グリーンウッドワーク指導者養成講座2015の最終回は、椅子づくりでした。
まずは見てください、この笑顔。5日間で丸太から椅子にするまで、すべてを体験していただきました。
これまで何度も椅子づくり講座は実施しているのですが、今回はいろいろな改良を重ねてさらに進化しました。
まずは材料。今回は直径10センチほどのエゴノキで作りました。こんな細い木から立派な椅子ができるというオドロキを体験してほしかったのです。さらにこのエゴノキは岐阜の伝統工芸、和傘の部品用に伐採したものの、太くて和傘には使えない部分です(詳しくはエゴノキプロジェクトのHPをご覧ください)。椅子づくりが伝統工芸の支援や森づくりにもつながっています。
細いから割るのも削るのも簡単。これまでに比べ最初の作業がずいぶん楽になりました。
改善ポイントの2つ目は曲げ木です。小型のロケットストーブで材料を蒸して曲げました。これまでもロケットストーブを使ったことはありましたが、いろいろ改良してシステム全体をこんなにコンパクトにできました。燃料はすべて削り屑です。木が家具の材料のみならずバイオマス燃料にもなることが実感できます。カセットコンロと比べたところまだ少しパワーは落ちるので、ここはもう少し改良が必要です。
曲げ木というとずいぶん大掛かりな装置が必要だと思っている人も多いのですが、こんなにカンタンにできちゃうのです。
蒸し器がちょうどいいサイズだったので、ついでに肉まんも蒸してみました。大成功〜♪
改良ポイント3つ目は、デザインです。
これまでは、アメリカのグリーンウッドワーカーに教えてもらったデザインでした(写真左、シェーカー家具の流れを汲んでいます)。しかし薄くて幅広い背板を作るのにずいぶん時間がかかっていたため、今回は背板をスリムにしました(写真右)。これで作りやすくなります。
横から見たデザインも変えました。左の方が直角で作りやすいのですが座り心地を考えてあちこちに角度をつけました(ちなみにこの角度や寸法は、イタリアの名作椅子スーパーレジェーラをヒントにしています)。
部材の仕上げはツルツルに削りすぎず、刃物の跡を残しています。この辺りはゴッホの椅子の影響です。
改良ポイント4つ目は、加工法です。これまで幅広の背板を差し込む細長いホゾ穴をノミで開けていたのですが、大変な作業でした。これを丸ホゾに変え、手回しドリルで開けることにして、時間を一気に短縮しました。椅子には複雑な角度がつきものですが、CADで計算するようなことはせず、部材を輪ゴムで仮留めして現物に合わせて穴開け。今回講師を務めた大同大学プロダクトデザイン専攻技術員の加藤慎輔さんのアイデアです。
さまざまな改善の結果、6日間かかっていたものがなんとか5日で終了。無事に帰路についていただきました。大好評の椅子づくり講座、来年も開講します!お楽しみに。