2012年11月16日金曜日

提案型集約化施業のための 第14回施業プランナー 育成研修 日吉町森林組合に学ぶ

提案型集約化施業のための施業プランナー研修
 その第14回施業プランナー 育成研修を開催しました。

 今回は提案型施業の先駆者である日吉町森林組合から小林耕二郎 事業課長さんをお招き
して、日吉町森林組合でのこれまでの取り組みの紹介を通して、工程管理やプランナーの役割
機械化の問題などを掘り下げました。


小林さんは
  1.地域と森林組合の概要
  2.提案型施業に取り組むまでの森林組合
  3.提案型施業着手時の森林組合
  4. 提案型集約化施業の本格始動
  5.複雑化する現場作業
  6.重要な工程管理と視える化
  7.提案型集約化はプランナーが要
  8.森林組合の機械化の推移      などを説明され、順次質疑応答の形態で研修を実施。



 過去の経緯で重要だったのは、森林所有者の経済的社会的地位の向上などを目指す森林組合
が、自ら汗水流して営業を行い、仕事を生み出せていければ公共事業に頼らなくても事業を継続
していけることに気づいたこと。

 しかし、所有者との信頼関係がなければ仕事ができない現実にも直面。



 所有者にとっては、いかに目の前の山がきれいになり、お金が返ってくることが重要。





 森林所有者に提示する見積書は
  1)施業内容を明示した見積書は必須
  2)所有者自身が自分の山がどうなって、結果としていくらの費用がかかるかが重要
  3)施業内容と金額を明示することで、森林組合にも責任が発生
  4)見積金額を決める上で日報が重要

 保育施業だけだった時には、1つの現場で1つの施ぎょを実施するのみ、よって現場の工程管理
は必要とならない。
 利用間伐は1つの現場で、複数の施業が行われるため現場が複雑になり、工程管理が需要とな
ってくる。


 小林課長さんの言葉は、すべてが生きた言葉でした。

 日吉町森林組合では、いつ、だれが見ても理解できるように、事業全体の流れ、事業観の流れ、
現場内の進捗状況を視える化している。

  「現場の職員が、工程管理を視える化することの重要性に気づかないと、実施するのは無理」
  「その重要性を現場の人に気づかせるのもプランナーの仕事


 工程管理や情報をホワイトボードに貼ったり、書いたりしているだけではダメ!
   視て、解って、問題を発見できて、改善できなければ意味がない!

 

  現場の工程管理や日報の管理は重要であるが、事務所の管理はそれ以上に重要。
特に、プランナーの工程管理が一番重要と言っても過言でない。



 
 プランナーは一般企業で言えば、営業と設計。営業が段取りよく仕事を創り出せないと、現場の
工程管理も意味が無くなる。設計が悪いと現場が混乱する。



 「提案型集約化はプランナーが要」
 ・お客様(森林所有者)からすれば最初から最後まで接するのはプランナー。
 ・お客様に伝えるのも、現場技術者に仕事を伝えるのもプランナーの仕事。
 ・お客様に完了現場を引き渡す前にチェックするのもプランナーの仕事、やり直しもある。
         → だからプランナーは責任重大

 これまで、様々な改良をしてきたが、路網についてみてみると、最も変わったのは
                 平坦路面から屋根型路面への変更




 午後からは、森林文化アカデミーの演習林で、実際の林分を目の前にさまざまな質問を交わす。

 間伐に際しては、
   1.残存木をまず選ぶ。
   2.ヒノキは間伐後に樹冠が閉鎖し易いので、間伐し過ぎかと感じるくらい間伐すべき。
   3.プランをつくるための選木はするが、間伐を指示するための選木はしない。
   4.レーザーコンパスをつかって半径8mの円形プロットを連続して2つとる。
   5.立木が根張りを見る。・・・・・などなど、つぎつぎと現場の見方を伝授して下さいました。


 岩が崩れて堆積し、移動する可能性がある「崖錐(がいすい)」では、崖錐の見分け方や道づくり
でのポイントについても、ワンポイントアドバイス。
 ホィールタイプの機械を使うようになると、路網の補修が少なくなったこと。
山林所有者が、いつでも軽トラックで山に行けるような状態に保つことも重要と話されました。

 
 最後に失敗事例の紹介をお願いして、現場での意思疎通がうまくいかなかった造材事例などに
ついてもご紹介いただき、大変勉強になったのです。

 今回は京都から遠路、ご指導に来て下さった小林耕二郎 事業課長さん、本当に有り難う御座い
ました。
 研修生の皆さん、今回の小林課長さんから言葉を忘れず、立派なプランナーを目指しましょう。

以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。