林業再生講座 24年度のクリエーター科2年生
先進林業事例で郡上市白鳥町にある 「白鳥林工協業組合」 を訪問しました。
白鳥林工協業組合では美谷添理事長さんから、会社の事業概要などについてお聞きし、学生が
事前にお願いしておいた質問事項にお答えして頂きました。
上の写真の事務所は、森林文化アカデミーの辻充孝先生の設計によるもので、長良杉やカラマ
ツが使われ、長良杉パネルやブナのテーブル、薪ストーブが配置された心地良い空間でした。
白鳥林工は森林整備から利用間伐、製材、長良杉パネル製作など、伐採から加工まで手がける
岐阜県内では数少ない林業全般にわたる内容を網羅する組合です。
現在、従業員は21人、うち13人が森林整備、5人が木材加工と製材、3人が事務職です。
森林整備の対象は主に国有林ですが、生産された木材を自社製材して、長良杉パネルを生産して
います。
森林整備ではハーベスタ 2台、スイングヤーダ 2台、フォワーダ 2台、グラップル 1台の
計7台を所有されていますが、現時点は冬場に雪のため稼働しないことが問題で、毎年11下旬
から3月まで休止となっているのが問題とのこと。
森林整備については、
1)冬場の仕事確保
2)若い技術者の養成と熟練者の退職
3)生産性の向上 が課題となっているそうです。
森林整備については、毎月、全職員での会議を実施し、ヒヤリ・ハット事例などの発表や研修も
実施されておられます。
次ぎに、白鳥林工の施業プランナーである石ヶ谷さんに、工場内部をご案内して頂きました。
写真に写っているのは長良杉パネルの在庫です。県外からの大量注文に備えて、桟積みされて
いました。
この日も埼玉県や富山県からの注文に応えて、発送された荷物がありました。
また、木造建築の一戸建ての建材をすべて製材依頼されることも年に何件かあり、大阪のM's設
計(三澤先生)からもご依頼があります。
他にも、郡上市の白鳥中学校建設の際にも木材も提供されたそうです。
次ぎに、専務の美谷添久さんから、バイオマス利用によるボイラーについてお聞きしました。
なんと、白鳥林工は何十年も前から、製材くずや樹皮などは、写真の炉で燃やしてボイラーを
沸かし、低温から中温の木材の乾燥や、長良杉パネル作業場の暖房に利用しています。
ゴミを出さずに、熱源利用して、木材を乾燥する姿は、たいしたものです。
写真の木材は3ヶ月天然乾燥した木材を、一週間バイオマスボイラーで乾燥した木材で、高温
乾燥された木材とは違って、ちゃんと「木の香り」が残っていました。
次は、長良杉パネル作成現場です。製材した板材を矧ぎ合わせられるようにモルダーをかけて
います。そして、この板材を木表と木裏を交互に組み合わせて、パネルと作ります。
サイズは、30mm厚と21mm厚、15mm厚を基本に、 ×910mm幅×1820mm長
×1000mm幅×2000mm長
×1000mm幅×2600mm長
などがありますが、これ以外の注文にもお応えするそうです。
接着作業は2人作業で、手前左にある白いローラーについたグルーをつけて、矧ぎ合わせ圧縮
し約40分後に一枚ができあがります。
加工品でありながら、「無垢」感のある長良杉パネル。本当に手間のかかる製造過程を経て、一
枚ができあがるのだと感じました。
さて、JIRIは先代の理事長さん美谷添清和さんにも、林業のなんたるかを教えて頂いたこともあ
り、今回の訪問で先代の意思を引き継がれながら頑張っておられる皆さんの姿を見て、うれしく感
じたのです。
白鳥林工の理事長さん始め、従業員のみなさま、このたびはお世話になりました。
有り難う御座いました。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。