2013年11月6日水曜日

広葉樹が混交するヒノキ林の取り扱い

 クリエーター科林業再生講座の1年生の『多様な森林施業』と2年生の『森林施業演習』の合同授業で、高山市朝日町の森林を見に行きました。

 この林は、昨年に森林経営計画を立てて、施業を進めていこうとしている林班にあります。岐阜県飛騨農林事務所の林業普及指導員と経営計画を立てた施業プランナー、間伐などの作業を担う技術員の方々と一緒に、林分の施業方針を考える会となりました。

 この林、林齢27年の、まだ若いヒノキ林でした。下刈りと雪起こしはきちんを行われたようですが、その後の手入れは一切なされなかったようです。実際、確認できた植栽列のヒノキがあるべき場所に、ほとんど穴がありません。そこに、広葉樹が混交していて、結構な本数密度でした。




 混交する広葉樹は、シラカンバ、ミズメ、ミズナラ、ホオノキ、ウリハダカエデ、コシアブラなどです。

 植栽されたヒノキは、どの個体にも根元曲がりが認められます。でもこれは、多雪地帯で樹木が生育するために必要な適応形態です。問題は、その上の曲がり。比較的通直な個体もあれば、S字曲がりを呈する個体、緩やかながら何か所も曲がっている個体など、いろいろです。おまけに、クマ剥ぎの被害を受けた個体もあります。



  さあ、こうした林分をどのように取り扱うでしょうか。それが、本日のお題です。

■こんな混交林、作ろうとしてもなかなかできない。

■せっかく植えたヒノキを伐って広葉樹を育てるのに、所有者は納得するか?

■でも、材価ならヒノキよりもミズメの方が高くなるかも。

■いままでなら、まず広葉樹を伐っているよな。

■所有者が最も得をする提案が大事だ。

■経済的な価値だけではなく、多面的な見方も必要じゃない?

 いろいろな意見が飛び交います。


所有者の了解を得て、立木を何本か伐らせていただきました。年輪を数えて、林の成立過程を考えました。



 結論ではありませんが、本日の落としどころは、

● まずは、所有者に、ヒノキに幹の形態の悪いものが多い。

●このままヒノキを育てても、他の地域のヒノキに劣る形態のものが多くなる。地利のことを考えると(今は十分な幅員の作業道が入っていない&この先も作業道を開くのは難しい)、 とてもじゃないけど太刀打ちできないことも、所有者にわかってもらう。

●広葉樹の中に、ヒノキよりも材価が高くなりそうなものがある。広葉樹を交ぜることで、森林全体の経済的価値が高まるとともに、その他の機能もヒノキだけのときよりも高まる。また、広葉樹の存在が土壌の保全を通してヒノキの成長にもプラスになるかもしれない。

●多様な樹種が存在することは、どんな樹種が売れるか予測できない将来への備えとなる。

というようなことを所有者にきちんと説明して、理解していただき、「ヒノキと広葉樹を同等に扱って、より経済性が高くなるような間伐を行うのがよいのではないか」、といったところでした。

 これがただ一つの正解ではありませんが、普段よく見る人工林とはちがう人工林で、山を見るポイントや現場に対応した施業の考え方、施業方針の決め方など、多くの学びがあったのではないかと思います(それを期待したから、この現場に行ったともいえます)。

 こうした現場にもっと行ければ、実力アップ間違いなし(だと思います)。ただし、面倒くさがらず、きちんと考えなきゃダメだけど。


  by 横井秀一

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