2013年8月3日土曜日

自分の目で見る「森林の姿」天然林編 平湯と位山へ行くエンジニア科総合講座

自分の目で見る「森林の姿」天然林編 
                             エンジニア科総合講座で平湯と位山へ行く



 エンジニア科1年生の総合講座、本来は乗鞍岳と岐阜大学の位山演習林に行く予定でしたが、
当日の荒天候のため通行止め、急遽、平湯の飛騨・北アルプス自然文化センターとその横に
設定されている自然探勝路で、トウヒやオオシラビソ、ウラジロモミなどの高木針葉樹、トチノキ
やミズナラなどの落葉広葉樹が生い茂る森を、生態的に見ると、森林更新から見ると、有用材
として見ると、・・・・・どうなのか。

 樹木を同定しながら、学んでいきます。引率はJIRI、横井、柳澤、津田、玉木の5人。
ブログでは、普段見ないような珍しい樹木の一部を紹介します。


 さて、上の写真の果実は何か判りますか?
  この仲間は木材が白く、粘りがあり、彫刻材などに重宝されます。

・・・・・マユミの仲間? 
   うぅ~ん、近いな! ツリバナ、ヒロハツリバナ、オオツリバナの見分け判りますか?


 次は、これでも「カエデ」の仲間。対生してますよね!
   ・・・・・・・ ヒトツバカエデです。 岐阜県内では標高1000m位にならないと見られないかな?


 次は、一層難しい。
    これは何の稚樹かわかりますか?  左右にある切れ込みの深い葉が子葉です。

    下に出ているのが本葉です。・・・・・・ 判った人はかなりのレベル、そうシナノキです。



 次ぎも「カエデ」です。葉の葉脈が深く印象的な葉、葉柄の長さも個体によって様々。
森林文化アカデミーの近くでは、片知の瓢ヶ岳にあるよね!・・・・では、何?
 正解は「アサノハカエデ」です。
      


 午後からは、高山市にある位山、その位山山麓の下呂市側に広がる岐阜大学演習林の「光と風
の道」で、ブナ天然林を堪能。


 看板のある横に、見慣れた樹木が果実を実らせています。幹肌は白っぽく、枝先の短枝が特徴
です。 これはアオハダだね!


 
 ブナ林の下層植生はクマイザサが優占しています。広葉樹林は気持ちが良いですが、このまま
将来もブナ林が続くのでしょうか?




 岐阜大学のブナ林もだいたい200年程度で枯れて、ギャップ(新たな巨大空間)が生まれます。
しかし、現状のままではブナが更新することはなく、クマイザサに占領されて行きそうです。



 ブナ林を見通すと、向こう側に横井さんや柳澤さんが学生とともにブナ林を見ています。

 一本のブナが巨大な空間を優占しています。一説には、直径60cmの一本のブナが36万枚もの
葉をつけるそうで、その葉が秋には落葉して、豊かな落葉層、豊かなフィルター層、豊かな土壌と
なるのです。





 歩道脇で見つけたキノコ、これはテングタケ科のキノコに寄生するヒポミケス属の「タケリタケ」で
す。・・・・学生には大受け。



 夜には宿泊予定地の岐阜大学応用生物か科学部付属岐阜フィールド科学教育研究センターで
岐阜大学の石田先生から位山演習林全体について講義をして頂きました。


 今回は特別に、先生が長年研究されている富山県の亜高山地域についてもご説明して頂きまし
た。シラビソや地塘(ちとう)について面白い話が続々。

 立山地域で枯損しつつあるシラビソは
  ①上の小(標高1500m)で約40%、②美松(標高2000m)で約10%、③鏡岩(標高2250m)で約7%
 の個体が枯れつつある。・・・・・温暖化の影響か?

  翌朝は朝からニホンカモシカの表敬訪問もあり、石田先生とアスナロの天然林、広葉樹天燃
林、スギ人工林、ヒノキ人工林を見て回ります。


 スタート直後、スギ人工林の中に樹高5~6mのシロモジが成立し、奇妙な二段林になっていま
す。
 下の写真で中央奥の黄緑色の部分がシロモジの樹冠で、これはスギ林に大きなギャップが生
まれ、そのまま放置した結果です。


 石田先生は森林文化アカデミーの樹木同定実習の復習をしてくれるように、サンプルを採取しな
がら、樹木について判りやすく説明して下さいました。



 ヒノキの人工林では、「この森を将来どのように管理し、収穫すべきか」について、現地協議です。
 石田先生に横井先生も加わり、この森で収入を上げるにはどうすれば良いのかを検討しました。


 
 今年初めて実施した宿泊総合講座。
  普段は見ることのない様々な林分を見聞し、学生にとって良い勉強になったことと感じました。
 
みなさん、ご苦労様でした。 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。