2013年6月3日月曜日

森林調査法ー人工林の調査


クリエーター科1年の「森林調査法」の実習が始まっています。この科目は林業再生講座と山村づくり講座の合同科目で、森林の様々な情報を得るための調査法を学びつつ、森林を様々な角度から深く理解することを狙いとしています。

最初の2回は人工林の調査方法について学びました。3週間前の1回目の実習では演習林においてデータを取り、先週の2回目の実習の際にデータの解析を行いました。少し遅くなりましたが、ここではその2回をまとめて報告します。

1回目の授業で調査を行ったのは53年生のヒノキ林分。今回の調査地は今後皆伐する予定であり、調査方法の勉強のためだけに調査をするのではなく、データが別の授業で活かされることになります。伐採後の林分は植林実習で使われ、伐採した林木は木造建築講座の方で製材した後、自力建設に使われる予定です。

2班に分かれて、測量と毎木調査を行います。


毎木調査は林分内の全てのヒノキの胸高直径を測っていき、一部については樹高も測ります。この日初めて使い方を学んだバーテックスという樹高測定の器械で慎重に測ります。



先週の2回目の授業ではそれらのデータを解析しました。測量データから面積を求め、毎木調査のデータから材積を求めていきます。
測量は2班それぞれで同様に行いましたが、片方のデータは閉合誤差が大きく不採用に。もう一班は誤差が許容範囲でしたので、それを使うことになりました。その結果、調査林分の面積は0.097haであることがわかりました。


材積は直径と樹高から算出します。胸高直径はすべての樹木個体について計測していますが、樹高は一部の個体しか測っていません。そこで樹高曲線を描き、直径階ごとの樹高を出していきます。その後、胸高直径と樹高の組み合わせから、材積表を用いて材積を拾い上げ、さらにそれぞれの個体数から林分材積を算出しました。その結果、林分材積は28.25立米、haあたりの材積は291立米となりました。


それ以外にも林分の混み合い度を示す収量比数や相対幹距比、樹木の健全度の目安となる形状比等を計算しました。
最後に、伐採した林木を丸太として市場に出せばどのくらいになるのか、最新の市場価格をもとに計算しました。単純に3m材ばかりに切り分けて出すと約25万円にしかならないという結果になりました。コストを考えるとあまりいい値ではありません。
それではどのような長さに切り分けて市場に出せば、最も収入が得られるのかをそれぞれで分担して計算しました。頭をひねりすぎて最後は息切れした学生さんもいたようですが、充実した学びが得られたようでした。

次回からは広葉樹林の調査が始まります。また違った視点で森林を見る目を身につけて欲しいと思います。