2012年6月29日金曜日

森と木の 就職・転職セミナー in 岐阜

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東京、名古屋で開催し、好評だった「森と木の就職・転職セミナー」が地元、岐阜で開催が決まりました。
会場や、時間割は未定ですが、こちらで申し込みは受け付けています

会場・時間割が決まり次第、ホームページ等でお知らせします。

森林・林業、山村活性、環境教育、木造建築、木工・木育の分野について、現状抱える課題や、解決していっている取り組み、そのためにどんなことを学ぶ必要があるか、など解説します。

森や木に関わる分野の仕事に関心はあるけれど、どんな仕事があり、どんなルートでそこにたどり着けるのか。また、実際に食べていけるのか、など分からないことばかりで、一歩を踏み出せない・・・そんな人も多いのではないでしょうか。

この分野の人材を育て、送り出してきた森林文化アカデミーが、みなさんの疑問にお答えします。少しでも多くの人にこの分野を目指してほしいとの思いから、他の教育機関や就職へのルートについても可能な限りご紹介します。(具体的な求人情報や就職先をご案内する内容ではありませんので、ご了承ください)


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同じ時期に、木工分野の久津輪先生が札幌でも、木工を中心に、森林・林業、山村活性、環境教育、木造建築も含めた、ミニセミナーを開催します。お近くの方で、ご興味のある方はぜひお寄りください。

日時:2012年8月16日(木) 18:30~20:30
場所:札幌エルプラザ内・男女共同参画センター大研修室A
060-0808 札幌市北区北8条西3丁目
お申込み:こちらのフォーム からお願いします。
問合せ: 090-8488-3341(久津輪)


また、森林文化アカデミーの次回オープンキャンパスは8月26日(日)10:00~16:00です。こちらは申込みは不要です。お好きな時間から参加できます。

日時:2012年8月26日(日) 10:00~16:00
場所:森林文化アカデミー
501-3714 岐阜県美濃市曽代88
問合せ: 0575-35-2525 info@forest.ac.jp

森で教える!?国語・算数・理科・社会

短期技術研修「木育森林環境教育 指導者研修」を実施します。

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「森林づくりにつながる人づくり」として小学生への木育・森林環境教育が、
総合学習の時間を中心に展開されています。
しかし、「体験するだけで、学びや生活につながらない」「やらねばいけない科目が多く、
環境教育を実施する時間が足りない」といった課題もあります。
そこで、国語・算数・理科・社会・体育・音楽をはじめ、小学校教科の殆どを地域の森や
自然を活かして展開できるということに着目しました。
「森を教える」のではなく、「森で教える」というアプローチです。
これならば既存科目と森林環境教育の教育目標が同時にクリアできます。
既存科目の時間を削ったり、新たに環境教育の時間を増やしたりする必要もありません。
また、子どもたちの学ぶ力や生きる力の向上にもつながります。
森林環境教育に関わる皆さんの知恵と経験をあわせ、ワクワクするような
「森で教える」プログラムを一緒につくりませんか。

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受講の条件は「実践現場を持っている方」です。

開催日時:7月30日(月)9:30~15:30
定員:20人(抽選)
参加料:無料
申込締切:7月17日(火)

詳しくはこちらの案内チラシをご覧ください。

※この研修は、県林政課との共催研修です。



施業プランナー 上級研修 第二回目

 岐阜県が平成20年度から実施してきた施業プランナー研修受講者63人のうち、特に地域の施業プランナーを束ねて、民間のフォレスター的な活動が出来る人材を育成しようと本年度から開催している上級研修。この研修の第二回目が開催されました。

 今回は日本体験学習研究所林芳孝先生をお招きして、「コミュニケーション講座」を実施しました。

 今回の流れは、(1)体験学習の循環過程、(2)コンテントとプロセス、(3)流れ星、(4)コミュニケーション・プロセス、(5)実習「たずね・こたえ・観察する」です。

 誰しもそうなのですが、普段はなかなか自分の仕事ぶりや自分自身を振り返る余裕もありません。今回はコミュニケーション講座を通して、施業プランナーとしての自分を振り返り、新しい考え方や新しい自分に気づき、他者との関係の中で起こるプロセスに気づくことが重要なのです。
 一見、林業とはまったく関係無いように思われがちな分野ですが、こうした考えが林業には最も欠落している部分でもあります。


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 最初に「体験学習の循環過程」では(1)体験、(2)指摘、(3)分析、(4)仮説化の循環過程について、続いてコンテント(無いよう、課題、問題、仕事、作業、結果)とプロセス(関係的過程)について、林先生が小講義をされました。
 「コンテントとプロセス
 コンテントとは対人間コミュニケーションにおける話題やチーム活動における課題をさします。これらはいわば結果です。
 一方、その話題や課題について話し合っている際に、一人ひとりの内で起こっている気持ちや考え、また互いの間やグループの中で起こっているかかわりのありようなどがプロセス(関係的過程)です。人間関係における学習者自らの行動や態度に変化が生まれ成長するためには、このプロセスを吟味することが大切です。プロセスに気づき、プロセスから学ぶことが重要なのです。

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 演習では「施業プランナーに必要なこと」と題して、以下の何が重要な項目かを各自が考え、その後にグループ討議、グループ発表です。
 項目は、(1)交渉力、(2)誠実さ、(3)プレゼン力、(4)傾聴力、(5)知識、(6)理念の理解、(7)自信 の7項目です。

 林先生は「正解はあリません。施業プランナーとして必要と考える順に順位付けして、その理由も考えて下さい。」と言われました。

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 研修受講者の傾向として、誠実さ、傾聴力を重要視する人が多く、プレゼン力や自信は重要視されないことが判りました。 

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 グループで話し合いますが、各々が自分の主張は言うものの、実際には他の人の話を聞く姿勢(傾聴力)に欠けるグループ討議となってしまいました。

 続いて、「ふりかえり」です。施業プランナーに必要なことに関するふりかえり用紙に、自分の気持ちを伝えられたか。仲間の意見を聞けたか。役割分担などグループ内でのコミュニケーションがとれたか。
他のメンバーの言動で影響を受けたことはあるか。などを記入します。


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 午後からは、最初は「流れ星」。
これは林先生が語る言葉を絵にするものです。白紙を一枚渡されて、そこに語られる内容を絵として描くのです。
 「流れ星が右上から左下に流れました。星の下には藁葺き屋根の家が一軒、家の前には大きな池があり、そこには船が一艘あります。家の横には犬小屋があり、一匹の犬がほえています。家の裏側には大きな木があり、その上には三日月がかかっています。空には雁が3羽飛んでいます。」

 この内容を絵にしますが、各自の絵が全く異なった構図になっています。三日月の書き方も違います。


 ここでコミュニケーション・プロセスについて小講義を受けます。

 発信者は言語を使い、記号化して送信し、それを受信者は自分の辞書に従って解読します。
 ここがポイントです。私たちの情報発信は日頃、私たちが意図するように受信者に受け取られているのでしょうか。・・・・・疑問が残る。

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 最後に、実習「たずね・こたえ・観察する」です。
ここでは、3人一組になって、A(たずねる人)、B(こたえる人)、C(観察する人)に分けて作業を3回繰り返します。


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 この実習を通して、「はなすこと」の難しさ。「きくこと」の「難しさ。「観察する」ポイントなどを学びます。
うまいアナウンサーは話さないアナウンサーであって、相手が話したくなる場作りをする。トップ営業マンは売らない営業マンで、顧客が買いたくなる場作りをする。

 いかに相手の気持ちを汲めるか。相手に寄り添えるか。信頼されることの重要性。
何につけて、「受け入れる。聞く(聴く)、安心感・信頼感が重要。」ということを学んだ研修だったのです。

 今回も受講生の皆さん、講義して下さった林芳孝先生、そして研修に良きアドバイスを下さった南山大学の津村俊充先生に感謝します。有り難う御座いました。

 そしてともに「良い山づくり」に尽力して行きましょう。 以上、ジリこと川尻秀樹の報告でした。

「つながるサロン 集中合宿」参加者募集中!

急ですが、7月3日(火)と4日(水)にかけて生涯学習講座が追加で開催されることになりました。

「森と人をつなぐ学校」森林文化アカデミーの生涯学習講座は
“つながる”をテーマに実施しています。
「木と人のつながり」「木と森のつながり」「人と人のつながり」
この3つのつながりをつくることで、「森と人がつながる」社会を目指します。


今年から正式にはじまったステップ3講座。
��「STEP3」とは、行動する~木と生き、森を育む~をコンセプトに計画・実施しています。)

過去の生涯学習講座参加者が少しずつサロンのメンバーとして集まりはじめ、
既に2回のミーティングを実施してきました。
1回目の様子はこちらのブログをご覧ください。

今回の講座は、アカデミーの生涯学習講座参加後、多種多様な活動をされている皆さんが
「私こんなことしてます」と互いの活動を紹介し合うと同時にその活動における悩み、課題を
紹介し合い、地域のために何ができるか、何をやりっていきたいかを見出していくための
集中合宿です。
そして、この合宿自体もサロンメンバーが企画提案しました。

過去2回は夕方から短時間の開催でしたが、まだまだ話したりない、もっとメンバーとの
時間がほしい、もっとつながりたいなどのメンバーの希望から、今回は合宿という形となりました。
��合宿となっていますが、泊まらなくてはいけないわけではありません。)

対象者は過去にアカデミー生涯学習講座に参加したことのある方です。
活動や行動をしていなくても、これから何かしたいなとか、興味があるな、だけで大歓迎です。

講座名 :つながるサロン 集中合宿
開催日時:7月3日(火)18:30~22:00 4日(水)8:00~12:00
開催場所:森林文化アカデミー「森の工房」
参加料 :無料(ただし、宿泊の場合はシーツクリーニング代1,000円が必要です)
定 員 :20人

※詳細については事務局までお尋ねください。


2012年6月28日木曜日

草刈は、田舎暮らしの「いろは」の「い」

今週の山村づくり講座は、「地域生活実習」で、郡上(ぐじょう)市石(い)徹(と)白(しろ)地域へ。
Iターン移住されたHさんの無農薬水田におじゃまして、草刈りのお手伝い。
田舎暮らしの「いろは」の「い」を、体験的に学びました。

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「草ぼうぼうだと恥ずかしい…」とおっしゃるHさん。
学生・先生・Hさんの5人がかりで約2時間…田んぼの中も畔(あぜ)もスッキリ。
Hさん、リアリティある暮らしの学びをありがとうございました。

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じつは山村づくり講座、先週末も大垣(おおがき)市上石津(かみいしづ)地域で草刈りをしてきました。
人の暮らしが関わって維持されてきた、里山の自然…
生態学を学びながら里山を保全する市民活動「かみいしづ里山大学」です。


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広い大畔(おおあぜ)も、大勢で刈れば、手鎌でもこのとおり。
森林と耕地の緩衝帯となる草生(くさおい)を見通し良くすることで、獣の侵入も防ぎます。
胃腸に効く薬草として利用されたセンブリ…これも里山里地の暮らしの智慧。

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先々週末は、学生Yの課題研究プロジェクトで、地元山県(やまがた)市高富(たかとみ)地域での自然観察会。
Yの家にも、わずかばかりの田畑があります。
放棄された隣の竹藪から侵入してくるタケと戦うYの父…。

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Yの家は、数年前から水田耕作を放棄しました。
小さな田んぼでイネを作るよりも、おコメを買った方が安いからです。

でも、イネ作りをやめても、草のお守(も)りはしないといけません。
Yの父は、草抑えの実験として、耕作放棄田に水を張りました。
ちょっとしたビオトープ状態…オタマジャクシを食べに鳥がやってきます。

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草抑えの目論見は虚しく、イグサが大繁殖。
畔には外来種の水田雑草も多くて、もうたいへん…(汗)
Yの長男が引き抜いているのは、根っこがしつこいアメリカセンダングサ。

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夜になると、うるさいくらいのカエルの大合唱!
でもその鳴き声に、Yはなぜか落ち着きます…

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小さな貝や、マツモムシ、ミズカマキリもいました。
子どもの頃、タイコウチのお尻の管(呼吸管)をつまんで窒息させたりして遊んだ記憶がよみがえりました。(ゴメンネ・タイコウチ…)

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��↑コレはミズカマキリ)

里山里地の生態系は、日本人の農林的な暮らしの歴史と共にあったのですね。
山村地域に生きる人々は、そうした自然環境の保全の役割を、いまも担っているのです。

でも、Yの父は言います。
「べつに環境保全のことを考えて草のお守りをしとるわけやない。」
「ここに暮らして60余年、当たり前のことをやっとるだけや…」

Yも、父と一緒に放棄田の草刈りをしています。
もちろん、隣の官地(かんち)の水路や道路敷の法面(のりめん)も…
一銭の儲けにもなりませんが、それが田舎暮らしの務めというものなのかも…

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草刈りをした放棄田に、さっそく鳥が虫を捕まえにやってきました。

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田舎暮らしの「いろは」の「い」…
持続可能を頭で考えるのも大切ですが、体を動かした後のビールは美味い!
草刈り…これからも続けていこうと思います。

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そうそう、今週金曜日のクリエータ科共通授業「森林文化論」は、岩手大学農学部の山本信次先生をお招きして、「森林管理に関わる市民活動」と「山間地域における草地利用の歴史」(仮題)をテーマにお話しいただけるそうです。

頭と体と心のぜんぶで、里山や田舎暮らしの知識と智慧と作法を学ぶ山村づくり講座…
草地の管理をテーマに、絶妙なカリキュラム構成。
心技体…草茂る梅雨の学びの一コマでした。

山村づくり講座2年 ヤマダ


2012年6月27日水曜日


クリエータ科 住まいの材料学実習では木材の乾燥体験と木材の強度体験がメインテーマです。
木材の強度体験では、自力建設用として前年度エンジニア科の製材の授業で製材した正角、平角材が活木にてほぼ乾燥したころとなり、その材料を使用します。今回はスギ4寸角、スギ4寸×6寸平角材の3m、4m材計37本です。

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今、アカデミーにある強度関連測定機器をフル活用して、4種類のヤング係数を測定しました。
まずはコンクリートの錘(500Kg)を載せ、その歪みからヤング係数を計算しておきます。次は叩いて振動周波数から測定する簡易なウッディー君、そして密度を換算するATAの測定器、最後に載荷式のグレーィングマシンです。なんとなく関係しているのか? 確かに野帳を見ていると他のヤング係数値が高いものは高い。グラフ作成が楽しみです。

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森づくり実習 「下刈り体験」 in 関市洞戸

 エンジニア科1年生の森づくり実習で、関市洞戸のスギとヒノキの人工林へ下刈りに行きました。

 近年、人工造林面積の減少から、こうした実習地を得にくくなっていますが、今回は株式会社カネキ木材の大野社長さんのご厚意で、実習地を確保できました。

 現場に着いたら、恒例の事前準備体操です。ストレッチ運動で体の隅々まで、これからの活動の準備体操をします。

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 一般に、「下刈り」の目的として、
  「植林した苗木に日が当たるように、周りの草やかん木を取り除く(出典:森づくりワークブック)」
 という意味が書かれています。確かにこれは正解ですが、より極端な考え方をすれば、適度に雑草が伸びるならば、雑草と競合して伸びる競争効果から見れば、まっすぐ成長することになりますので、あまり刈りすぎない方が良いようにも考えることが出来ます。
 実際には、通常通り下刈りすることが有効なのですが、下刈りの効果は日照条件だけでなく、
 (1)雑草や蔓が繁茂しすぎて、植林木がまっすぐ生長できない可能性があるので、それを取り除く。
 (2)土壌水分を取り合う競争相手を減らすと同時に、刈った雑草木がマルチングの役目を果たして、土壌水分の蒸散を抑制する。
 (3)刈り取った雑草木が将来的には土壌の理学性や化学性を良くし、土壌動物も増える。
などなど、下刈りの効果は大きいのです。

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 この斜面の上の方はヒノキが植栽され、学生が下刈りしている下の方は昨年植栽されたスギが植わっています。

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 午前中の下刈りが済んだら、午後一番に「鎌研ぎ」です。下刈り鎌(造林鎌)は刃を固定して研がなければうまく研げません。
 学生はあまり経験がないらしく、苦戦していました。粗砥、中砥、仕上砥を使いました。


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 鎌が研げたところで、午後一番の下刈りです。 さすがに研いだ直後はよく切れます。灌木も草も、スパスパです。

 しかし写真をよく見て下さい。雑草木の繁茂はものすごく、胸の高さぐらいにまで立ち上がっています。この中にスギの植栽木があるのです。まるで宝探し状態!

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 上の写真は雑草木にまぎれたスギが、最も見やすい写真ですが、どこにスギがあるのか判りますか?これでも最も見やすい状態ですね、慎重に刈っていく必要があります。


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 雑草木を刈り取ってスギを出した状態です。写真撮影用に刈った雑草木は取り除きました。例年、こうした実習をしてますが、今年の現場は本当に下刈りにふさわしい、下刈りする価値のあった現場でした。

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 最後に、本日の実習の締めくくりとして、鎌研ぎです。一日使った相棒の下刈り鎌を手入れして、収納します。研ぎはやればやるほどうまくなる。
 今回は実習地を提供して下さった株式会社カネキ木材の大野社長さんのおかげで、良い実習が出来ました。有り難う御座いました。

以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。

 

 



森のようちえん体験 気持ちよかったよ!

今年も森のようちえん体験講座を実施しました。
定員15組のところになんと80組230名もの応募がありました。
ありがとうございます。抽選ではずれてしまった方、本当にごめんなさい。
なんとか別の日程で組もうと思いますのでしばらくおまちくださいね。
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当日は、ぽかぽかいいお天気。
みなで挨拶したあとは、いざ沢へ!

裸足で沢歩きしたり
途中で草花で遊んだり、
赤ちゃんカエルと遊んだり、
へんてこイモムシ見つけたり。。。
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アカデミーの森の中をしばらくいくと、山の神様に到着。
神様に「お邪魔します」をしてから今日の拠点となる
山の小さな小屋「四寸傘」に到着。
実はこの小屋、アカデミーの学生さんが1年生の時にみんなで
力を合わせてゼロからつくった小屋なんです。
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思い思いの場所でお弁当食べたあとは
自由時間。
穴の中に埋まってみたり、
はしりまわったり、
木の上から飛び降りたり、
木登りしたり、
ループやハンモックでゆらゆらしたり。。。

それはそれは素敵な一日でした。

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自然体験活動指導者・インタープリター養成コース
講師 萩原ナバ裕作






2012年6月25日月曜日

「トントンカチカチ広場」in TUNAGARI MARKET×SAMAMA BZAAR

大好評につき!!「トントンカチカチ広場」の追加開催が決まりました!

トントンカチカチ、端材などを使って、好きなものを好きなようにつくれる、
子どものための木育コーナーです。

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事前申し込みは不要です。
当日会場にお越しください。
ただし、材料がなくなり次第終了しますのでご注意を!

また、「トントンカチカチ広場」の対象は親子等ですが、
森林文化アカデミーに興味のある方もないかたも、どなたでも大歓迎です。
アカデミーってどんなとこ?なにするところ??など
アカデミー教員と現役学生がお答えしますよ~

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日  時  7月14日(日) 10:30~15:30 (雨天決行)
場  所  岐阜市東鶉3丁目59 ひだまりの森岐阜モデルハウス
対  象  親子等
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TUNAGARI MARKET×SAMAMA BZAARへの
参加資格は「あなたがあなたとしてそこにいること」
約束は「誰も無理をしてはいけません」

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TUNAGARI MARKET×SAMAMA BZAARについて詳しくはこちらからどうぞ


2012年6月23日土曜日

 第4回 施業プランナー育成研修では、前回の林分調査デーを利用して間伐予測と間伐後の将来林型の予測を行いました。

今回のメイン講師は森林文化アカデミーの横井教授、岐阜県森林研究所の大洞さんと渡邊さんです。

 施業プランナー育成研修の参加者18名とフォレスター候補者5名が一緒になって、前回調査した森林文化アカデミーの演習林、ヒノキ47年生林分の400m2と100m2の大小2プロットを解析します。
 4つのグループに分かれて、樹高、枝下高、直径データを基に林分の解析結果をグループ発表します。


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 グループによっては、小さなプロットでは林分を代表するようなデータが得られにくいのでより大きなプロットデータが必要とか。全体を代表するような立地にプロットをとるべきとか。小さくても大きくてもあまり変わらなかったので、効率を考えると小さくても良いのでは。といった意見も出ました。


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 発表に続いて、横井教授から4グループのデータについて、分析結果を説明して頂きました。ここで、100m2という小さなプロットでも良いと考えるなら、100m2で2本違っても、1ha(10,000m2)なら200本の違いとなる。1haとして考えると100倍の誤差となるのです。
 たまたま小面積でサンプリングしたデータに偏りがあり、それを基に収支計算するならば、最終的には相当な食い違いが発生する。100m2と400m2でのデータを比較すると、同じ仕事をしているつもりでも間伐率、断面積合計間伐率、材積間伐率が大きく異なります。
 いつも100m2に慣れ親しんでいるから感覚が麻痺していますが、こうして自分たちで測定して、データを棒グラフなどに「見える化」すると、小さなプロットでは誤差があって利用できないことがわかります。


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 続いて、森林研究所の大洞さんが「シルブの森」の利用方法について解説して頂きました。「シルブの森」は京都府立大田中先生が開発したEXCELのシステム収穫表を基本としています。
 以前は林分の間伐を間伐の指標として、「林分密度管理図」が多用されていました。林分密度管理図は平均樹高曲線、平均直径線、収量比数線、自然枯死線などからできています。
 密度管理図は、
 1.下層間伐には利用できるが、上層間伐や列状間伐では推定誤差が大きくなる。
 2.平均値はわかるが、大きさの分布はわからない。


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 シルブの森の特徴は、
 1.直径階分布がわかる(どの太さの木が何本あるか予測できる)。
 2.地位指数ごとの樹高成長曲線が予測される(従来より正確)。
 3.全層間伐など、下層間伐以外にも利用できる(間伐方法似よる成長の違いを比較できる)。
 4.EXCELがベースであるため予測結果を編集しやすい。

 反面欠点は、
 1.自然間引きするような高密度林分には適応できない(自然枯死を表現できない)。
 2.列状間伐に適応できない。
 3.細かい条件設定は誤差の範囲になる可能性がある。
 4.極端な伐採には適応できない。

 シルブの森での予測結果を、どのように解釈するかは使う人の技量によります。そのため、「どのように森林を管理していくか」という方針をしっかり持つことが重要となります。

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 さぁ、各グループで「シルブの森」を使って、47年生ヒノキ林をどう間伐して、将来20年後にどのような林分に誘導するのか。そして最終目標林型はどうするのか。検討開始です。


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 一つの事例として、上段の左から(1)全層間伐 (2)下層間伐 (3)上層間伐 (4)上層+下層間伐 です。青色が間伐する個体、赤が残る個体。
 下段が20年後の林分の直径階分布です。さぁ、どうすれば山がお宝に変わるのでしょうか?


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 4班から発表です。4班は、本数間伐率34%の下層間伐を実施し、次ぎに間伐するのは20年後です。この林分は5年後には既に結構込み合っており、20年後の収量比数は1を越えており、林分材積は500m3/haとなり、その後は択伐林に移行させる計画です。


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 3班は、本数間伐率35.7%、材積間伐率27.7%の中下層間伐を実施し、402m3の材積を292m3に落とします。大径木仕立てを目指し、20年後には収量比数0.98、材積485m3となり、将来的には40年後の90年生で皆伐する。


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 2班は、本数間伐率16.7%の上層間伐から始まり、5年ごとに胸高直径28cmに到達した立木はすべて伐採する。現時点で収量比数0.6程度であるが5年ごとに0.4に減らす間伐で、末口径20~28cmの丸太生産を目指します。今回の間伐79m3のうち利用率50%として、今回は森林所有者に60万円の売り上げから経費を差し引いて51,866円渡し、20年後までの4回で合計60万円の純益収入を上げる。


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 最後は1班の発表です。1班は、本数間伐率21.6%の劣勢木間伐。収量比数0.89の林分を0.74に落として、今回は収益を上げずに森林所有者負担とする。10年後の間伐でも劣勢間伐をするが、32%の間伐率で胸高直径24cm以上の立木で収入を得る。この時点で収量比数0.9を0.64に落とし、20年後に大径木を収穫できるようにする。


 さて、最後に横井先生から下層間伐、上層間伐、列状間伐-中層間伐の事例を解説されました。


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 最初に下層間伐の繰り返しでできる林分についてです。下層間伐を2回することで林分は良くなるかもしれませんが、2回分の間伐経費はどうするのか?


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 次ぎに上層間伐を2回実施したもの。こちらは間伐収入が得られますが、収入見込みのない細い立木もたくさん残っています。


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 最後に列状間伐後に、2回中層間伐した場合です。一見すると択伐林型のような林分配置にもなっています。

 とにかく施業プランナーは森林所有者さんに納得していただけるデータを示して仕事をさせて頂くことが重要です。
 「この山でいくら稼ぐか」、「この山をいかに多くのお金に換えるか」を念頭に、山に再度お金を投入するための長期にわたる計画を立てられる存在になって欲しいのです。

 今回も朝から夕方まで長時間面倒見て下さった横井さん、大洞さん、渡邊さん、そして睡魔に打ち勝って頑張り続けた研修生と普及員のみなさん、ご苦労様でした。

以上、報告、ジリこと川尻秀樹でした。