2012年2月10日金曜日

林業普及活動実績発表&森林研究所研究成果発表会 in 森林文化アカデミー

森林文化アカデミーの森の情報センターで

平成23年度 林業普及活動実績発表大会&森林研究所研究成果発表会」 が開催されました。

これは岐阜県林政部職員の中で普及員として活動する人の中から、4ブロックの普及員取り組んできた普及活動実績についての発表と特別発表の5つ。
それに岐阜県森林研究所の研究員による研究成果発表の2つを加えて、発表会が開催されました。

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普及活動実績は 1.岐阜西濃ブロックから「集約化実施計画の推進について」
2.中濃ブロックから「中濃地区における利用間伐推進の取組」
3.東濃ブロックから「付知町の森林施業集約化の推進」
4.飛騨ブロックから「下呂地域における集約化推進」
特別発表「製材工場が求める原木の品質・性能について」

上記の1~4のうち、谷口嘉靖普及員の「付知町の森林施業集約化の推進」が取り組み事例として評価されました。

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特別発表は森林整備課の中通実さんによる「製材工場が求める原木の品質・性能について」で、製材品にあらわれるアテによる曲がりや黒芯、スギノアカネトラカミキリ被害、木材の強度を示すヤング係数などについて話がありました。

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例えば、多くの丸太が3m、4mか6mで採材されていますが、木造建築の梁桁材をメインに製材している製材工場では、4m材が50%以上を占め、なおかつ6m材よりも5m材の方が多く利用されています。つまり6m材を買って5mに切っているのです。


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また元玉で、年輪が詰まった太い木が強いと思われがちですが、元玉は思ったよりも強度が低く、目安としている「E70」をクリアできるものが少ないのが現状とのこと。

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そして「川下側から提案する山づくり」を紹介してくれました。

原木の品質・性能から考えた山づくり、梁桁材利用ならヤング係数が高くないと利用されない。森林上方を管理して特注材にも応えられる木材安定供給体制の確保などを提案されました。


続く、森林研究所の発表では

森林資源部の臼田寿生さんが「路網開設による濁水流出の防止対策」について発表されました。
これは作業路を開設するとどうしても渓流に濁水が発生します。これをいかに最小限に食い止めるかが課題であり、そのための研究成果が発表されたのです。
作業路の路面にこまめに横断溝を入れることが重要ですが、その集水域に沈砂地を設置すると、下流域にまで及んでいた濁水が早く無くなるそうです。

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また、路面の濁水が林内に流入する場合、林床の枝葉や植生が「緩衝林帯」として働くそうで、その緩衝林帯の巾を推測した結果、100あれば濁水が下流に及ぶのを軽減できるようです。

森林環境部の大橋章博さんの「被害木を薪にしてナラ枯れを防ぐ」では、カシノナガキクイムシによって枯損したコナラを、枯れた年度内に伐採して割り、薪にすることでどれほど防除できるのか調査したものでした。

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これまでの方法は薬剤処理以外は、細かなチップにすることだけでしたが、薪として利用できれば、エネルギー利用としても価値があります。

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丸太を枯損した翌年の4月上旬までに薪に割材するだけで、カシノナガキクイムシの90%以上を駆除することができことも分かったそうです。

今回の発表も大変勉強になりました。 以上、ジリこと川尻の報告でした。