2013年9月9日月曜日

「はじめての木育」ようやく出版します。




 ものづくり講座では、22年から24年までの3年間、「幼児のための木育カリキュラム開発」を実施してきました。これは、林野庁の補助事業を受託した、日本グット・トイ委員会と、筑波大学・森林文化アカデミーとの共同研究として、岐阜県美濃市の美濃保育園・下牧保育園をモデル園として、実践検証してきました。
 その結果を踏まえ、今までアカデミーで蓄積してきた成果を再編集し、まとめたものです。

 ものづくり講座では開学以来、つくり使うことを通して暮らしを振り返る教材開発やプログラム開発を実施してきました。今回の出版は、その1つの成果をまとめるご縁を頂いたと思っています。多くの卒業生や学生たちと積み上げてきた成果であると思っています。また、美濃保育園・下牧保育園をはじめとする、現場の園や保護者の皆さんのご協力あっての成果であります。この場をお借りして感謝致します。

教育新聞(H25.8.15)に以下の通り紹介されました

 保育のプロはじめの一歩シリーズ/6

 幼児の心とからだを育むはじめての木育
 木にふれる・木でつくる・木で遊ぶ保育
 黎明書房

 認定NPO法人日本グッド・トイ委員会/監修
 松井勅尚/編著


-小学校でも使える本格的プログラム-
 木を使うことが少なくなった現代で、木に親しみ、木の文化への理解を深めることを目指すのが「木育」だ。
 樹木や植物とふれ合うことでつながりを感じる心が育ち、ものを大切にする心や工夫する力、根気ややる気、協力する心と気遣う心も育つ。
 「木育」の合言葉は「木とふれあう、木に学ぶ、木と生きる」だとし、よく見かける木を紹介しつつノコギリやゲンノウなどの工具の使い方も紹介している。
 そして、木片に紙やすりをかけてキーホルダーのようにする「森のかけらのお守り」づくり、いろいろな大きさの木を加工して積み木を作って遊んだり、はしやスプーンを作って使ってみたりといったプログラムが紹介されている。
 幼児向けとなっているが、木を用いたプログラムは本格的で小学校でも十分参考になる。

写真②
  この国の事業は、卒業生でもある「ぎふ木育推進員」たちと議論や試作を重ねながら、年間2プログラムづつ計6プログラムを開発。さらに6プログラムを加え計12プログラムとし、発達段階に合わせてブラッシュアップしてきました。小学校入学前でのゴールを「園でつかうスギの椅子」(写真②)とし、大人と同じ、ノコギリとゲンノウ(カナヅチ)を使いこなし、なんと1人2脚づつつくりました。

      写真③               写真④

 以下モデル園である美濃保育園の主任先生から送られてきたコメントです。本では紹介しきれない素晴らしい感想を記します。

 三年間の木育教室良かったです。年少の頃どんな教室だったか?忘れてしまいましたが…5歳でのこぎり、かなづちを使えるなんてすごいです。たくましさを感じます。今日作った椅子も卒園児にいただけるとのことで、すごく嬉しいです。私と作った椅子を大きくなっても大切に使って欲しいなぁ~一緒に作ったことを思い出して欲しいなぁ~なんて思いながら作りました。子どもが、思春期になって道に外れた時、この椅子に座らせて話しをしようなど思ってしまいました。これからの一歩ずつ前に進んで行きたいです。      (年長1組女児母)


 木育ありがとうございました。私には全くやらせず、全て一人でやってしまいました。かなづち、のこぎり等の使い方もすっかり上手になっていてたくましくなったなぁと感心しています。まだ完成までは手順がありますが、形になると達成感があっていいですね。次のももさん(年少児)もきっと喜んでくれますね。      (年長2組男児母)

写真⑤

  「次のももさん」とは、入れ替わりで入園してくる3歳児で、2脚の内1つは、新入園児にプレゼントして、卒園していくのです。「誰かのために、役に立つことの喜び」を園児に体験してもらいたいからです。実際に椅子渡しの日(写真⑤)では、とても誇らしく、喜びに満ちた年長園児の姿があったそうです。

 また、下牧保育園の園長先生からもコメントを寄せて頂きましたので紹介します。

 親御さんからのお便りを読ませていただきました。

 我が子の成長振りに驚きと喜びを感じていらっしゃることが良く分かりました。中でも「将来の子どもの姿を想い、道を外しそうになったときに このイスに座った子どもと向き合って話をしようと思う。」と言うご意見に感動しました。

 3年間の取り組みが何年も先の子どもの成長にまで思いを馳せる・・・生き続ける・・・正しく木育ですね。子どもも親もこの取り組みで大きく成長できました。お疲れ様でした。お二人の保育士さんのコンビネーションもよく、どの親子も熱心でしたね。木育はやっぱり素晴らしい・・・と、改めて感じました。     (下牧保育園園長) 

記:ものづくり講座 松井勅尚