今年度は、アベマキ、アベマキとうるさいですが、もうしばらくお付き合いください。
美濃加茂市と進めているアベマキ学校机プロジェクト。2月初めには、机の天板を6年生の生徒たちと作ったことをご報告しました。
その6年生たち、2月12日に新1年生となる現在の年長さんが交流会として小学校に遊びに来てくれたので、その中で、アベマキの机の贈呈式を実施しました。
ここでは、 これまで私たちが説明してきた里山のこと、アベマキのこと、そしてこのプロジェクトことを自分たちの言葉で年長さんにもわかりやすいように説明をしてくれました。
この1年間自分たちがどのようなことをしてきたのか、写真を見せながら説明をします。丸太から板になって、乾燥して、格好して、、、という流れも自分たちでセリフを考えて準備をしてくれたそうです。先日の天板づくりの様子も、実際使った道具なども見せながら、こんな風に作ったんだよ、と見せてあげていました。
そして、そのアベマキ天板が取り付けられた机を年長さんに贈呈します。これまでやってきたことがここでやっと輪としてつながりました。
この6年生が初めてアベマキ天板をつくり、年長さんたちは初めてアベマキの机をつかい始めます。ここでつながった輪っかは、これからぐるぐると回り続けていきます。
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一方で、少し遡って2月5日は現在の5年生の生徒たちにアベマキ林に来てもらい、伐採の様子を見学してもらいました。つまり、2巡目に入ったということです。
すでに6年生が取り組んでいることを少なからず知っているため、自分たちがこれからどのようなことをしていくのか知っている様子。それでも当日は最初に美濃加茂市の担当職員、可茂森林組合の職員、そして私からこのプロジェクトがどのように始まったのか、どんなことをするのか、里山のこと、アベマキのことを紹介しながら説明をさせてもらいました。
そして、さっそく可茂森林組合の若い職員によって大きなアベマキが伐採されるところを見学してもらいました。
倒れる瞬間、その大きな衝撃に言葉も出ないほど。それでも、倒れた木に生徒全員が乗ったりして楽しんでいました。また、アベマキの独特な香りは「くさーい」とお互いになすりつけたり、ごつごつした樹皮を触ってはきゃっきゃしていました。
この木は、根元部分は用材(つまり天板に)、真ん中あたりは薪などの燃料に、そして枝など細い部分はシイタケ原木に使います。つまりまったく無駄にする部分がないのです。そういうことも森林組合の職員から説明をします。
そのあと、実際にシイタケの菌打ちを行いました。事前に用意しておいた細いアベマキに自分たちでシイタケ菌を入れていきます。一人一本、自分のほだ木です。1年でシイタケが出てきて、卒業の時期にアベマキシイタケが食べられるのが一番理想的ですが、通常コナラなどのほだ木に比べてアベマキは出てくるのが遅いため、それは難しそうです。
それでも、みな楽しそうに作業をしていました。このほだ木は、学校で保管します。
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先日、読売新聞にこの取り組みが紹介されたとき、「新しい伝統を作る試みが行われている」と表現されていました。まさしく、この取り組みがこの小学校、この地域の伝統になっていけばそんなにうれしいことはありません。
1年以上美濃加茂市と進めてきたこのプロジェクトですが、正直、アカデミーの役割は大方終わったと思っています。それは、美濃加茂市の頑張りもあり、地域の人たち、小学校の先生たちがこのプロジェクトの意義を理解していただき、前向きに 取り組んでもらえるようになったからです。
また6年生がこれまで発してきた感想や自分のことばで年長さんに説明をしたことは、プロジェクトを実施している大人たちから見てとても驚きでした。子どもたちが里山と自分たちの暮らしのつながりを理解している、1年前からの成長を実感できたからです。もう地域のプロジェクトとして、自分たちの手で回していけると思います。
アベマキの乾燥技術や持続可能な伐採をするための資源量調査は今後も引き続きやっていきます。
また、森林文化アカデミーはさらなるアベマキの活用に関して、この学校机プロジェクトのような地域と協働で取り組めるプロジェクトを来年度は試行していきたいと思っています。さらに、深化します。