2015年11月10日火曜日

「木工の材料学」広葉樹が全国各地から集まる市!


実習「木工の材料学」では、座学だけでなく、全国有数の木材市場が開催される岐阜県ならではの地の利を生かした授業が用意されています。
現地現物に触れ、ようやく座学が腑に落ちるのです。
初めて目にする木材市の現場を学生の眼にはどのように映ったのでしょうか?
学生レポートが出てきましたので紹介します。


10月7日、木材を利用する立場にあるクリエイター科ものづくり講座と木造建築講座、エンジニア科林産業コースの学生7名で平野木材さんを訪れました。「木工の材料学」という授業の一環です。



 
 
ちょうど翌日は満39周年記念市ということで、下見に来ていらっしゃるお客様に混じって、市前日の様子をみることができました。
 
 平野木材さんは、広葉樹原木及び半製品の市売卸売業として、ケヤキを中心とした多品種の広葉樹一般材を取り扱っており、大手メーカーから木工好きの個人まで幅広いお客様がいます。これまではほぼ国産の広葉樹のみを扱っていましたが、国内広葉樹の減少とケヤキの人気低迷により、5年程前から外国のものも仕入れるようになりました。今や売り上げに大きく寄与しているとのことです。
 
 
とは言っても、どーんと存在感のあるケヤキや、その他タモ、サクラ、クリ、ウダイカンバ、イチョウ、それからあまり聞いたことのないチャンチンといった丸太まで様々な国産材丸太がありました。これら国産材広葉樹のうち、岐阜県産はほんの一部・・・。東北や北海道からの仕入れが多いそうです。



 

                 そしてその横には、迫力ある大径木が!
マホガニーやチーク、ブラックウォールナットといった外材です。
 
 
 
 
 

 
 


 
市の会場で原木や製材品をみた後、平野木材の岩出さんよりお話を聞き、様々な質問にも丁寧にお答え頂きました。
平野木材さんのある、各務原市の岐阜木材団地は今年で誕生して39年。もともと岐阜市で仕事をしていた木材会社等が、場所の確保や騒音などの問題で木材団地に移転したり支店を置いたりすることで誕生しました。しかし、最近は針葉樹を取り扱う市場が7年程前になくなり、木材団地に活気がなくなっているということです。

岐阜県は木材流通の盛んな地域です。もともとは愛知県で盛んだった木材流通を岐阜の人が学びに行き、愛知の土地代が上がった今、岐阜の方が多く残っているということでした。また、30年くらい前までは、岐阜県産材もたくさん出ていたということです。今は、県産材はあまり出回らず、関東以北から仕入れ、関東以南へ売るということですが、それも岐阜県から材が出なくなることを見越して、他地域が広葉樹の流通に目をつけるより早く、東北や北海道とのパイプを築いてきたからこそのことです。
岩出さんからは、国内の厳しい木材の流通状況を踏まえて市売り以外でも収益を上げられるよう、海外展開も視野に今後の方向性を模索していきたいというお話もお聞きしました。また、会社に若手が少ないとのことでしたが、今後を考え目利きの後継者を育てていきたいというお話も伺いました。
 
岐阜県における広葉樹流通について、肌で感じることができる貴重な体験となりました。どうもありがとうございました。
 
(文:Cr1年草刈万理子)