ファシリテーション入門の4回目(最終回6/10)は、会議ファシリテーションについて学びました。ここ10年ほど、企業内の人材育成や新規事業開発などの場面で、ファシリテーション技術やファシリテーター育成の重要性がとみに言われるようになりました。書店のビジネス書コーナーに行けば、関連図書が20-30冊はすぐに見つかります。
新しい手法や理論も盛んに紹介されているビジネス分野のファシリテーション(特に会議ファシリテーション)ですが、その根っこをたどっていくと、2つの手法に行き着きます。1つ目は、議論の過程を視覚化「見える化」する方法、2つ目は、議論の成果を構造化して「合意形成」を図る手法です。そこで入門編の授業では、①ファシリテーション・グラフィックの手法と、②KJ法の手法を1日かけて実習しました。
午前中は(短くいうと)ファシグラの実習から。最初にもぞう紙(岐阜県ではB紙と言いますが)に水性マジックで文字や線や記号を書く練習から。初めての人には先ず道具の扱いと、もぞう紙に書くことの抵抗を無くしてもらいます。その次に、講師の話すストーリーをファシグラしてもらう練習。同じ内容なのに、4人それぞれに書き方に個性が出ます。最後は、3人で行なう15分の模擬会議を2人がファシグラで記録し、その内容を1分で要約して紹介しました。かなり実践場面に近い演習です。
午後は、議論を構造化する古典的方法にして、今でも多くの場面で使われているKJ法の演習。KJ法に先立って、ブレーンストーミング方式で短時間にアイデアをたくさん出す練習をしました(ブレストの4原則というのがあります)。それらのアイデア・カードを整理し、構造化し、キーワードを見つけ、最後に関係図を作るという4段階(簡易方のKJ法ですが)を行ないました。アイデアの全てが成果物に位置づけられること、全員で話し合いながら段階をふんで抽象化と構造化を進めること。合意形成のエッセンスがここに詰まっています。
こうした基本的なツール(手法)を身に付けて、学生の皆さんが2013年夏休み、さらには2年次の課題研究のフィールドで活躍してくれることを願っています。
記:山村づくり講座 嵯峨創平