2013年12月12日木曜日

学生が学びたいことを学ぶ 『先進林業事例』 速水林業ほか

常に先を見据えた速水亨代表に学ぶ。
 
   林業再生講座の中嶋です。

 今週の月・火は『国内の先進林業事例(担当教員:川尻)』で三重県の尾鷲を訪問しました。

   尾鷲で林業と言えば、速水林業・そしてトヨタの森が有名です。

 この授業では学生が視察先を希望できるというもので、真っ先に希望したのが尾鷲でした。
ありがたいことに速水林業・トヨタの森を管理する諸戸林友からお許しをいただき、二日間
かけ、じっくりとお話を伺うことができました。

 一日目に訪問したのは速水林業です。

 代表の速水さんと川端さんからお話を伺いしました。

 印象的だったのは常にチャレンジしている姿勢でした。

 例えば、植栽本数を徐々に減らしていき、何本が現在の市場価格に見合うコストになるのかを
調べていたり、枝打ちを全部やるのではなく、1,000本/haだけにするなど、損益を意識して施業方
法の改良を常に続けていることがよくわかりました。

 「目的と方法を整理しなおし、別の方法でできるかもしれないと考えることが大切だ」と川端さん
はおっしゃられており、その具体事例をいくつも教えていただきました。

 その後、実際に速水林業の森林も見せていただきました。

 下層植生が豊かな人工林は一般の人工林とは全く異なるイメージ。
「植えた時より伐る時の方が森林土壌が豊かになっていることを目指している」という考えが現れ
ていると感じました。


 また、育種場ではポット苗とその育種方法も見せていただき、苗に対する意識の高さを感じまし
た。
 林業の入り口である苗の大切さに気付くとともに、品種に対するこれまでの勉強不足を痛感し
ました。

 土場では玉切りへのこだわりをお聞かせいただきました。

 原木が商品だということ、商品を作るということがどういうことなのかが自分の中で明確になりま
した。

 「林業には知恵が必要だ。知恵を出すには知識が必要。知識を得ることを怠ってはいけない。海外の事例、昔の事例も勉強することが必要だ」  という趣旨の話を速水代表から伺いました。

 私たち学生は知識を得ることに恵まれた環境にあります。少しでも多くのことを学んで卒業を迎え
られるよう決意をあたらにした一日でした。

 お忙しい中、お時間を割いていただき速水さん、川端さん、ありがとうございました。


  二日目はトヨタの森を管理している諸戸林友に伺いました。

 諸戸林友では生産管理や安全管理を中心に細淵さんからお話を伺いました。

具体的な施業方針や施業方法も聞くことができ、こちらも目から鱗が落ちる話が多数ありました。

 まず、最初に驚いたのは作業ごとに決められたドレスコードがあるという話です。

 ドレスコードはレストラン等で聞いたことはありましたが、作業現場の服装に使われているのは
驚きました。


 多くの事業体で防護装備の話は聞きますが、ドレスコードという表現にすることで、守るべきもの
であるという意識付けが強くなるのではないかと思いました。
 また、手順書も作られているだけでなく、一つ一つの手順がわかりやすく、注意点やコツなどまで
書かれたわかりやすいもので、このままアカデミーの教本として持ち帰りたいと思ってしまうほどの
内容でした。
 その他にもKY活動日報の内容毎日の生産管理をどのように行っているかなど、参考になる
事例で溢れていました。


 その後、トヨタの森に入り、施業状況や施業方法を詳しく聞きました。
選木マンは伐捨、搬出、バイオマス用搬出で選木マークの方法を変えているといった細かな作業
ポイントから、プロセッサは皆伐時のバイオマス分にしか使わないというデータをもとにした考えま
で幅広く、そして深く伺うことができました。

 見学させていただいた森林は枝打ちがされており、成長もいいので、今後どういった木に成長し
て行くのか楽しみなものでした。
 これからどのような施業がされていくのかも興味深く、またお伺いして、ご指導いただきたいと思いました。

 最後には土場でアカデミー卒業生の安江さんにもお目にかかることができました。
安江さんの表情には仕事の充実ぶりが現れており、アカデミーの卒業生の活躍が見れたこともうれしいできごとでした。

 多くの質問に必要な資料をすぐに用意していただいた上、わかりやすく説明してくださった細淵さん、本当にありがとうございました。

 尾鷲への視察は、時間の都合でおいしい魚は食べれなかったですが、それ以上の感動と驚き
があり、本当に充実していました。

 卒業まで残りわずかですが、アカデミーに戻って、知識を得るための研鑽に励みます。
速水さん、川端さん、細淵さん、本当にありがとうございました。