『職人が語る岐阜の和傘づくり』
メープルフェス企画として初めて開催された『職人が語る岐阜の和傘づくり』。
岐阜市加納の坂井田栄吉本店の坂井田永治代表と高橋美紀さんをお招きし、
岐阜の名産である和傘について、久津輪准教授の案内で学びました。
参加者はアカデミーの学生だけでなく、遠くは茨城県など、県外からも多くの参加
者が話に聞き入りました。
始まりで、久津輪さんが「今日はあいにくの雨模様で・・・」と口火を切られると、
高橋さんが、「良い傘日和で、・・・」と返されたとのこと。
なるほど、今日の雨は、この企画にためのお膳立てであったか? と思わせられた。
久津輪さんからは岐阜の和傘の最盛期は、昭和23~25年(1948~1950年)で、月産100万本の
傘を生産し、和傘生産従事者が50,000人もいたことも紹介されました。・・・・スゴイね!
久津輪さんのリードで、坂井田さんから江戸時代から続く岐阜和傘について、坂井田栄吉本店の
歴史について説明があり、本格的には大学卒業後に仕事をされたそうですが、既に高校生の時か
らこの伝統技術である家業を継ごうと決心されたとのこと。
また、高橋さんはスペイン語を駆使する才女でありながら、伝統工芸に魅せられ、何度も断られ
ながらも、何とか和傘職人弟子入りし、約10年。
今ではすっかり、メイドインギフの和傘に魅了され、伝統の技法を学びつづけながら、新しい息吹
を送り込んでいる女性です。
写真で坂井田さんが手にしているのが「蛇の目傘」、高橋さんが手にしているのが「番傘」です。
ちなみに蛇の目傘は傘骨が細く、44~46本でできており、番傘は傘骨が太く48本ほどでできている
そうです。
坂井田さんのお宅では、「野点用の傘」、女性用の「蛇の目傘」、舞踊のための「踊傘」、日よけ
用の「日傘」、旅館用の「番傘」の5種類を主に生産され、注文によっては神社の祭礼用の和傘も
作成されるとのこと。・・・・これ以上に面白い話題があったけれど、後はオフレコ。
和傘ができる行程は、上記の写真のようで、
「骨づくり」では、マダケを11月頃に収穫し、細かく割り、親骨と小骨に削り上げたり、骨を染めたり、
骨を火であぶってクセをとったりするそうです。
「ろくろ」では、乾燥させたエゴノキを削りだして、頭轆轤、手元轆轤を二個一組で作りますが、原
料であるエゴノキの調達が問題であるため、森林文化アカデミーで久津輪さんを中心に『エゴノキ
プロジェクト』を立ち上げていることも紹介されました。
坂井田さんのところでは、和紙を張る「張り」~「仕上げ」までをされているそうです。
さて、岐阜の伝統工芸でもある和傘。先人たちの知恵の結集でもあるその産物は、暖かみがあ
り、傘を大切に扱おうとする人の心遣いまで育ててくれるような存在です。
是非みなさんも、岐阜和傘を思い出し、利用し、エゴノキプロジェクトに参加されますこと願って
います。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。