『銃猟でわな猟で捕獲する』、地域・林業・生活のために
本日、岐阜大学野生動物管理学研究センターで、環境省主催、岐阜県・岐阜大学・(一社)岐阜県
猟友会共催の「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」があり、クリエーター科の受講希望学生とともに
参加してきました。
最初に、狩猟だけで生計をたてている高山市の専業猟師、瀬戸祐介さんが「銃猟で捕獲する」と
称して、午前の一番手としてお話しをして下さいました。
ハーフライフルであれば、レミントン870ディアーやサベージアームズM220がお勧めとのこと。
とにかく瀬戸さんの経験に基づいた話は面白い。森林文化アカデミーでの講義の可能性も
ご相談した。
続いて、岐阜大学の森部絢嗣特任助教の「わな猟で捕獲する」、これまた時間があっという
間に過ぎるほど面白い内容。
素人でも確実に捕獲するためには何をすべきか・・・・・なるほどと納得のお話し。
森部先生が指導した方で、わなの免許を取得したその年に、ニホンジカ44頭とイノシシ9頭を
捕獲した人もいるが、これは特例ではない。
それを裏づける手法がある。
「くくりわな」は安価であるが捕獲が難しいと考えられてきた。
しかし初めての人でも、これを覆す手法がある。それは観察だ! それもカメラによる観察。
技術を向上させるプロセスは「痕跡」→「罠設置」→「捕獲」→「検証」のサイクルを回す。
この検証がポイント。
そのためには「トレイルカメラ」を活用し、どこを獣が常道に利用しているか。 足を置く位置は
特に、下りで全体重を足に掛けるのはどこか。
画像をしっかり解析する。
トレイルカメラを使えば、初心者でも獣道上の効率の良いわな設置場所を見極めることが
可能になります。
下の写真で赤丸はニホンジカの足跡、黄色はイノシシの足跡。
限られた経路の捕獲効率を上げるのは、熟練者による経験則がなくても簡単に上げられる。
寄せ餌は一ヶ所に置く方が良く、何カ所にも置くのは逆効果。
これが「誘因誘導型捕獲法」なのです。森部先生の話は最初の瀬戸さん同様、実践に基づく
生きた話であるため、とにかく面白い。
下の写真は、私たちに見せるためわざと罠の掛け位置を示したもの。障害物となる丸太など
を置いて、そこに誘因の寄せ餌を置く。
銃猟でもわな猟でも、狩猟事故注意! 自分自身の事故防止対策だけでなく、地域への説明
や表示など、様々の対策を考えることも重要。
さて、午後からはフォーラムです。最初に環境省の係長さんから狩猟者の減少と、獣害の増加
についてお話しがありました。
続いて、岐阜県庁から岐阜大学に出向している和田敏さんが、この業界の動向について
報告。
ニホンジカの推定個体数はこの20年間で約9倍に増加、2023年度には約402万頭に増加
すると予測されている。
しかもニホンジカの分布域は、36年間で約2.6倍に拡大した。日本中がニホンジカの侵略
を受けている。 またこれまで出現しなかった亜高山のお花畑にも出現し、本日の神戸新聞の
記事でも、国内では中国山地でしか見られないチョウ「ウスイロヒョウモンモドキ」が限りなく
絶滅に近い状態になっている。兵庫県内唯一の生息地、ハチ高原の高丸山(養父市-香美町)
で保護団体が毎年調査を実施しているが、今年確認できた個体はゼロ。蜜を吸う花をニホン
ジカが食べ尽くしているのが原因らしいい。
こうした現状に、狩猟者の減少と高齢化が拍車を掛ける。 2012年には狩猟者の67%が
60歳以上と超高齢化が進行している。これで地域がどうして守れるのか?
フォーラムでは牧裕晶さんが「狩猟のイロハ」についてトークされたり、岐阜県内の若手ハンター
によるトークセッション「私がハンターになった理由」もありました。
こちらは牧裕晶さんに、各務原の青山まゆさん、中津川の加藤大直さん、神岡の國枝ちひろさん
郡上の永吉剛さん、東白川の安江誠さんが、多くを語ってくれました。
私と一緒にフォーラムに参加した森林文化アカデミーの学生も、朝から夕方まで熱心に勉強し
近い将来猟師デビューを夢見ていました。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。