『理念がある組織と無い組織では利益が違う』
第14回 施業プランナー育成研修のメインは、京都の日吉町森林組合の小林耕二郎事業課長に
よる研修です。 今回はクリエーター科の林業再生講座の学生も参加しました。
最初に、下野技術主査が「安全管理」について講義をしてもらいました。
林業は死傷千人率が約30という危険な産業、つまり千人の従事者がいれば約30人が死傷して
おり、平成23年度には全産業平均で2.1、林業27.7、建設業5.2なのです。
そこで労働災害に対する考え方、経営者側と森林技術者の責務、安全性と生産性、安全対策の
事例などについて講義を受けました。
KY活動や安全衛生大会などは実施しているが、そうした活動をすることが目的になっている
ことがないか? 労働災害を減らすことが目的のはず。
「見える化」することで、職場のみんなが「意識する」ことの価値・・・・・
当たり前のことですが、「安全」はすべてに「優先」する。
次は、日吉町森林組合の小林さんの講義です。
日吉町森林組合の『経営信条』と森林組合の『理念』を紹介して下さった。
・理念がない組織 → 20年間で経常利益 3.6倍
・理念がある組織 → 20年間で経常利益 7.8倍
・理念がない組織 → 20年間で経常利益率 2.16%
・理念がある組織 → 20年間で経常利益率 8.07%
しかし単に理念を書いて壁に貼っているだけでは意味がない。
職員全員に浸透し、理解されている必要がある。
職場の現場職員とプランナー間の情報伝達が重要。
職員一人一人が経営者意識を持つ。
こうした努力をして従来の班体制から脱却。
午後から演習林で、日吉町森林組合の間伐木選木方法について、体験実習。
普段は単に間伐する個体を選んでいるだけの研修参加者でしたが、今回は将来木施業のように、
「残す個体」を決めた後に間伐する個体を選木しました。
研修受講者は2人一組になって「残す個体」と「間伐する個体」について説明します。アカデミーの
林業再生講座の学生も選木を実施。
ほとんどの研修生たちが選んだ「残す個体」については、問題はありませんでしたが、「間伐する
個体」の選木が問題。
何のために伐採するのか?
・ 単に劣勢木を伐るのか。
・ 「残す個体」の成長を促す個体を伐るのか。
・ 林分全体のバランスを考えるのか。
揖斐郡森林組合の後藤さんも奮闘です。
演習林の9齢級ヒノキ林の将来を考えながら「残す個体」と「間伐する個体」について説明。
それに対して、小林課長さんからも様々な有用なコメントを頂きました。
さて、演習林から一度かえって、室内で小林課長から「進捗管理」の方法について講義を
受けました。
作業をした翌日にはデータを反映できる「BoxBox社の作業管理ツール」について、日報とホワイト
ボードによる管理について、などを説明。
週初めはプランナー、現場森林技術者、請負業者全員によるミーティングを開催し、職員同士は
毎夕ミーティングをして、人員配置や問題点について話す。
ここではプランナーと現場技術者との「考えの一致」が重要。
さてさて、今回の研修は、今年始まって研修受講者の質問がもっと多い、中身の濃い研修となり
ました。受講者からの質問とそれに答える小林課長のやりとりだけで、午前午後で1時間を費やす
ほどの内容だったのです。
このブログに明記できないのが残念ですが、興味のある方は来年ご参加下さい。
今回も小林さま、下野さま、有り難う御座いました。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。