2015年5月14日木曜日

現場で考える木材の販売戦略「木を診て、山を見る」

岐阜県林産システム推進センター所長に学ぶ


 クリエーター科の林業再生講座2年生が学ぶ木材の販売戦略

 今回は岐阜県森林組合連合会 岐阜林産システム推進センターの樋口享二所長さんに、実際に
仕事をされた現場で、販売戦略のために、「山をどう見立て」、「どのように販売するか」を学びまし
た。

 下の写真で左端に立派なスギ立木がありますが、この周辺で最も良い立木は写真中央にある
スギ、真円性や樹皮の美しさ、様々なポイントを見ることを指導されました。
 重要なのは、林産収入をより高めるために 「木を診て、山を見る」 


 木の診方 : 樹種、林齢、樹高、胸高直径、生育状況、自然被害、価値
 山の見方 : 蓄積、搬出面積、搬出材積、金額

  伐採痕から何を読み取るか? この現場の立木は今伐採して金にすべきか?
                      それとも残して将来金にすべきか?・・・・・伐り時がある。
 

並材か役物か、市売りかシステム販売か、B材は合板か、C材はパルプか、バイオマスのD材は?

 ・ 直材が一番、しかし曲がっていても隅木や破風の特殊材ならその価値は別物
 ・ 目締まりが均等で細かい
 ・ 色合いが良く、赤色かピンク色
 ・ 辺材(白太)が薄いか
 ・ アテは、獣害は、目割れは、凍裂は、虫食いは・・・・  概ね80年以上の天然木は別格。


 多くの所有者さんが、「太い木が良い木、金になる木」と考える人が多い。
 
 所有者にとっては、どんな木も価値があるように思える。それをどう説明し、納得してもらって
作業をするのか。
 
 重要なのは収入金額をあげること。そのために何を努力するのか。作業のやり方を見直して
生産効率を上げるのか。販売先を仕分けして販売単価をアップさせるのか。作業者達の意識を
どのように変革させるのか?


 現場によって所有者のニーズは異なる。そのニーズをしっかり聞き。どのように回答するのか。

 収入は上げなければ意味がないが、山づくりにつながる作業でなければ、次ぎにつながらない。


 途中、本巣地区で選抜された「織部杉」を見学。 これは地元で選抜されて育成されたスギ。

 近くに植えられている挿し木スギ林の立木と比較しても、樹皮の美しさや真円性が違う。
良いものは見た目の風格まで違う。 そうした価値ある立木はお金になるが、重要なのは一般的
な木材を如何に高く販売して、山にお金を返すこと。


  樋口所長さんは、自前の作業班で木材生産をしているだけではない。最近は森林組合の作業
班の作業指導にも力を注いでおられます。

 平成22年8月に初めてチェンソーを手にして、伐採収穫を始め、生産性は2.6m3/人日から、
翌年には3.1m3/人日、4.1m3/人日、5.2m3/人日、6.3m3/人日と年々増加。

 その実績は機械化によるものではなく、生産管理におけるボトルネックの追求と改善によって
います。

 今回は実際に作業をされた現場でのお話しでしたが、朝9:00から始まり、あれよあれよと16:00
を過ぎるほど、時間を立つのも忘れるような内容であったのです。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。