2011年10月15日土曜日

こんなん咲いてました86

今日はまるで梅雨時のような雨が降っています。この雨が過ぎると、
いよいよ大陸の高気圧に覆われてカラリと晴れるのだと思うと、私
だけかもしれませんが、心がウキウキしてきます。

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さて、湿地に行くと、ときに群生している花があります。近づくと
よくわかる頭状の花序は、まるで金平糖のようです。これはタデ科
タデ属の植物で、ミゾソバといいます。たしかにタデ科の植物であ
るソバに、葉や花がよく似ていますね。また、水の側に生えている
ので「水そば→ミゾソバ」のような気もしますが、気のせいです。
名前を語呂合わせで覚える人には役立つかもしれませんが、本気で
覚えないで下さいね。ミゾソバの別名を「ウシノヒタイ」といいま
すが、葉がウシの顔に似るからのようです。けして「牛の屍体」で
はありません。

それはさておき、この植物は閉鎖花といって、開かない花をつけま
す。ラッカセイがつける実が閉鎖花についた実ですね。閉鎖花をみ
ると、花こそ開きませんが、ちゃんと花弁が見えています。この花
は下向きに伸びて地面に潜り、ふつうの花よりも大きな実をつける
そうです。

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閉鎖花はその名のとおり閉鎖していますので、当然昆虫に花粉を運
んでもらうことができません。と、いうことは、自分の花粉が自分
の雌しべにつきますから、近親交配が起きてしまいます。植物の花
は近親交配が起きないように、ありとあらゆる工夫を凝らしている
というのに、このようなことでいいのでしょうか?

実は、この花のつけかたは、ミゾソバの生育環境(→溝のそば=水
の近く)・生活の仕方と関係があります。ミゾソバは1年草ですの
で、花が咲いたら植物体は枯れてしまいます。増水したときに、種
子が流される環境では、作った種子を遠くに運んでもらえる反面、
根株が残らないので種子が流されるとせっかくの湿地環境にとどま
ることができないかもしれません。

そこで枯れる前に地中に種子を埋め込んでおけば、来年も同じ場所
で確実に花を咲かせることができるのです。環境が大きく変わらな
いのであれば、自殖でできた種子から生まれた、親とよく似た性質
を持つ子孫は逆に生育に有利かもしれません。

湿地にウジャウジャと生えるミゾソバですが、案外策士ですね・・・。