2015年1月15日木曜日

都市農山村交流実習風景(山県市谷合)


今回の都市農山村交流実習は、山村づくり講座1年・2年合同で山県市の谷合・円原地区を訪問しました。
当初の予定では、収穫した稲の脱穀と唐箕を使った選別を屋外でするはずでしたが、雨のため作業できず、屋内でゆっくり1日を過ごすことになりました。

まずは、地域おこし協力隊員であるNさんが改修してゲストハウスにしようとしている、旧松久旅館跡の建物にやってきました。




かつてここは、根尾から福井に抜ける越前筋と、小谷合から洞戸に抜ける郡上筋が分岐する要衝でした。 山の仕事をする人で賑わい、食事ができて泊まれる宿屋が数軒ありましたが、この松久旅館を最後になくなってしまいました。
ここをゲストハウスとして改修し、定住促進のお試し体験ができて、地域の人と外の人を繋げる施設にしたいというのがNさんの計画です。

数日でも1週間でも滞在して地域の雰囲気を見てもらいたいので、値段は低めにしてWWOOF(World Wide Opportunities on Organic Farm の略で、農業の仕事を手伝ってもらう代わり宿と食事を提供するシステム)やアコモデーションエクスチェンジ(宿の仕事を手伝ってもらう代わり格安で宿を提供するシステム)、仮の管理人になってもらうようなことも考えるそうです。

食事は当面は自炊か、農家レストラン「舟伏の里へおんせぇよぉ~」 からのケータリングになります。アクティビティは今のところないものの資源はあり、ありのままの魅力、居心地の良さを感じてほしい考えているそうです。

バスの本数が少ないので、日帰りでは滞在時間が短くなりがちですが、泊まれるところがあれば滞在が長くなるのではないかとも。



ゲストハウスとして来年(2015年)春先にオープン予定で、これからコンポストトイレ、薪ストーブ、くどを作り、将来は隣の建物を壊してカフェとオーガニックファームも作りたいそうです。






地域資源の一つである、ドロマイト鉱山跡や、伏流水からなる美しい円原川を見てから、円原にあるYosさんのお宅でお弁当を使わせて頂いたあと、アカデミーOBのYamさん・山県楽しいプロジェクト代表のYokさんのお話を伺いながらゆっくり過ごさせていただくことに。

Yosさんは現在は谷合にお住まいで、かつての円原のお宅を、Yamさん達が時々使わせていただいているそうです。 以前は養蚕をされていた2階建てのお宅で、くどや囲炉裏を改造した時計ストーブ、五右衛門風呂の湯屋、沢水を引いた池などがあり、化石燃料を使うようになる前の山村の家の姿を残しています。







地域での人間関係や物事の進み方についてYamさんの感じていることをお聞きしました。
「取り決めや仕組みでない部分で動いていることが多く、難しく考えるとかえってうまく行かない。」「満点評価でなく、一度失敗してもそれが全てではなく、挽回はできる。」「個人の信用で動いているので事業的な進め方で見える化されるとオオゴトになり各方面に迷惑がかかる。」「一方で
ビジネスにならんようなことはだめだというバリバリやる人もいる。」「ゆるくやる人も、バリバリやる人もどちらのタイプとも付き合っていける人は貴重。」「貸し借りがずっと続く関係であって、感謝の気持ちを伝えるのは良いが、借りを返したいという気持ちでお返しをするのは良くない。」など、これから地域での生活を目指す我々にとって、とても参考になるお話でした。

お話を伺う合間に、薪を割って五右衛門風呂を沸かしました。









しかし、薪を割るときにヨキの柄を折ってしまったり、風呂を沸かすときに焚口付近で火力を上げすぎてコンクリート製の焚口を崩してしまったりと失敗が続いてしまいました。

山田さんから、いずれも「加減」を見ずにやってしまったことが原因とご指摘いただきました。
地域での暮らしは加減を見ながら進めるのが重要だと身に沁みました。

夜になり、谷合地区で今日から始まるイルミネーションの点灯式を見に谷合支所に行きました。

静かな山間のまちに屋台が出て大勢の人が集まって、昔ながらの雑貨屋さんや豆腐屋さんもイルミネーションで飾られ、不思議な光景です。
レーザーショーや花火で盛り上がる中、谷合をあとにしました。







後日、ヨキの柄を挿げ替えてお持ちし、五右衛門風呂の焚口修復をお手伝いさせていただきました。








Yosさん、Yamさん、Yokさん大変お世話になりました。

クリエーター科 山村づくり講座1年 西潟 洋一郎

( この授業は2014年11月1日に実施しました。 担当教員 原島幹典 )