人口1400人の村で年間に消費されているエネルギーを金額すると、なんと5億円!
ガソリン、灯油、電気代などにかかったお金は、すべて地域外に出てしまいます。
お金が地域外に出るということは、雇用が生まれず人も地域から出てしまう…
というお話からスタートしたクリエーター科「木質バイオマス資源とその利用」という授業、
今日は、実際にある町に薪ボイラーを設置することで、どれほどの効果が生まれるのか、
その試算を行いました。
講師は、同じく特定非営利活動法人 地域再生機構の森大顕さんです。
ケーススタディとしては、年間100,000ℓ程度の灯油を使用している温泉施設を想定。
規模感としては、年間10万人程度の利用者がある温泉施設とのこと。
年間1000万円程度が地域外に流出していることになります。
薪ボイラーを導入した際に、どれだけの費用対効果が出るかを試算しました。
その結果、すべてのエネルギーを薪で代替すると、
542m3の薪(原木換算)が必要になり、
548万円の費用(薪代除く)がかかることが分かりました。
そこから、サプライチェーンを考え、どれだけ原木価格に還元できるかを
考えました。
そうすると、約4400円/ m3で原木で買い取れることが分かりました。
試算には薪の加工費や原木ストックの土地代なども含め、
温泉施設の年間経費削減効果は0として、計算しています。
さらに、これまで地域内から流出していた金額のうち、
地域に取り戻せる金額を算出しました。
地域に取り戻せる金額は、原木代金だけではありません。
薪の加工費や、ボイラーの運営人件費、灰の処分代など、いろいろ雇用が生まれます。
合計すると、年間で470万円を地域内に取り戻せることが分かりました。
1世帯分の所得を賄うことができます。4人家族であれば、町内人口も4人の増加です。
今日は、以上のように、だいたいの相場感を掴んだり、バイオマス導入の試算を行う際の考え方を理解するために、シミュレーションを行いました。
さて、全体を通してのまとめです。
地域にバイオマス利用を導入する際に大事なことは、
① 実情をしらないコンサルの試算結果を鵜呑みにしない
・ 薪の比重を考慮に入れているか、ボイラーのエネルギー効率を過大評価していないか
いろいろ落とし穴があります。
・ 実際に他の事例の視察を行ったり、聞いたり、実情をよく知る人から情報を集めることが大事です。
② 経済効果だけでバイオマス利用を考えない
・ 例えば薪ボイラーに関して、どこでもかしこも重油削減効果が出るわけではありません。間違った設計をすると、逆に赤字が膨らむことにもなりかねません。重油の削減効果だけではなく、地域の雇用が増えたり、資源を使うというメリットもあります。
・ 経済効果だけでバイオマス利用を進めるのではなく、もっと大きなビジョンが必要です。この前のグループワークでは、「町民全体で町を活性化する」という目的を立てましたが、こういう大きな目的の設定が大事です。
木質バイオマスは地域の未来を変えられる!
しかし、人任せではなく、地域の人がビジョンを考え、ボイラーの選定やサプライチェーンの設計含めて、自分たちで決断し、誇りのもてる仕組みづくりを構築することがが大事ということですね。
講義をして頂いた、地域再生機構の森様ありがとうございました!!