「施業提案のための目標林型をどう見定めるか」
施業プランナー育成研修 第3回
森林文化アカデミーの施業プランナー研修 第3回目を開催しました。
今回の研修内容は、 1.目標林型の設定と間伐
2.森林状況の把握と林分調査
3.現況調査 です。
今回の講師は森林文化アカデミー横井教授と森林研究所大洞専門研究員、それに下野技術
課長補佐とJIRIこと川尻がサポートです。
最初に横井さんから、「目標設定で考える要素」について講義
●所有者の意向 ●地域社会の以降 ●地況・地利
●市況・社会情勢・経済動向
●林分の現況(樹種構成・林分構造、リンボクの形状・形質、被害の有無)
特に、林分の現況は重要
なぜなら、履歴を反映した林型・樹型になっている。
→ 今後はなるようにしかならないが、その中で何ができるか?
到達可能な林型が予測できる。将来像である目標林型を描く。
60年生以上のヒノキ林の調査データから見ると、直径に影響するのは林齢より密度。
当然、同じ樹高であっても、本数密度が込んでいれば直径は細く、密度が粗なら太い。
樹齢86~98年生のヒノキ250本の胸高直径と樹高、枝下高を見ると、
下の写真のように、胸高直径はバラバラになる。
将来性を見る上での2つのポイントは、
1.現在、どれだけ枝が枯れあがっているか。樹冠の大きさ、長さ。
2.将来、今後どれだけ樹高が高くなるのか。樹高の伸びしろ。
あるスギ林の将来予測を考える。
48年生のスギ林と32年生のスギ林の比較をしてみます。
下の写真の濃い緑の樹冠が48年生、淡緑が32年生のスギ林の現状と将来予測。
つまり、何が重要なのかわかりますか・・・・・?
さて、どうして森林の現況調査が必要か判りますか?
第一に、現在、どんあ木が、どのくらい生えているのか把握するのは当然です。
施業を提案するには、 (1)どんな木を伐るか、 (2)どれくらい伐れば良いか
→ 収益はどれほどか?
どんな山にできるのか(どんな山をつくるか)
山づくりの哲学が必要なのです。
林分調査に入る前に、森林研究所の大洞さんに、距離測定、樹高測定のためのバーテックス
の操作や林分調査のポイントをお聞きしました。
研修受講者の経験は、森林組合のベテラン職員から新規参入の建設業の人までと様々。
研修者は4~5人が1グループとなって、調査と施業提案づくりを実施します。
牛方式ポケットコンパスやバーテックスを使って、2区画の測量を実施します。
1つは補助金のい検査などでよく用いられる100m2、もう1つは400m2の区画です。
写真のグループは、調査対象森林の斜面上下での立地差をなくす目的で、横に10m、斜面の上下
方向は水平距離で40mの区画をとりました。
調査をすると、やはり100m2では区画のとり方によって、大きな誤差が出ることが判りました。
予想だにしなかった結果に納得しつつ、下山に至ったのです。
さて、自分たちが測定してきた林分調査データをもとに施業提案をする前に、再度講義です。
樹冠幅と胸高直径の関係を見るとどうか。
現場林分のデータから、相関係数は0.87と0.80と高い相関が見られれます。つまり、材積を
稼ぐには樹冠幅を充分とる間伐が重要なことが判ります。
横井さんは樹冠長や樹冠幅と胸高断面積成長の関係についても、再度説明されました。
生長量を稼ぐための樹冠がいかに重要なのか?
→ 光合成をする樹冠のコントロールを考えた間伐、林分管理が重要なのです。
さて、これからグループ毎で、調査してきた林分の目標林型(生産目標)を考えます。
1.間伐すべきか、しなくて良いか?
2.間伐木を選ぶか、残す木を選ぶか、その両方か。
3.間伐計画はどうする?
4.主伐はどう考える(直径は、伐期齢、目標林型)。
5.更新計画はどうする。
さて、この結果については次回、現場に行ってグループ発表です。
どのような施業提案が飛び出すか楽しみです。 みなさん、ご苦労様でした。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。