2013年6月21日金曜日

根羽村のトータル林業視察

前回の機械操作演習に引き続き,
岐阜森林文化アカデミーと長野林業大学校の交流授業として,
根羽村の視察を行いました。

アカデミーは,エンジニア科2年とクリエーター科2年の林業再生講座が参加しています。

初日は雨だったので,室内で今村参事より組合の紹介です。
組合のキーワードは「トータル林業」です。





一次産業である木材生産
二次産業である木材加工
三次産業である販売・利用

をトータルで行っています。今,さかんに言われている
6次産業化を既に実践している地域です。

この「トータル林業」を村がバックアップしており,
「村と森林組合が一体となって林業のすべてをやる 」
ということで,地域ぐるみで林業を盛り上げています。

説明の後,製材所とモデル住宅を見学させていただきました。


製材所では,工務店からの注文を受けて製材を行う,
受注生産を行っています。

またJAS認定工場でグレーディングマシンによる含水率・強度検査を
行っております。

これまで,根羽村森林組合では複合施設「ネバーランド」の建築をきっかけに
工務店とのつながりを強め,ニーズに応えた生産を行ってきました。

H18年には長野県建築士会にも入会して,根羽スギ・ヒノキのPRを行いました。
通常,素材提供側が建築士会に入るということはないので,
顧客のニーズを掴み取ろうという姿勢の強さが現れています。

組合の近くにあるモデル住宅です。
ここに住みたい!という声が上がっていました。



設計図面が出来上がると,調達する木材の量を割り出す「木拾い」という
作業があるのですが,それを工務店向けのサービスとして,
組合で行っています。組合にとっても生産数量が把握できるため,
一挙両得というわけです。

このサービスが工務店の間で口コミで広がり,顧客の獲得につながっています。

組合では,「森林所有者」「建築士,工務店」「根羽村を訪れる人」
を顧客と捉え,顧客の満足を高めることを大事にしています。

森林組合でここまで顧客との結びつきを
考えているのは,めずらしい事例かもしれません。


翌日はタワーヤーダを使った木材生産の現場を
見学しました。

集材方式としては,ハイリード式での集材や,
タワーヤーダと自走式搬器を組み合わせた集材方法を用いていました。




これまでの授業でタワーヤーダ集材を見学する機会は
無かったので,とても参考になったと思います。

作業はまだまだ未熟だが,森林組合の作業を見学して,
列状間伐の問題点や架線集材の課題などを考える
きっかけになってくれたらよい。

という今村参事のことばが印象的でした。

プロセッサのオペレーターは女性の方でした。
タワーヤーダのオペレータ含め,とても活気のある方々で
生き生きとした職場の雰囲気を感じることができました。



今村参事には,技術者一人一人がミッションを立てているというお話や
Iターンで来て地域に溶け込む心構えなど,仕事のモチベーションの維持や
若者を定着させる取り組みについても教えていただきました。

他にもいろいろなことを教えていただき。
充実した2日間になりました。


根羽村森林組合を去ったあと,
ネバーランドに行き,「鹿カレー」を頂きました。

フレンチシェフが地元で取れたシカやイノシシを
調理してふるまっており,夜はコース料理があるなど
人気のお店です。


そのシェフがアカデミーと長野林大生のために,
地元の食材を使ったジビエ料理のミニ講義を
して頂きました。


ジビエ料理というと有害駆除で捕獲した
鳥獣をなんとか工夫して食べれるようにするという
イメージがありますが,

本来は,食材として鳥獣を捕獲し,おいしく料理するということで,
フランスでは食材が豊富な山の中に,三ツ星のレストランがあるそうです。

根羽村でもシカ肉をおいしく頂くため,ワナで捕獲したシカを,
すぐにレストラン近くの解体場まで持ってきます。

これが解体場です。

ここでは鳥獣を獲ってから,30分以内で運んできます。

名古屋や東京のホテルから,シカ肉の注文が来ていますが,
すべて対応しきれいないほど要望があるそうです。

鮮度を維持したり,肉の歩留まりを上げたり,
先方が喜ぶことをサービスすることで顧客の獲得に
つなげているそうです。

さきの根羽村森林組合で聞いたお話と同じで,
顧客の満足度を上げるということが大事ですね。

シェフの桒原様ありがとうございました。

下の写真は二日目の朝訪れた月瀬の大杉での記念写真です。
樹齢は1800年とのことです。

二日間でしたが,長野と岐阜で交流することができました。
長野林大,アカデミーの皆様お疲れ様でした。