林業再生講座の 「 木材の流通と販売戦略 」
第3回目の「木材の流通と販売戦略」、今回は岐阜県森林組合連合会、岐阜木材ネットワーク
センター所長の松尾さん、東海木材相互市場サテライト美並の小森さん、本庄工業社長の中川
さんを講師に、様々な流通の現状を探りました。
最初は松尾さんから
(1)森林・林業・木材産業の動向 (2)需要があって供給がある (3)競争と協働
(4)岐阜県森連のシステム販売 (5)人材育成と研修の継続
についてお話しを頂きました。
ここではシステム販売に特化して、ブログ表記します。
松尾さんいわく、システム販売の3つのキーワードは
①山から製材への直送、 ②定価販売、 ③欲される木材を納材する です。
上の写真は平成17年からシステム販売を実施してきた岐阜県森連の収益の変動です。
平成24年度の総収益が減っているのは、木材の取扱量が供給過多となって低落したことと、
C材の取扱量が増えたため、木材販売価格が13%落ち込んだことによります。
下の写真の赤色はシステム販売の取扱量で、平成24年度にはシステム販売約13万3000m3、
共販も含めると約19万2000m3取り扱っておられます。
システム販売は四半期毎に価格を決めて、定価販売しており、かつ山土場で木材を仕分ける
森林評価測定士を育成していることが販売拡大の鍵を握っています。
また、木材を入荷した側が丸太の検品に時間を要しているため、速測デジというソフト開発をし、
デジカメで撮影した画像から検品できるようにされたそうです。
午後からは長良川沿いの郡上市美並町になる東海木材相互市場のサテライト美並、
ここでは現場主任も兼務される小森さんから、丸太の検品や丸太の取り扱い方などについて
お話をお聞きしました。
東海木材系列の会社は、複式市場で3つの役割分担に分けられます。
1つは木材を山から集めてくる9軒の浜問屋、1つは市場でグラップル操作などをする東海木材作
業、そして1つが木材を販売する東海木材相互市場です。
ここでは年間約2万m3の丸太を取り扱い、在庫は常時約1000m3、取り扱いは85%がスギ、15%
がヒノキです。
木材は荷主や個人などから入荷し、競り売りする①別品材、中間土場選木する製材工場向けの
②A材、③2A材、集成材工場用の④B材、合板工場用の⑤2B材、チップ工場やバイオマス用の
⑥C材に、一本一本検品仕分けします。
一日に約120m3の検品をされるそうです。
A材と2A材はトレーサビリティのためのQRコード管理がなされています。これでクレーム対応も
迅速にできるのです。
また最近では広葉樹の薪も300m3ほど取り扱われ、一年間乾燥させたものを段ボール箱に入れ
て、一箱着払い2800円で販売されています。
こちらの薪販売は需要に供給が追いつかないほど好評とのことです。
最後に、「郡上の山の未来を支える製材工場 ー 木材を通した地域貢献」を実践されている
本庄工業の中川社長さんから、地域材を生かした製材や乾燥などについてお話しを頂きました。
ここには一度に2面を製材できるツインバンドソーと注文材を製材できる送材車(台車)があるの
で、それぞれの利用方法、利点などを見せて頂きました。
台車では垂木材や梁桁材を製材されていました。木取り方法や部材の利用方法について、
勉強することができました。
このほか、どのような丸太でも皮むきできるバーカーや、過熱蒸気式木材乾燥システム(S-ドラ
イ)などについてもご教示頂き、木材利用上でのKD材の重要さを学んだのです。
また、グリーン材やKD材の暴露試験も見せて頂き、改めてKD材の重要性を感じたのです。
今日は「ぎふ性能表示材」のための含水率チェックと曲げヤング係数測定をされていました。
木材が安心して利用してもらうための性能表示や産地証明の重要さを感じたのです。
他にも、長良杉を利用したJ-パネルについてもご教示頂き、小径木の利用方法についても示唆
して下さいました。
今回も盛りだくさんな内容、みなさま有り難う御座いました。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。