2013年6月5日水曜日
ファシリテーション入門;「環境教育からESDへ」「演劇ワークショップとアジアの参加型開発」
山村づくり講座1年生の専門科目「ファシリテーション入門」は一話完結型4回シリーズのワークショップ形式で進行中です。今回は第2回と第3回の様子をまとめて紹介します。
〇第2回「「環境教育からESD(持続可能な開発のための教育)へ」
午前中は、自然体験型の環境教育プログラム「自然探索ビンゴ」をアカデミーの裏山である古城山の麓の森の中で体験。各人の視点で自然観察しながら、発見したことを分かちあうゆったりとしたプログラムです。前日の田植え実習で疲れた身体を休めるにはちょうど良かった!?
午後は室内ワークショップ。持続可能な社会をつくっていく為には、自然を守るだけでなく、社会の価値観や仕組みへも目を向けて、変革への志ある芽をつないでいく取り組みが必要です。ESDは日本発で国連の10年キャンペーンに採択された教育活動。南北間の公正や世代間の公正を教育を通じて実現していこうという目的や要点をスライドで説明しましたが、話が大きすぎて「自分化」しにくい。
そこで午前中の体験や自らの記憶をふまえて、「こどもと自然をつなぐ」をテーマに、「なぜ?」「どのように?」「どうなる?」という3つのフェーズから皆で意見やアイデアを出し合いました。ESDがぐっと身近に、そして「つなぐ」ということの必要性や難しさが感じられました。
〇第3回「演劇ワークショップとアジアの参加型開発」
地域づくりを進めるには、科学的な知見や政策的な手法も大事ですが、人間関係にかかわる「わだかまり」や「個人の悩み・苦しみ」を解きほぐしていく働きかけも必要とされます。演劇が得意としている、人の「感情のありよう」や「人間関係の変化」を表現する・読み取るトレーニングを活用することで、そうした生身の人間と向き合う即興的な力を高めることができます。
フィリピン教育演劇協会(PETA)は、フィリピン国内やアジア各地で演劇的手法を使って参加型開発を実践してきたNPOです。今日はPETAの演劇ワークショップをちょっと体験。その源流であるスポーリンの「シアターゲーム」やボワールの「被抑圧者の演劇」などにも触れつつ、もう一つの源泉であるキース・ジョンストンの「インプロ(即興演劇)」のゲームも皆でやってみました。
最初は皆こわごわと、「なにをするんだろう」「演劇なんてできるのか」という顔つきでしたが、ゲームを進める内に笑いが出る、声が出る、お互いのアイデアを受け入れて物語をつくるコツが分かってきたみたい。最後には教員も入って全員で、『秋祭りの神輿の担ぎ手を集める相談をする村の寄り合い』と『法事で田舎に帰ってきた三兄弟が親の介護について話し合う』という2つのシーンを即興で演じて終わりました。
記:嵯峨創平 山村づくり講座