2012年5月30日水曜日

エンジニア科1年生 「森づくり実習」で広葉樹林施業を現地研修

 岐阜県は県土面積に占める森林の割合、つまり森林率が82%あります。岐阜県の森林、約87万haのうち、人工林の占める割合は45%です。全国平均は41%なので、全国的には人工林が少し多い方になりますが、広葉樹を主体とした天然林も55%あるのです。

 そこで、今回の実習は多雪地帯に設定された広葉樹林(人工植栽と天然林)に勉強に出かけました。

 場所は高山市荘川町六厩(むまい)にある「荘川広葉樹総合実験林」です。
森林文化アカデミーのある美濃市から東海北陸自動車道をつかい荘川ICを経て、約1時間30分、海抜約1,000mの実験林につきました。道中の河川沿いではヤマセミの姿も見られました。

 本日は横井教授、津田准教授、ジリこと川尻の三人が引率し、最初に準備体操です。現地ではコマドリ、コルリ、オオルリなどの鳴き声を打ち消さんがばかりのハルゼミの鳴き声。

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 現場の斜面の向きは南南西、土壌型はおおむねBD(d)型です。
 斜面の下から順にカツラ、ケヤキ、クリがそれぞれ4,000本/haの密度で造林されています。植栽の時期は、カツラとケヤキが1985年の春、クリが1985年の秋ですから、約27年生の人工植栽地を見学しました。


 最初に山の斜面下部、もっとも水分条件の良いところに植栽された「カツラ」の人工植栽を見学します。

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 除伐が遅れたためか、土壌が良い割には直径成長は思ったほど成長していません。ここで学生と先生との問答です。成長が良い個体と悪い個体との差が激しいです。
 最初は「樹種は何か」から始まり、「樹型の特徴はどうか」、「どうして思ったほど成長しないのか」など、現場の樹木を見ながら考えます。


 次に、ケヤキの人工植栽です。ここでも「樹種は何か」から始まり、「樹型の特徴はどうか」、「成長はどうか」、「木材としての価格は」、「木材の利用分野は」など、現場の樹木を見ながら考えます。このケヤキは成長が悪く、成長が良い個体と悪い個体との差が激しく、樹型も今一。

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 次に、クリです。この斜面では斜面上部に植栽されています。成長が良い個体と悪い個体との差がありますが、意外なほど成長が良く、広葉樹の中でももっとも早くに伐採して建築の土台などに利用できること。この現場ではクリが良い成績を収めていることを実感しました。

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 さて、ここで問題なのが、「広葉樹の造林木は大きさがばらつく」ことです。
 胸高直径も樹高もにクリが最も大きく、次いでカツラが大きくなっていました。クリの成長が良いのは土壌条件が適合していたため成長が早くなる特性が発揮できたからと考えられます。これに対してケヤキの成長が良くないのは、現場の土壌がケヤキの適地でなかったためです。ケヤキはもっと土壌の良い場所でないと、思った成長が望めません。
 また、どの樹種も分布の範囲がとても広く、成長が良い個体と悪い個体との差が激しかったように、造林木の大きさがばらつくのが広葉樹の特徴なのです。

 広葉樹造林で最も重要な点は、「大きくなる木は樹冠も大きい」と言う点です。

 樹木が成長するためには葉が多いことが有利です。その葉は枝、つまり樹冠を形成します。幹が太る、つまり直径成長と樹冠の大きさとには比例関係があります。大きな造林木ほど大きな樹冠を持ち、樹冠が高い位置にある(=樹高が高い)のです。

 人工林を過ぎたところでミズナラの天然木、横井先生によると300年以上のものらしい。西坂さんと比較してみて、大きいことを実感します。

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 最後に、天然林の中で、広葉樹の立木密度などを実感してみます。針葉樹と違って、一本が占有する面積が大きいことも実感しました。
 ちなみにこの現場は以前は一面のササ原でしたが、最近はニホンジカの食圧によって、ササが減退してきています。ニホンジカ恐るべし!

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 今回はカツラ、ケヤキ、クリ、ブナ、ミズメ、キハダなどの人工植栽と天然林を見学しました。やはり広葉樹の人工植栽、「難し~い。」と感じながら荘川を後にしたのです。

 以上、ジリこと川尻秀樹でした。

2012年5月29日火曜日

自然エネルギーって?

森林文化アカデミー生涯学習部門ではパーマカルチャー中部と共同で生涯学習講座を開催します。


自然エネルギーってすごく高価で、すごくハードルが高いと思ってませんか? 
エネルギーとは何か?電気とは何か?からわかりやすく学びましょう!


今回は名古屋大学環境科研究科准教授 高野雅夫先生をお呼びしての、2回講座です。

��回目はなんと!太陽光発電システムを作っちゃいます!

��回目は清流の地域岐阜には不可欠!? 自転車のタイヤを利用した小水力発電機を作ります!

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「連続講座1自然エネルギーを始めよう」

��回目/開催日:6月30日(土)~7月1日(日)
    場 所:森林文化アカデミー(美濃市)
    参加料:3,500円程度
��この他に太陽光発電システム自作持帰り希望者は材料代として50,000円程度必要)
��回目/開催日:8月4日(土)~5日(日)
    場 所:竹姿庵(揖斐川町坂内)
    参加料:3,500円程度
��この他に小水力発電システム自作持帰り希望者は材料代として20,000円程度必要)


連続講座ですので、2回とも参加できる方が対象です。
講座について、詳しくはパーマカルチャー中部HPをご覧ください。
お申込お問合せもパーマカルチャー中部(こちら)へお願いします。
申込締切は6/16(土)です。


これを機にエネルギーについて、暮らしについて考えてみませんか?


保育士さんが森に来た! 美濃市保育士研修会

去る5月26日、森林文化アカデミーに美濃市の保育士さん40名が
研修会のために集まりました。テーマは「森のようちえんプチ体験」

研修後、保育士さんたちが、1分でも多く、1人でも多くの子どもを
美濃市が誇る豊かな森や川に連れて行ってもらいたいという思いを込めて実施しました。
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研修会といってもお話なんてありません。理屈ではなく体験から気づくことが重要です。
1時間半という限られた時間の中ではありましたが、草花で遊びながら歩いたり、虫と遊んだり、
木の棒を引きずり回してみたり、つるで縄跳びしたり、のんびり散歩しました。
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そして最後は恒例となった「裸足で小川歩き」です。小さな小川をはだしで歩くと皆さん大興奮。
あちこちから喚声があがります。皆さん最初は裸足になることを躊躇していた様子でしたが、
一旦歩き始めると一歩一歩変わる足裏の感触を確かめながら、なかなか楽しそうに歩いてました。

「こんな感覚、数十年ぶりだわ」とは、とある保育園の園長先生。
終わった後は皆さん口元がちょっと緩んだような表情でした。
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最後はレイチェルカーソンの「センスオブワンダー」を紹介。
「知ることは感じることの半分も重要ではない」という言葉で締めくくりました。
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保育士のみなさん、ぜひ子ども達を美濃の素晴らしい自然の中にどんどん連れて行ってくださいね。

自然体験活動指導者・インタープリター養成コース 講師 萩原裕作(ナバ)







2012年5月28日月曜日

大径木伐採のための道 第2弾

 現場の伐採は結構危険です。小さな木でも思い通りに倒れませんし、太い木は裂けたり、伐採後に大きく跳ね返ったりと、予想できない危険があります。

 そのため伐採者は、伐倒方向や待避場所はもちろん確認しますが、服装もしっかりしなくてはなりません。
 ドイツなどでは伐採の勉強を3年ほどした方が、チェンソーでも切れないブーツを履き、チェンソー切創防止のための衣類を身にまとい、防振手袋をし、セイフティグラスか防面マスク、ヘルメット、そしてイヤーマフ、ホイッスルを装着します。

 しかし日本では、多くが木綿の作業服に地下足袋、これにヘルメットをかぶる「程度のところが未だに多い。

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 今回、前回の60cm級の立木の時には準備が不十分だったので、地下足袋も「ウッドランドスパイク地下足袋 甲ガード付き安全スパイク」に履き替えて、手袋もより振動の少ないゴム製のものを使用。
 足のチェンソープロテクターは、見た目には内容に思われますが、色合いがオレンジで恥ずかしいとのことで、今回は新品の「軽量チェンソー ガードG」を作業ズボンの下に装着しています。
 もちろん耳栓もしてますよ!


 今回の大物、根元直径が90cmを越えます。木の傾きを確認し、伐倒方向を定めるのはもちろんですが、最初に木に挨拶をして、根元付近を美しく整えます。
 これはジリの仕事として、根元付近に付着した苔類を削ぎ落とし、周辺の雑草木を刈り払います。

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 下野君が江崎さんに指導されながら受け口を切断して行きます。チェンソーの大きさが半端なく、ハスクバーナの62CCエンジンに、60cm級のガイドバーがついています。
 重さも半端ないのでですが、回転数が良く、目立てが十分されているため、サクサク切り込んで行きます。

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 受け口の斜め上からの切り込みも簡単です。今回は日本の伝統的な受け口の切り方でつくりました。最近は斜め切りを先にして、水平切りが後の場合が多くなっています。

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 大径木になると受け口を切っても、開口部が大きく一度にうまく切れません。そこで斜面の下側からも受け口の切り直しを行いました。

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 追い口を切るのも感度良好。サクサクとチェンソーが食い入っていきます。ただ、重いチェンソーを支える腕が悲鳴を上げ始めてました。
 体力不足と余分なところに力が入ってしまうことを実感・・・・! がんばらんとね!

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 追い口をある程度切ったところで、楔(矢)を打ちます。ツルの効き具合と伐倒方向の関係から、谷側には大きな楔を2枚、山側には小さいものを1枚、大きな2枚は強く打ち込み、小さな1枚は軽く打ち込みます。

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 楔を打つと「ミシッ、ミシッ」と音はしますが、梢は一向に動きません。
そこで切断面をのぞきもむと、少し切り足らないと思われるところを発見し、追い切りします。

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 追い切りを終わって、楔を打とうとすると、・・・・・・

      ・・・・なんと、伐倒方向めがけて、立木が横たわっていきます。思わず、下野君も江崎さんも待避場所へ待避!!

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 最後は、自分で初めて伐採した大径木にまたがって、記念撮影した下野君でした。



大径木伐採のための練習への道 第一弾


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 このスギが今回の大物、根元直径は90cm越え、多分、森林文化アカデミーの学生で学生時代にこれほど大きなものを伐採したものは誰もいないだろう。


 エンジニア科2年生の下野君は「チェンソー操作がうまくなりたい」。その一心でチェンソー操作になれることを目指して、郡上市白鳥町の平野守さんに師事しして少しずつなれてきました。

 そこで今回は、森林文化アカデミーの非常勤講師でもある山県市片原の江崎林業(江崎尚史)さんが伐採しておられるスギの伐採現場に出かけ、許可を得て大径木の伐採を指導して頂きました。

 休日の山ですが、最初は体調チェック、服装チェック、準備体操、そして機械の試運転。そして今日の作業手順を、江崎さん下野君、ジリの3人で打ち合わせ。
 ここは桐山製材さんの山で、板材で有名な「美山スギ板」の乾燥させる場所をつくための伐採で、もちろん伐採したスギはすべて製材するとのことです。

◆最初の挑戦は根元直径60cmのスギを一人で伐採。

  しかし、これでさえ相当な大物、樹高も25mはある。・・・心配!
見るに見かねた江崎さんが、最初にチェンソーの歯の入れ方を指導し、ところどころアドバイスしてくださいました。最初は受け口づくりです。

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 次は、追い口です。このチェンソーは江崎さんんが目立てをしてくださったものなので、歯の食い込みが良い。今風に言えば「やばい」。勝手に切削していってくれます。

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 江崎さんは少し離れたところから、不備がないかを確認しながら、下野君の手さばきを眺めています。

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 追い口を切り終えて、江崎さんからOKのサインをもらったので、こんどは「楔打ち」です、楔は山では「矢」と呼んでいます。
 江崎さんが「大きな矢2つ、手前には小さな矢一つ」と言うので、指示通りに黄色い矢を追い口に、斧で打ち込みます。

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 何度か矢を打つと「ミシッ、ミシッ」と繊維が切れる音、そして梢が傾くのを感じました。
一斉に、笛を鳴らして、待避です。
 下野君も倒れる姿を見ることもなく、一目散に待避しました。

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 まさしく、伐倒して「倒れる」その課程そのもの。

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 切り株を見るとわかりますが、ツルは2カ所です。 受け口側から突っ込み切りしてあるのがよくわかります。これは心材が抜けないための処理です。またツルの効き方が、斜面上側(「写真上側)と下側で相当違うことがわかります。・・・あなたは、この違いがわかりますか。

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 伐採したスギの根元についている「サルカ」を切り落とします。そして最後の頭巾仕立てをします。
丁寧な仕事は川下で喜ばれます。
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 チェンソーで元口部分をきれいに切り直して、「化粧」するのが昔からの伐採のしきたりです。
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 今回は、第一弾です。 次回は、最初に見せた大径木を伐採します。

下働きのジリも疲れましたわ!
                              以上、川尻秀樹からの報告でした。


木材市場見学

エンジニア科1年の木材流通に加えて、クリエーター2年の材料学実習合同で、木材市場に見学に行きました。昨年と同様、午前中は東海木材相互市場の大口市場へおじゃましました。石井常務から、木材市場の仕組みや現状をスライドで紹介していただいた後、市場内を見学させていただきました。見学した学生は大半が木材市場そのものを見学することが初めてで、いろいろなものが目移りしたのではないでしょうか。特にプレカット工場や、乾燥事業など・・・・。
実はエンジニア科1年生のみなさんには、製材工場、乾燥工場のことなど教えていない状況で、市場とはプレカット、乾燥もするところなんだと思われたのかな・・・・・・?
木材市場の本業そのものとその他の事業を授業で分けて整理して話しても、現実はそれらが渾然となり、わかりにくくしているのかもしれません。そして、市場そのもの以外にプレカットや乾燥事業を実施している経営戦略という市場の思惑など次第、次第に理解してもらいたいと感じた見学でした。
午後は本校の隣の郡上市美並町にある東海相互市場のサテライト美並です。小森営業係長に案内していただきました。並材を選別し、製材工場、集成材工場、合板工場行きに仕分ける作業を見学しました。5分もしない内に100本ほどが2人一組で仕分けられてゆきます。仕分け基準はお聞きしたもの、その素早い動きに学生一同呆然としていました。どれだけでこの達人になれるの?という質問が多かった。市場には出さないで、土場などで仕分ける県森連のシステム販売と同様の取り組みで、今後の主流になってゆく予感を感じ取った一日でした。
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プレーパーク通信 「知恵も学びも必然から生まれる」

プレーパークでの一コマ。
プレーパーク会場づくりをしていたところ、スタッフの庄ちゃんが
カブトムシの幼虫のすみかを発見。

そのまま子ども達から気づくようになんとなく、でもかなり
目に付くように(笑)置いておくと、さっそく数人の子ども達が
カブトムシの幼虫探しに熱中!
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幼虫をつぶさぬように、やさし~く土を掘ると指先に当たるあの
幼虫の感触。子ども達はいつになく真剣です。
経験ある大人の方は、その時の記憶がまだ指先に残ってるのでは!?
カブトムシの幼虫はスコップで掘ると切れたりつぶれたりします。
ですから「手堀り」が基本です。中には、土を触れない子どもが
いましたが、幼虫ほしさに、最後には手を泥だらけにして掘り始めました。
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そんなこんなで、小さな場所でしたがちょっと探しただけで14匹も。
そうなると、次に出てくるのが「持って帰って飼いたい~!」の声。
でもそう簡単に持って帰らせるほどスタッフは甘くありません。
��というか、そんなによい学びのチャンスはないので逃しません)

「幼虫が快適でいられるような入れもので持って帰ること」
「帰ってからちゃんと飼えるように幼虫のいた場所をよく観察すること」
この二つをクリアできた人だけ持って帰ってよいことにしました。
もちろん備品庫に沢山あった飼育ケースやらビニール袋のことは秘密です。
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すると、幼虫をもって帰りたくて仕方ない子ども達は、
トントンカチカチコーナーに移動して、木で「幼虫のお持ち帰り箱」を作り始めました。
その真剣なこと。あれこれ考えながら、斜めで不ぞろいな端材をうまく組み合わせて、
フタつきの見事な箱が完成。子ども達はとっても満足な顔でした。
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土を触れなかった子どもや、真剣な顔で幼虫を観察し、
箱をつくった子どもを見ていて気づいたのは、

「ほんとうの知恵や学びは必然から生まれる」 ということ。

今年から週3回、アカデミー内で始まることになったプレーパーク。
毎回、我々大人が「ハッ」と気づかさせられることのオンパレードです。
自然体験活動指導者養成コースの学生だけでなく、ここに関わる
多くの大人が、この空間でのびのびと遊ぶこどもたちから様々なことを
学べるのでしょうね。

これからも時折こうして「プレーパーク通信」として私達が気づいたことを
紹介させていただこうと思います。お楽しみに。

��自然体験活動指導者・インタープリター養成コース 講師 萩原裕作)






2012年5月26日土曜日

 岐阜県立森林文化アカデミー「 施業プランナー 」 育成研修 の第二回目を開催しました。

 今回は(1)森林簿による情報把握について、(2)県域統合型GISによる森林情報把握について、(3)森林所有者の特定と所有界の確認について、の3点が研修の内容です。

(1)森林簿による情報把握について
  県庁森林整備課の園山技術主査に、森林簿データとはそもそも何なのか?、森林簿等管理要領などについても説明をして頂きました。

 個人情報でもあるので取り扱いは慎重にすべきこと、森林簿貸与の申請方法など、様々な項目について説明をして頂きました。

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 続いて、川尻が、(2)県域統合型GISによる森林情報把握について、インターネットを利用して説明しました。

 岐阜県の建設研究センターが提供している県域統合型GISの「自然・環境」:項目を見ると、森林施業集約化のための項目がありますので、そこをクリックして齢級ごとの表示などを経験してもらいました。

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 このGISでは「森林の集約化」のところだけではなく、岐阜県の「地質や断層」を見ることができたり、「ぎふフォレナビ」にも入ることができ、大変便利です。
 特に、地質や断層は作業路開設時に大変有効な情報を得ることができます。みな、真剣にコンピュータに向かっていました。

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 次に、郡上市八幡町の河合渉さんに、(3)森林所有者の特定と所有界の確認について、お話し頂きました。

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 河合さんはローカル・サポート・アソシエイツという会社を経営しており、主に長良川流域での森林施業集約化の仕事をされています。
 多くの経験から、苦労されたポイント、失敗しされたポイント、そして問題にどのように対処したか。
研修者が疑似体験できるようにお話し頂きました。

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 実際に自分が利用しているGPSデータロガーを見せて、その利用方法を説明したり、森林簿データやGISソフト、カシミールなどを駆使して、集約化のための資料作りをどう作ったら良いのかを、わかりやすく説明してくださいました。

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 GPSデータを平面直角座標系に変換し、カシミールによってGIS画像処理した集約化データを見せて、森林所有者へのアピール方法なども説明してくださいました。

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 森林基本図や構図、字絵図、森林簿データなど、様々な情報を駆使して、それにGPSデータとデジタルコンパスデータを組み込むことで、森林所有者を説得できる資料をつくること。その一つ一つを説明してくれたのです。

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 最後に、今回の育成研修参加者記した(1)研修で学びたいこと、(2)意気込みの似顔絵、です。泣いている顔もあれば、汗をかいている顔、笑っている顔など、様々ですが、来年の2月が楽しみな意気込み表明でもあります。

 さぁ、みなさん、長丁場ですが一緒にがんばりましょう。 以上、ジリこと川尻秀樹でした。

2012年5月25日金曜日

短期技術研修(5/23)

��月23日(水)に短期技術研修、
今 さ ら 人 に は 聞 け な い「建築利用に向けた『ぎふの木』の流れ」~ 樹 か ら 木 そ し て 嬉 へ ~
を実施致しました。
森林のこと、製材や乾燥こと、木造建築の構造のことなどを学びました。岐阜県の森林をよくするために、参加者全員で岐阜県産材の現状の課題点を抽出して、解決策を提案しました。

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森林専門の横井先生、製材・乾燥専門の富田先生、木質構造専門の小原が、それぞれ話題提供して、パネルディスカッションをしました。

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グループディスカッションも行いました。

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参加人数は少なめでしたが、有意義な研修となりました。


森林文化アカデミーの全学生によるコロキウム

 今回はクリエーター科の「林業再生」分野が担当です。事前に林業再生と山村づくり・インタープリターコースも共同で2回ほど打ち合わせをして、今日この日を迎えました。

 内容は岐阜県林政部がこのほど発表した第二期 岐阜県森林づくり基本計画について、県庁林政課の久松一男企画担当係長さんをお迎えして、概要説明を頂く。

 その内容を理解した上で、5つのプロジェクトについて、学生が事業仕分けするものです。

 総合司会は林業再生分野の坂本さん。

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 久松さんからお話し頂く前に、山村づくり・インタープリターコースの山哲とナッキーがアイスブレイキングを実施、これで参加者の緊張も少しほぐれたかな?

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 全員が立って、体を動かしながら緊張をほぐしたのです。・・・本当にほぐれたのか?

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 さて、コロキウム英語で Colloquium と書きます。もともとはラテン語の「会議」が語源で、討論会とか共同討論、専門家会議、ゼミナールなどと説明されます。
 森林文化アカデミーでは、教員、学生間、ないしは学生相互間での意見交換や議論をする場としてコロキウムがあり、学生の活発な議論参加が求められます。

 久松さんからは、第二期 岐阜県森林づくり基本計画
(1)計画見直しの趣旨、(2)計画の位置づけ、(3)計画期間、(4)策定方法、(5)計画の進捗と管理、についてどのような考慮がなされたのかも説明がありました。
 県民からの意見聴取では、土砂災害や洪水の防止に関する要望が多かったことや、国の国産材供給計画についてもわかりやすく説明してくださいました。

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 岐阜県森林づくり基本計画の基本理念である「揺るぎない長期的展望と県民協働による持続可能な森林づくり」についても詳しく説明されました。

 総合的・重点的取り組むプロジェクトとして5つ、
   (1)恵みの森づくりプロジェクト
   (2)水源林保全プロジェクト
   (3)木質バイオマスエネルギーへの転換プロジェクト
   (4)森林経営合理化プロジェクト
   (5)有料県産材供給倍増プロジェクト

 について説明され、本年度から導入される森林環境税についても、説明してくださいました。

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 久松さんのご説明が終わってから、学生に教員も入って10グループでのグループ討議です。これがコロキウムです。
 (1)恵みの森づくりプロジェクト 約6300万円、 (2)水源林保全プロジェクト 約4億700万円、 (3)木質バイオマスエネルギーへの転換プロジェクト 約4800万円、 (4)森林経営合理化プロジェクト 約4億1000万円、 (5)有料県産材供給倍増プロジェクト 約5億円について、事業仕分けするのです。

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 各テーブルとも、真剣に話し合いが進行します。あまりにも前向きな学生の姿に、先生方も感心しきり。学生ならではの視点で、問題提起して行きます。

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 グループ討議を30分ほどして、次に10グループが順番に事業仕分け計画を発表して行きます。廃止はないものの、縮小や新規テーマの創設など、面白い意見も出てきました。
 専門家から見れば、不備はあるかもしれませんが、学生の斬新な考え方は行政の方も参考になる点もあるような気がします。

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 林業再生や山村づくりの学生さん、ご苦労様でした。そして、参加してくださった学生と学長、副学長、教員のみなさま、ありがとうございました。

 以上、報告ジリこと川尻秀樹でした。