2013年6月21日金曜日

たらの芽、出てきました!


と聞くと、なんて季節外れな!と思うかもしれません。

クリエーター科の山村づくり講座と林業再生講座の2年生の授業で「有用植物実習」というのがあり、山菜や薬用植物などの特用林産物について学んでいます。特用林差物というと経済的にはきのこ類のシェアが大きいのですが、きのこについては別の授業で学ぶ機会があるため、この授業では主に山村地域で利用されている有用な植物に絞っています。

この授業についてちょっと振り返ってみますと、4月の最初の実習では、アカデミー周辺に生えている様々な山菜類を採取して食味評価する(要するに採って食べる)ことを行いました。およそ30種類の植物を採って食べました。


これまでに野生のものを食べるということに親しんでいない学生にとっては貴重な経験となったようです。フジの花が意外においしいなど新たな発見もありました。


5月にはタラノキ、クサソテツの増殖試験を行いました。タラノキは言うまでもなく、春先に出てくる新芽が「たらの芽」と称されて売られています。またクサソテツはシダ類の一種で、やはり春先の新芽が「こごみ」と称されて売られています。それぞれ種子や胞子でも増やすことができるのですが、それだと収穫までに時間がかかるため、根やランナー(走出枝)を切り分けて植え付ける方法が広くなされています。根を切り分ける場合は「分根法」、ランナーの場合は「ランナー増殖法」などといいます。いずれも植物体の一部分を植え付けて、そこから再生させる方法で、いわゆるクローン苗が得られます。最初から比較的大きい苗が得られるため収穫までの時間を短縮することができます。



タラノキの方は5月の実習で構内に生えている個体から根系を掘り出しました。
自然状態でも根から新たな芽が出て増殖していることがわかります。このような増え方を「根萌芽(こんぼうが)」といいます。

掘り出した根を10 cmに切り分けて、プランターの赤玉土に植え付けました。


今日、久しぶりに植え付けたものを見に行くと、そのうちのいくつかから芽が出てきていました。これが、タイトルの「たらの芽」です。
植え付けの時期が文献に書かれているより1ヶ月以上遅かったため、少し不安でしたが、大丈夫だったようです。


クサソテツ(こごみ)についても5月に植え付けを行いました。ただクサソテツはアカデミー周辺では得られなかったため、アカデミーOBで庭先でクサソテツの栽培をされているSさんにお願いして、ランナーを採らせていただきました。遅ればせながらSさんに御礼申し上げます。
掘り採っている様子です。

 地中にランナーを伸ばして広がっていっている様子がよく分かります。

タラノキの根と同様にランナーを切り分けて、プランターに植え付けました。


そして、これも今日、芽が出始めているのが確認できました。まだ少数ですが、これから徐々に増えてくると思います。

すぐには食べることはできませんが、いずれも数年後には収穫できるようになっていると思います。もちろん大きな株に育てるためには、植え替えや施肥等の管理が必要になってきますが。

この実習では山菜についてのほんの触りの部分しかできていませんが、これがきっかけとなって少しでもそういった身近な資源に目を向ける視点、あるいは余裕を持ってもらえたらと思っています。