林業再生講座の中嶋です。
最近注目されている造林技術に将来木施業があります。 この手法はドイツ人フォレスターによる講習会などで紹介され、
最近では多くの林業関係者が知るところとなりました。 しかし、岐阜県内では実例が少ないため、アカデミー演習林内で
モデル林を作ろう、という試みがスタートしました。
今日はクリエーター科林業再生講座2年生の森林施業演習という授業で、
将来木施業モデル林作りのための選木と間伐を行いました。 今年を皮切りに、毎年少しずつ選木をしてモデル林を作るため、
初回を飾る12期生の3人は責任重大です。
まずは将来木施業の理論を座学で復習。 将来木施業とは、将来、価値が高くなる優良木候補を選定し、
その木の周りを定期的に間伐(収穫)していきながら、
将来木を集中的に育成するというもの。 これまで見てきた林分をイメージしながら基本的な
考え方を学びます。
一通りの説明を聞いた後は、演習林に入り、さっそく選木を行います。 スギ・ヒノキの場合、100~150本/ha(約10m間隔)を将来木として
選ぶことにしました。
今回は3人で3本の将来木を選びます。 選木基準は(1)バイタリティ(2)クオリティ(3)分布という優先順位。 林内を行ったり来たりしながら、樹冠や根張りを見たり、樹間を計ったり、
四苦八苦しながら、なんとか3本を選びました。
胸高直径、樹高、枝下高、樹冠幅を測定したのち、
伐倒木の選木に移ります。将来木に接する樹木を間伐するのが
基本ですが、伐りすぎても環境の変化が大きく、気象害に
弱くなるため、通常1〜2本の隣接木を抜き切りします。
伐倒木は相談しても最終結論はでず、とりあえず1本
伐って様子を見ることにして、午前中は終了。
午後から伐倒作業に入ります。
伐倒はかかり木が予想されるため、プラロックで牽引しながら行いました。 学生だけでなく、横井先生にも1本伐っていただきました。
伐倒のたび、樹冠がどれだけ空いたかを確認しながら、
もう一本伐るかを相談。 結局、3本の将来木のうち1つに対してのみ2本を伐倒しました。
あまり林冠が空いていない気がしますが、演習林は定期的に人が入り、
3年後には再び伐採ができるだろうと考え、今日のところははこれでいいと
判断しました。
最後に伐倒木に3人の名前を印し、終了。 選んだ木がどのように成長するのか、不安でもあり、楽しみでもあります。 卒業後も経過観察を続けたいと思います。
クリエーター科林業再生講座2年 中嶋雄一郎