2015年10月16日金曜日

少し深く、広葉樹林施業を考えられるようになったかな?

 クリエーター科林業再生講座の2年生が森林研究所の荘川広葉樹総合試験林を訪れました。

 学生たちは、1年生の春に、試験林全体を見て回りました。このときは、カツラ人工林、ケヤキ人工林、クリ人工林、30年生天然更新林、120年生天然更新林(間伐林・無間伐林)、30年生天然更新林(除伐林)、ブナ人工林を見ました。森林の「し」の字も、林業の「り」の字もわからないときに、沢山の林を見ました。その後の講義で広葉樹林施業の話をしましたが、そのときに現物を思い出しながら理解してほしいという趣旨でしたが、どうだったでしょうか。

 それ以外にも、『樹木学実習』でここを訪れているのですが、そのときは施業をしっかりと見る余裕はなかったと思います。

 そして、今回。今回は、30年生カツラ人工林の間伐作業を少し行い、その後に除伐林とブナ人工林を観察しました。


 カツラ人工林の間伐は、森林研究所の試験というか展示林造成で行っています。これまでに、エンジニア科の学生が手ノコでの作業を体験させてもらったりしています。


今回は、伐り残されていたミズキを主に伐採をしました。


 この人工林は植栽後に6年間の下刈りが行われています。したがって、ミズキは下刈り終了後に育ったものです。伐り株の年輪を数えたら23年でしたので、このことが確認できました。芯の年輪幅は広かったので、下刈り期間中に定着した個体が萌芽再生したと考えられます。切り残されていたミズキはカツラ植栽木よりも大きく(樹高・胸高直径とも)なっており、ミズキの初期成長の速さをうかがい知ることができました。

 ミズキもいわゆる有用広葉樹の一つです。この人工林の構成要素に加えることは可能です。なんといっても、下刈りで伐られたにも関わらず植栽木より成長がよいのですから。

 このミズキのように天然更新した個体の取り扱いは、造林の目的と目標林型のあり方によることを解説しました。

 何のための造林なのか。

 カツラを選択したのはなぜなのか。

 カツラの純林が目標林型なのか(他の樹種が混生していてはいけないのか)。


 ここがたまたまカツラ人工林であっただけで、同じ問いかけはどの造林地にも当てはまります。

 そもそも、植栽とは目的樹種を林地に導入する技術であり、下刈りはその場における天然更新を停止させる作業です。今回の現場は、こうしたことを理解するのに、とてもよい教材です。

 そうしたことを考えた上で、間伐作業を行いました。ここはカツラ人工林の展示林にするということで、今はミズキを伐採します。

 だとすれば、ミズキがここまでの優勢木になる前に伐った方がよかったとか、広葉樹の間伐は針葉樹以上に樹冠の水平分布を意識した個体管理的な見方が必要だとか、間伐作業についても確認します。


 若干のかかり木処理が必要でしたが、無事、間伐作業を終えることができました。








 次は、15年前に除伐された30年生の二次林です。


 ここは、ミズメ・ホオノキ・ミズキなどが主体の林です。除伐作業では、ウワミズザクラやシラカンバなどを除伐しています。まずは、天然生林における除伐の意義を考えました。

 また、そろそろ間伐の時期に来ていますので、樹種ごとの生産目標などを説明しながら、広葉樹の間伐の意義も考えました。

 こうした個々の作業の意義を確認した上で、そもそも広葉樹二次林に保育作業は必要なのか、保育作業をするとすればどういう考え方をすればよいのかも考えてみました。答はありません。考えるにはどういう視点を持つのが大切かを学んでほしいのです。


 最後に見たのは、ブナ人工林です。


 上木の広葉樹林の一部を伐採して、樹下植栽したブナです。さすがに耐陰性の高いブナだけあって、それなりに生育しています。

 まず、樹下植栽は本当に有効な技術なのかという、更新のデザインのことを考えました。また、単一樹種の方形植えだけが植栽技術ではなく、混植という方法や巣植えという方法もあるという、植栽のデザインについても考えました。折しも『森林技術』の最新号に道立林試発のパッチワーク植栽の記事が載ったばかりだったので、混植におけるデザインの話もしました。


 「くれぐれも、思考停止の状態で施業を計画するなよ」というメッセージ、学生に届いたでしょうか。

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