里山の自然を知り、つきあい方を考える
8/29日から8/30にかけて里山景観マイスター養成講座Basicコースの第2回講座が行われました。
今回の講座のキーワードは「田んぼ・ニホンミツバチ・粗朶」の三つです。一見関係のないように思われるこの3つは、じつは里山という自然でつながっています。三つとも「里山」の自然から人間が得ている「恵み」に関わっているからです。
初日はまず前回5月末に手入れをした放棄田で、どのような変化が起きているのか、調査枠をとって植生調査を行いました。すると放棄田に侵入した樹木の伐採によって水位が上がり日が差し込むことによって、眠っていた水田雑草が息を吹き返していることがわかりました。今回は伐採後の切り株からの萌芽条を刈り取り、さらに光が当たるように手入れしました。次に一面を覆っていたチゴザサを踏んで、さらに多くの植物が生育できるよう環境を整えました。その後、手入れした水田に生息する魚類、水生昆虫を観察しました。豊かな生物相の一端をうかがい知ることができました。
その晩はニホンミツバチ協会の三輪会長から下呂市馬瀬でとれた鹿肉を差し入れていただき、肉を囲んで楽しい懇親会です。懇親会では、参加者の方、スタッフそれぞれが活動する際に、「楽しく伝える」ために工夫しているアイテムを互いに紹介しました。嵯峨先生からはフィリピン、イフガオ州の棚田視察のお話もあり、一同楽しみました。
翌日は、朝から粗朶とニホンミツバチについての講義を行いました。粗朶については、その用途から生産までを教員の柳沢の方から、ニホンミツバチについては、ニホンミツバチ協会の三輪芳明会長からお話をいただきました。粗朶については、世界農業遺産のコンセプトに合致するのではないか、ビジネスモデルを検討することで持続可能な利用ができるのではないか、という示唆も。ニホンミツバチに関しては、その生態や、巣箱の設置によって「ハチとつきあう」方法について詳しく説明をしていただきました。もちろん森の恵みである「ハチミツ」についても。
粗朶山にて |
午後からは、実際に粗朶を生産している現場に行き、伐採跡の植物の観察を行いました。伐採地のコナラの切り株から、林齢は三輪会長と同じくらいということが判明! 身近な林がもっと身近に感じられます。伐採跡では、日が当たるようになり、林縁の樹木が花をよくつけるようになります。今回は雨が降っていたので残念ながら観察できませんでしたが、晴れていればニホンミツバチやその他の昆虫が訪花して賑やかになっていたはずです。粗朶の生産とニホンミツバチとの間には関係があるのです。最後に近くに設置してあるニホンミツバチの巣箱に案内していただきました。ところが巣箱にはオオスズメバチが。ここで会長からオオスズメバチを捕獲する様子を見せていただきました。もちろんオオスズメバチはニホンミツバチを補食しますので、捕殺しなければいけませんが、オオスズメバチも自らの巣を拡張するために餌資源が必要です。そして他の昆虫を補食することによって生態系の中に役割を持って存在しています。単純に害虫と割り切るのではなく、全体として自然界の生き物のつながりを考えて自然とつきあわなくてはいけない、という三輪会長の熱い思いを語っていただきました。
ニホンミツバチの巣箱を襲うオオスズメバチ |
粘着テープにトラップされるオオスズメバチ |
2日間雨に降られっぱなしでしたが、当初の予定以上の濃い内容で締めくくることができました。次回講座は12/19(土)の予定です。参加者の方、スタッフの方々、どうもありがとうございました。