政型GIS、試験場型GISについて学びます。
本日は初日、最初に森林文化アカデミーの情報処理室で、JIRIが森林GISについて演習と
講義をし、実際に岐阜県域統合型GISを利用して、地質や断層を見たり、集約化用のデータで
演習林周辺を見てみました。
情報処理室のパソコンでは公開型GIS操作だけでなく、ArcGISやQ-GIS、カシミールなど
も常時利用できるようになっています。
午後からは郡上森林組合で、原雅人さんによる森林GIS利用の説明です。原さんは岐阜県下
の森林組合職員の中でもGISに最も精通した一人。
原さんから郡上森林組合はどのような組織であるかの講義から、組合におけるGISやGPSの
活用についてご説明して頂いた。
郡上には92000haの森林があり、そのうち約90000haが民有林、森林組合の総人員は102名
事業の中核を占める間伐事業はH22年は2432haも実施していたが、補助制度の変更などに
より、H26年には968haに減少、また南部地域を中心にニホンジカの食害にも遭い、H26年は
獣害対策も37ha実施した。
組合として県から森林簿の貸与を受け、データ処理しており、事例として見せて頂いた郡上市
大和町を例に取ると、大和町には260の林班、942の準林班、23938の小班がある。
これらを施業管理し、データ蓄積するためにファルコンのGISやArcGIS、Q-GIS、アクセスのGIS
などを駆使している現状を説明して下さった。
所有界と確定と施業地の確定の違いも、事例を挙げて説明された。
郡上森林組合でのGIS利用は、① 施業集約化のための資料づくり
② 間伐履歴の管理のため
③ 作業路計画・搬出計画づくり
④ 測量データ集計・補助申請書類づくり
⑤ 境界データの管理
実際に施業集約化では、GIS技術を利用して、どのような資料を作成するのか?
現物を見ながら、学校で学べない補助金制度のルールも学ぶ。
郡上森林組合で利用していたデファレンシャルGPSや、現在利用しているGISデータロガー
そしてデジタルコンパス・レンジファインダーについても、その特質について説明をしてもらった。
学生たちも、実際の機材を装備して疑似体験、「これを持って森林内を歩くのは容易か?」など
考えながら、実際のデータ集約を考える。
データの間違いがどのように発生するかの説明もして下さった。
下の図でCのようなデータなら良く、Bならダメなのはよく分かる。しかし、現実にAのような
場合もある。これが問題なのだ。
上記のような問題データが発生した事例をもとに、X軸とY軸方向での較差を見ると2mとか
5mとかのズレが発生。
衛星を6つ関知して測定しているが、測定場所が「谷底」であるため、これほどの誤差が出る。
森林組合で利用されている実際のデータを使ってのお話、本当に判りやすかったです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。