��教育や研究についての思い、メッセージ。)
木造建築講座とエンジニア科の学生に、木材の加工、利用全般を指導しています。木造建築講座は、地域の木材を使用して、地域で木造建築の設計や施工分野で活躍しようとする意欲のある人が集います。その人にとっては、まずは地域の木材を正確に知ることが重要です。建築を学ぶ学部は多くあれど、学校では木造建築の授業はなく、木材の正確な知識は得られないというのが現状です。そこで木材の知識、経験は仕事をしながら覚えていくというのが従来の流れでした。しかしながら仕事をしながらの知識は、人の木への想いが先行しすぎていたり、信仰じみた知識が横行していて、消費者に対しより正確な情報を伝えるのが困難なのが現状です。
いま木造建築の現場では、材料にも変化があります。同じ国産材とはいっても加工(乾燥)方法により、その性能や性質がまったく違ってきます。消費者に対しより正確な地域材の情報を流し、期待される消費者の動向にしっかり応え、部材の選択ができる設計、施工者が求められます。そんな、やる気ある学生達と出会えるのを、毎年楽しみにしています。
��経歴、受賞歴等)
1954年、愛知県出身。1976年、信州大学農学部を卒業後、岐阜県に入庁。県庁、高山で公共事業従事。1981年、美濃市林業センター(現森林研究所)に配属となり、木材の研究に入る。木材全般を業務とするが、主に木材乾燥を中心に研究し、当時建築用材としての人工乾燥が始まるころ、東濃地域における除湿乾燥装置の技術普及に努めた。その後木質構造の接合部研究などを経験し、2002年森林文化アカデミーに配属。高温乾燥が主流となって再度乾燥を中心に研究、技術普及に努めている。CO2排出問題の解決や持続的な木材産業を維持する上からも、天然乾燥に主軸をおく乾燥システムを模索している。
��研究、論文、著書、作品など)
・割れている木は強い。消費者からクレームとなるこの現象の真実は・・・。多くの実験データから解き明かした真実を解説する。
・割れない乾燥の技術を理解するには木材内部の力を可視化すること。高温乾燥時に利用されるドライングセットの効果を調べている。この結果から見えたこと、木の乾燥のポイントを学生の皆さんにお教えする。
・考案した全国・全世界唯一の針葉樹広葉樹の含水率モデル。含水率という乾燥の基本を数式ではなく、概念で理解することで、一生使えるものとなる。
・木造建築接合部の強度はなにで決まるのか。学生自身が考案した接合部試験で、接合部の強度性能の本質を理解し、それを開発している金物メーカーの裏技までも理解できる。
・授業では山から伐採・搬出した丸太を台車で製材する場面がある。富田の授業では、製材機で製材の現場を体験し、実際の住宅づくりまで各工程を見ることが可能。