2013年6月18日火曜日

クリエーター科1年「森林調査法」〜常緑広葉樹林の調査〜


少し報告が遅くなりましたが、先週、山村づくり講座と林業再生講座の1年生が受講している「森林調査法」の実習がありました。
最初の2回は人工林の調査でしたが、今回からは身近な広葉樹林の調査になります。最初に植生帯区分や植生遷移の簡単な講義を受けた後、調査地に向かいます。今回の調査地は近隣の神社の社叢林。神社やお寺の裏山の多くは禁伐になっていることが多く、大抵はその地域の極相状態の林を見ることができます。アカデミー周辺は暖温帯なので、シイ、カシ類が優占する常緑広葉樹林となります。

前回も書きましたが、この授業では調査法を学ぶだけでなく、調査を通して身近な林の構造、成り立ちを理解することも目的としています。今回は周辺の極相林であるところの常緑広葉樹林について学ぶことになります。
コドラート法による調査枠を設置した後、数名の班に分かれて調査を始めます。毎木調査班は、枠内の全ての樹木の樹種と胸高直径、階層(高木層、亜高木層、低木層、草本層)を記録します。


また実生の調査も1mの枠を設置して調べていきます。


また別の班はそれぞれの樹木個体の樹冠のひろがりを方眼紙に落としていって、樹冠投影図を作成します。樹冠の端を見るために上を見続けて首が痛くなった学生もいたようです。

さらに林の階層構造を視覚的に理解するために、植生断面図を作成します。あらかじめ設定した線上に位置する樹木個体を、その立木位置や樹高、直径を調べた上で方眼紙上に描いていきます。絵のセンスが要求されるところもありますが、なんとかそれらしい絵ができていますね。

それぞれの調査を交代しながら、やり終えることができました。
次の授業でデータの解析をすることになります。

余談ですが、神社の境内でサカキの花が咲いていました。神事に使われる(玉串)ということで神社にゆかりのある木でもあるのですが、常緑広葉樹林の代表的なメンバーでもあります。花が咲いているところをきちんと見たことは無かったのですが、意外ときれいな花ですね。


また林内のコジイの根元には、カンゾウタケが発生していました。その名のとおり「肝臓」のような形と色合いをしています。大きなシイの生立木から発生するきのこで、心材部分を腐朽させて栄養をとっています。日本ではあまりなじみがありませんが、海外では生のままサラダにしたりして食用にします。少し酸味がある変わった味です。シイ林を訪れる機会があれば探してみてください。