2012年11月13日火曜日

クリ科林業再生「作業道の濁水対策」

クリエーター科・林業再生講座1年の授業です。

作業道開設における環境負荷について,
森林研究所の臼田研究員に授業を担当して頂きました。


まず「環境負荷」を言葉を
「すべての生物を取り巻く周囲へのマイナスの影響」と定義すると,
路網整備においては,以下の事象を挙げることができます。

「水質汚濁」⇒ 主に濁水による水生生物への影響
「生育環境の変化」 ⇒ 道による行動圏の分断,外来種の侵入

なかでも,作業道の整備が進められる中,「濁水の発生」による
被害が懸念されています。

濁水の発生は,水生生物の生育に悪影響を及ぼすばかりか,
飲料水の取水場に流れ込むことで,取水停止に陥る可能性もあります。
取水停止になると,地域住民との関係悪化にもつながりかねません。

下の写真は濁度の異なるペットボトルです。







左のペットボトルが濁度20度,右のペットボトルが水道水で濁度が0.4度になります。
遠目では左も透明に見えますが,微細な粒子が浮遊しているのが見えます。

基準値は場所によって異なりますが,
濁度が20度に達すると,取水停止になるように定めている箇所があるとのことです。


濁水は特に路網開設直後に発生しやすく,
それを防ぐためには,

・路面に枝葉を敷く
・横断排水箇所の先に沈砂池を設ける
・濁水ろ過に必要な緩衝林帯を設ける

などが有効です。

ただし,林地への排水に当たっては,
急傾斜地,表土が流亡している箇所,落葉の層が少ない箇所
は避けるべきとのことです。

美濃市の現場に移動し,現地での研修も行いました。

これは,切土面に設置した多機能シートです。
シートの周辺は凍み崩れにより路面に土が溜まっているのが分かりますが,
シート部分は崩れはありませんでした。



今後,いろいろな道を見ながら,道の線形の入れ方から,耐久性のある道作りに適した
施工方法まで,授業を通して検討していきたいと思います。