山村づくり講座「都市農山村交流実習1」で、山県市西部の伊自良地区にお邪魔しました。伊自良地区北部の長滝・平井集落は、特産の渋柿「伊自良大実」を吊るした「連柿」の産地として知られているそうです。
柿農家・早瀬武侍さんのお宅で、稲の苗箱作りを体験させてもらいました。種もみは、連柿を吊る長いワラをとるためのもち米「長もち」と普通のもち米、うるち米「美濃錦」の3種類です。左が長もちです
手動のハンドルで操作する「ばらまき機」のレールに、土を敷いた苗箱を送り込んで、種もみを敷き、その上に土をかぶせてサンドイッチ状に。ハンドルを回すコツがつかめず、種もみが一か所に偏ったり、苗箱を落として種もみと土をばらまいてしまう失敗もありましたが、明るい庭に、ゆったりとした心地よい時間が流れました。
お茶の時間には、早瀬さん自家製の「巻き柿」をいただきました。
見た目はどこか霜降り肉に似ています。干し柿と挟まれた柚子の皮が調和して香ばしく、美味しさに嘆声が上がりました。
晩秋になると、早瀬家の軒先にも、連柿がすだれ状に吊るされ、多くのカメラマンが訪れるそうです。早瀬さんによると、伊自良大実はタンニンが多く、干し柿にしたときに甘みが増すということです。「正月前に、はいちゃう(売り切れちゃう)」と早瀬さん。
柿むき用のカンナも見せてもらいました。
苗箱を田んぼに並べ、蒸らすために新聞紙をかぶせ、その上から穴の開いたビニールシートをかぶせました。田んぼに足をとられながら中腰で行う作業に汗が吹き出しましたが、早瀬さんは涼しい顔です。
農道で車座になって青空座談会。
案内してくださった山田哲也さんは、アカデミー卒業生。Uターンしてきた横山太一さんらと山県の人、山の人を意味する「やーまん」を結成。UIターンの若者や地元の若者と、地域の「師匠」、子供たちが、薪割りや伝統芸能、農林業の活動を通じて、交流しながら地域の生活文化を受け継ぐ場を広げています。「里山で生きる姿を見てほしい。楽しいところに人は集まる」と話す横山さんのお話が印象的でした。この春、地域おこし協力隊員として横浜から来た金子悟さんは、衰退してしまった伊自良の「柿渋」作りに取り組みたいとのこと。素敵な冊子「やまがた旅図鑑」もいただきました。
遅いお昼は、山県市北山地区に移動し、農家レストラン「舟伏の里へ おんせぇよぉ~」で。
廃校となった北山小学校の校舎に昨年オープン。地元のおばあちゃんたちが田舎料理をふるまってくれます。きょうの一番人気は、舟伏の里特製ランチ。
ハナイカダ、ユキノシタなど4種の天ぷら付き。厨房は、おばあちゃんたちと女子高校生のボランティアが切り盛りし、店内には懐かしい童謡が流れています。
お盆には、石垣が歴史を物語る山あいの道を「雨乞い太鼓」の行列が練り歩くそうです。ぜひ、再訪したいと思いました。
山村づくり講座1年 井澤宏明