2015年5月15日金曜日

日本の広葉樹はチップにしかならないの!?日本の小径木広葉樹をいかすには ~カリモク家具株式会社の取り組みからさぐる~

クリエーター科2年の共通科目「森林から木材、暮らしへ2も今回で4回目、最終回を迎えました。

クリエーター科2年の幾島野枝が報告します。



愛知県知多郡にある「カリモク家具株式会社」(以下カリモク)の本社と工場を見学させて頂きました。







一般的に日本の広葉樹は外材に比べ、大きさ、色、木目の荒さなどから家具への加工に不向きといわれています。

そのため、日本の広葉樹の多くは紙の原料のチップとして流通しています。しかし、チップとして売るのでは、経済価値も低く、山側にお金がまわらない。



持続可能な森にしてくために、日本の広葉樹にもっと付加価値をつけて利用できないか?



そんな問いから、この授業はスタート!



まずは、カリモクの本社会議室にて

「持続可能な会社の実現に向けて~これからのスタンダードと世界に向けての挑戦~」

というタイトルで担当の中原さんの話を伺いました。



樹液採取済みのゴムの木を利用して作られた天板の机と、とても座り心地の良いイスに座り、真剣に耳を傾けています。







世界でもまれな、資材調達から、製造、販売までを自社グループ内で行っているカリモク。

6種類ものブランドをもち、幅広い商品があるなかでも、

KARIMOKU NEW STANDARD」と「HARU」の2つのブランドについて紹介して頂きました。



日本の家具の多くは輸入材であるなか、カリモクではこの2つのブランドにおいて、国産材広葉樹を利用して生産しています。



こちらが「KARIMOKU NEW STANDARD」の商品。

すわり心地を確かめるものづくり講座の岸田さん。







木が本来もっている節や木目の曲りなど、一般的には材料の欠点といわれる部分を生かしたり、目だたないようにして作られています。



そのために、どのような技術が使われているか、割れや変形が生じないように、どのようにして木を接着しているのか、実際の商品を前に説明を受けました。







技術だけでなく、デザイナーのアイディアも多く取り入れ、木を生かした新しいデザインも開発しています。

積極的にヨーロッパなどの海外の出店や展示も行い、日本の木を売り出しています。



続いて、実際に家具を作っている工場の見学へ。(工場内は撮影禁止でした)

担当してくださったのは池田さん。







材の選別、製材、乾燥、接着、加工、成形、塗装、組み立て。

全てを行っているカリモクの工場。

多くの機械も導入されているなか、それ以上に人の技術と目と手でひとつひとつが製作されていました



木もなるべく多くの部分を材料にして使えるように加工し、どうしても使えない部分はチプにせずそのままボイラーへ。

デザインや技術だけでなく、木を最大限に生かす工夫がここでもなされていました。



カリモクだからこそ出来る、技術の開発、デザイナーのデザイン性、作り手の確かな手と目。



「日本の木だからこそ出来るデザインや、それが売れる新たな市場を作っていく。」と、中原さん。

「どんな広葉樹も使えるように技術開発をしていく。」と、池田さん。



リアルな現場で売り手の視点を多く勉強できた今回の訪問。

この視点を持ちつつ、山をどうするべきか?



日本の広葉樹はどのようにして生かせるのか?



改めてこの問いを考えてみる。


それぞれの講座の特色をいかし、取り組むべき大きな課題を新たな視点とともに再認識した訪問となりました。