2012年7月30日月曜日

「禊(みそぎ)まつり」に参加しました

山村づくり講座の専門授業で、郡上市白鳥町阿弥陀ヶ滝の「禊まつり」に参加しました。

(以下、長瀧白山神社宮司 若宮多門氏提供資料より引用)
地域の文化を学ぼうとするとき、その地に祀られている神社や寺院から、多くのことが学べます。
全国一に白山神社が多い岐阜県、白山文化を知る事は岐阜県の文化を知ることとも言えるでしょう。
白山の神を祀る社は全国に2700以上あると言われ、その中心となるのが白山頂上を目指す登山道(禅定道)の3つの拠点で、平安時代には白山の3馬場と呼ばれています。そのひとつ、美濃長瀧馬場は室町期にはいると、「上り千人、下り千人、笠の端もふれ合う」と言われるほど、参詣者で賑わったといいいます。長瀧(阿弥陀ヶ滝)は、白山の神の水のいでましの滝として、禅定道の中本、清めの場として古来、東海一円の尊崇を集めてきた名瀑です。
(引用終わり)

自然と人々の、厳しくも、豊かな関係がこの白山文化を創造したとするならば、今、あらためてそのことを伝統的作法に則り、体と心で感じ、学びにつなげて欲しいと思います。

宿に集合し、説明を受けた後、着替えて滝に向かいます。






褌になり、御払いを受けた後、先達にならい滝行をする行者さんが必ず行うという所作、「とり舟」をします。 心身の準備運動も兼ねているとのことです。



「エイイエ」、「エイサ」、「エイホ」等、掛け声もあり、徐々に気持ちが高揚してきました。




いよいよ滝壺に入ります。夏とはいえ、水は冷たく、大小の岩で滑りやすく、滝の風圧でたじろぎます。 気持ちが負けぬよう、大きな声で「エイ、エイ」と気合をいれます。





この状態で神官の禊の祝詞が10分弱続きました。


今回は水量も少なく、水もさほど冷たくなかったので、滝の近くに行くことも出来ました。
落差60メートルの滝を真下から見上げることなんて、普通はできないでしょう。

禊祭りも無事終わり、直会をいただき、解散となりました。





祭り終了後、白山長瀧神社宮司の若宮多聞様にお願いし、アカデミー学生と希望者を対象に、特別講義をしていただきました。






水をめぐる白山信仰について、その歴史的変遷について、石徹白地域にまつわる義経伝説について、などなど、大変興味深いお話でした。その後、質問にも答えていただきました。




本当にありがとうございました。

報告者: 原島

2012年7月28日土曜日

第7回 施業プランナー 育成研修 開催(岐阜県立森林文化アカデミー)

 平成24年度 森林文化アカデミーの「施業プランナー 育成研修」の第7回目を開催
しました。



 今回は「ITを活用した路網の計画と管理」と称して、岐阜県森林研究所の臼田寿生
専門研究員と古川邦明部長研究員が、前回の路網線形踏査で得たGPSなどのデジタル
ツール(IT)を活用し、路網の開設計画や管理などをするための一手法を指導して下
さいました。


  

 講義は地図ソフト、カシミール(Kashimir)を活用したろもうの計画と管理が
中心です。

カシミールを利用するメリットは
 (1)フリーソフトで誰でも無料で使用できる。
 (2)各種の地図に対応している。
 (3)岐阜県はカシミール用の基本図利用が可能。
 (4)GPSとの連携が非常に優れている。
 (5)ファイルリンク機能がある。
 (6)デジタル写真との連携が可能。
 (7)対応するファイル形式が豊富かつ柔軟である。




 例えば、カシミールの使用事例として、様々な地形情報や地理情報を盛り込んだ
「作業道開設指針図(危険区域と水系)」について、その利用価値について解説して
頂いた。






 前回、作業路線形現地踏査した結果を施業図(1/5000)に青色で線形記入し、もう
一つの図に斜面傾斜30度、斜面傾斜40度以上を色分けした作業道開設指針図に組み込
みます。

 地図画像には、標高データの重ね合わせすることで一層役立つ図面になっていきます。


 

 初めて経験するソフトですが、臼田さんや古川さんが丁寧に指導して下さるお陰で、
20人全員が自分のパソコンでのカシミール操作に落ちこぼれることなく、路線線形に
データを組み込む事ができたのです。


 

 カシミールを使えば、例えば架線を計画している場合、その地形がどのような形に
なっているか断面図を見ることも可能です。

 写真の左上の赤い直線部分の断面図を表示すると右のようになります。また、この
直線上で下から上が真っ直ぐ見通せるかどうかも判断されます。架線集材に有効な機能
です。

 他にも、背景地図を参考に、求めたい線形の延長や区域の面積を計算できます。


 
 ポイントポイントでは古川部長が臼井さんをサポートし、GPSデータの管理では、

 (1)不要なデータは削除すること。例えば、開空度の充分な場所でGPSの電源を入れ
  ますが、実際に必要なデータは山の現場だけなので、それまでの部分はその都度
  削除すること。

 (2)近似するデータが交絡しないよう路線毎にファイル管理すること。


 

 現場写真とGPSデータの連携ではデジカメプラグインをして、線形踏査時に撮影した
デジタル画像と路線のGPSデータを組み合わせます。

 その他、様々なカシミール操作を学び、一日中パソコン漬けの一日を過ごしたので
す。今回も森林研究所の臼井さん、古川さん、研修受講者のみなさん、大変ご苦労さま
でした。
 

 次回は「目標林型と施業方針、、「生産性の把握とコスト」、「木材市場との連携」
です。

 暑い夏が続きますが、みなで頑張って行ききましょう。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2012年7月27日金曜日

飛騨の匠たちに椅子づくりを教えてきました!

人力の道具だけを使って、丸太の生木から椅子や器をつくるグリーンウッドワーク。そのレトロな木工を、最先端の家具業界の職人さんたちに教える!というユニークな研修がありました。


グリーンウッドワークは、機械が発明され、電力が普及する前の木工のやり方です。人力だけで木を加工してものをつくるには、どんな木が割りやすいとか、生の木はどの方向へどれだけ縮むなど、木の特性をよく知っていなければなりません。

それが家具職人の技術向上に役立つということで、飛騨木工連合会からお話をいただいたのが3年前。以来毎年、連合会の加盟企業の職人さんたちにグリーンウッドワークを教える研修を、森林文化アカデミーが行なっています。


飛騨といえば、90年あまり前に西洋の曲げ木椅子をつくり始めたのが、家具産地としての起源です。しかし当時すでに木工は機械化されており、その後も技術革新が進みました。丸太をクサビで割るところからの椅子づくりは、やったことがない職人さんばかりです。つまり飛騨の家具産地は歴史上はじめて、この研修で「椅子づくりの原点」を体験することになったわけです(大げさですね!)


今年つくるのは「ラダーバックチェア」。飛騨産業、柏木工、日進木工、シラカワなどから12人の参加者が集まりました。中には勤続50年近い大ベテランの職人さんもいらっしゃいます。時間の制約もあったたため、2人1組で4日間で完成させるプログラムを組みました。
はじめてとは言え、そこはさすが飛騨の匠たち。手際よく、美しい椅子を完成させました。


最後に参加者からひとことずつ感想をいただきました。
「毎日会社で機械を使った曲げ木はやっているが、今回こんな簡単なことで曲げ木ができるんだとすごく感動した」
「会社では木材を規格品として扱うが、グリーンウッドワークでは木材の動き、収縮を逆に生かして、木とうまく付き合いながら作っていくところがいい」
「昔からの家具の作り方や形を学ぶことによって、これからの家具のデザインを発展的に考えていくことができるので、いい勉強になった」
などなど。


この研修、来年以降もぜひ続けていこうと話しています。来年は「ウインザーチェア」に取り組む予定です。座面に岐阜県産のヒノキを用いるなど、材料の地産地消もテーマにしていく予定です。グリーンウッドワークが飛騨の家具づくりに、新しい風を吹き込むかもしれませんね!


ところで、このラダーバックチェアづくり、一般の方でも体験できるんですよ!
森林文化アカデミーとNPO法人グリーンウッドワーク協会の共催で、9〜10月にラダーバックチェアづくりの講座があります。詳しくはこちらをご覧ください。

文責・久津輪 雅



(おまけ)ミナモも座り心地のよさに大感激〜!















「ぎふ山の日フェスタ2012」に「おもちゃ広場」がOPENします!

今年も「ぎふ山の日」が近付いてきました。


岐阜県では、森林(山)にまつわる活動に積極的に参加していただくきっかけ
となることを願い、毎年八月八日を「ぎふ山の日」、八月を
「ぎふの山に親しむ月間」と定めています。その中心的行事として
「山の日フェスタ」があり、今年はみなさまに参加していただきやすい
8月5日(日)にイベントを開催することになりました。

昨年度の様子は→こちら

アカデミーは「ぎふ山の日フェスタ」に「木のおもちゃ広場」を出展します。
8月といえば暑いので、イベント会場にある噴水広場にて水でぬれてもいい

木のおもちゃを使って遊んでもらえるよう企画しました。
(木のおもちゃ広場は事前申し込みの必要はありませんのでお気軽にどうぞ。)



イベントはその他にも

「水の積み木を作って遊ぼう!」「木の指輪づくり教室」
「ぎふの清流でじゃぶじゃぶ水あそび」「清流・里山ウォッチング」
「ぎふの木で夏休み工作教室」「森・川・海のつながりを学ぼう展」
「ミナモと一緒にレッツダンス!」「山と清流のコンサート」
「ぎふ山の日ちょうちんづくり」「山の日限定ランチ」

などなど。。。楽しそうですね!

また、じゅうろくぷらざでは「木育キャラバンinぎふ」が開催されます。
そして県内の3か所のサテライト会場でも楽しいイベントが開催されます。
会場と開催時間は下記の通りです。


岐阜エリア JR岐阜駅北口広場・アクティブG         10001600

中濃エリア 岐阜県森林組合連合会岐阜支所林産物共販所   9001200
            木材市場内(関市倉知)                    

東濃エリア 岐阜県森林組合連合会東濃支所林産物共販所  9:301400
      (恵那市長島町)
                 
飛騨エリア 岐阜県森林組合連合会飛騨支所林産物共販所  10001500
            高山木の里団地内(高山市新宮町)         

どうぞご家族そろってお出かけくださいね。


2012年7月25日水曜日

丸太からの椅子づくりができます!


森林文化アカデミーではNPO法人グリーンウッドワーク協会と共催し

生涯学習講座「グリーンウッドワーク講座~丸太からの椅子づくり~」を開催します。

グリーンウッドワークとは足踏みろくろや削り馬などの人力の道具を用いて
生の木(乾燥していない木)を削って小物や家具をつくる木工のことです。


人力で行うため

電気を使用しない→環境にやさしく
体をつかう→健康に良い
電動の機械を使用しない→初心者にも安心・安全

そして何より楽しい木工として注目を集めています。

今回は6日間かけて「ラダーバックチェア」と呼ばれる本格的な椅子を制作します。

 ※ラダーバックチェアとは、背もたれがはしご状に組まれた椅子のことです。
  はしごに似ているためこの名前がつけられました。
 



初心者の方でも大丈夫。こんなすてきな椅子がつくれます!

詳しくは→こちらのチラシ

なお、この講座は申し込み先がアカデミーと異なりますので、お気を付けください。


里山のキノコ(夏編)

山村づくり講座では、里山の自然と生態、その保全や利用についても学びます。
今日は里山のキノコについての授業を紹介します。

キノコはカビと同じく菌類。
菌類の本体は、土中や木材や他の生物体に蔓延している菌糸。
地球最大の生き物は菌類だという考え方もあります。
私たちが「キノコ」と呼んでいるものはキノコの体のほんの一部。
胞子を作って飛ばすために地上に発生する「子実体」です。

この日は、実習での利用許可を得ている某コナラ林へ。
土から出てきたばかりのタマゴみたいなこのキノコは、テングタケの仲間。





















梅雨明け直後、20種類以上のキノコを採集しました。




















採集したキノコを図鑑を見ながら同定。




















イグチ、テングタケ、ベニタケの仲間がまとまって発生しており、分類群ごとに
学ぶには好機でした。

標準和名…科名/属名…食・毒
ヤマドリタケモドキ…イグチ科Boletaceae/イグチ属Boletus…食
ムラサキヤマドリタケ…イグチ科Boletaceae/イグチ属Boletus…食
キアミアシイグチ…イグチ科Boletaceae/イグチ属Boletus…-
ヌメリコウジタケ…イグチ科Boletaceae/ヌメリコウジタケ属Aureoboletus…-
ベニイグチ…オニイグチ科Strobilomycetaceae/ベニイグチ属Heimiella…-
コテングタケ…テングタケ科Amanitaceae/テングタケ属Amanita…毒
コテングタケモドキ…テングタケ科Amanitaceae/テングタケ属Amanita…毒
タマゴテングタケモドキ…テングタケ科Amanitaceae/テングタケ属Amanita…毒
ヘビキノコモドキ…テングタケ科Amanitaceae/テングタケ属Amanita…毒
カバイロツルタケ…テングタケ科Amanitaceae/テングタケ属Amanita…毒
アイタケ…ベニタケ科Russulaceae/ベニタケ属Russula…食
アイバシロハツ…ベニタケ科Russulaceae/ベニタケ属Russula…食
カワリハツ…ベニタケ科Russulaceae/ベニタケ属Russula…食
クロハツ…ベニタケ科Russulaceae/ベニタケ属Russula…食(生食×)
クサイロアカネタケ…ベニタケ科Russulaceae/ベニタケ属Russula…-
ツチカブリ…ベニタケ科Russulaceae/チチタケ属Lactarius…昔は食べたが中毒例アリ
ニオイワチチタケ…ベニタケ科Russulaceae/チチタケ属Lactarius…食べた報告アリ
ヒロハウスズミチチタケ…ベニタケ科Russulaceae/チチタケ属Lactarius…食用不適

コナラの二次林の林床に生えていたこれらのキノコは、いずれもマツタケとアカマツの
ように樹木と共生関係を結ぶ菌根性のようです。
シイタケなどの木材腐朽菌と違って、これらのキノコは栽培ができません。



 

















これはヤマドリタケモドキ…イタリアンの高級食材ポルチーニ(ヤマドリタケ)の近縁種。
大量流通しない旬のキノコ、同級生と一緒に有難味を賞味してみました。


 


















今回は先生に教えていただいたので、美味しくいただくことができましたが、
食べると美味しいキノコでも、それととてもよく似た毒キノコもたくさんあって、危険!
同定能力を磨かないと…ハードル高いです(汗)

でも、食べてみて美味しかったキノコは忘れません。
だから、毒キノコが覚えられないんですよね~()


記:山村づくり講座2年 ヤマダ


2012年7月24日火曜日

ものづくり講座日記更新

先日、「木材塗装の基本」という授業で「木固めエース」という塗料について学んだことを
和田がブログに書きましたが、ものづくり講座の学生もものづくり講座日記に投稿しました。

また、杉本先生が 「林業林産業体験実習」の授業風景をブログで紹介していましたが、
参加したものづくり講座の学生もものづくり講座日記に記事を書きました。

教員と学生の目線に違いがあるのか、ぜひ記事を読んでみてください。

ものづくり講座日記は→こちらからどうぞ

2012年7月23日月曜日

「特殊伐採のためのツリークライミング技術研修」のお知らせ


特殊伐採のためのツリークライミング技術研修のお知らせ

(ツリーワーカーセミナー レベル1)

森林文化アカデミーでは、JAAJapan Arborist Association)と共催で
「特殊伐採のためのツリークライミング技術研修」を開催します。

アーボリスト(樹芸家・空師・杣師、特殊伐採などを行う職業)の仕事の一つで
ある特殊伐採には、安全に木を登るためのツリークライミング技術が必要です。
しかし、日本で実施される特殊伐採は、その仕事の多くが林業関係者に依頼がある
ものの、ツリークライミング技術を用いていないために危険な作業となり、事故発
生率も高くなっています。

本研修では、アーボリストの技術研修の中でも、安全な作業環境を確保するための
基本技術であるツリークライミングに的を絞って行います。

世界のツリークライミングワーク技術習得を目指す皆様へ。
是非あなたもこの機会に技術の習得をしてみませんか?

日時:91日(土)~2日(日)

対象者:職業として木の管理を行う方

研修について詳しくはこちらをご覧ください。
なお、今回は申込先がアカデミーと異なりますので、ご注意ください。

2012年7月20日金曜日

授業の一環で「岐阜県森林研究所 研究・成果発表会」参加

今日は授業の一環で、「岐阜県森林研究所 研究・成果発表会」に、エンジニア科
2年生とクリエーター科学生の一部が参加しました。

 引率は横井先生、久津輪先生、柳澤先生、玉木先生、そしてジリです。

 内容は、講演として
「人工林を広葉樹林にもどす可能性」
  ~ 実用化事業 広葉樹林化プロジェクトの成果から~ (独)森林総合研究所の田中浩さん

 森林研究所の研究成果として
「ヒノキ人工林における下層植生の回復を考える(渡邉仁志)」
「スギの造林を見つめなおす(茂木靖和)」
「作業道における表土ブロック積み工法の法面保護効果(臼田寿生)」でした。

最初の「人工林を広葉樹林にもどす可能性」
  ~ 実用化事業 広葉樹林化プロジェクトの成果から~




 人工林を間伐しても前生稚樹がいなければ広葉樹林化しづらい点や埋土種子
による発芽樹種は短命なパイオニア種が多いことなどを、わかりやすく解説され
ました。
 強度間伐しても、大きな前生稚樹の有無が大きな鍵となり、強度の間伐は稚樹
や実生の生存、成長に大きく影響する。
 また、散布種子による侵入可能性を決める大きな要因として、周囲の広葉樹林
の分布に加え、種特性(散布型、種子生産量、豊凶)が重要とのこと。

 
 

広葉樹林かできるところはどこか?

 通常、一回の強度間伐で更新・定着した広葉樹はその後の成長や定着が望める
とは限らない。
 強度間伐は有効だが、将来的には繰り返し間伐によって、混交単層林に誘導する
考えも必要。


「ヒノキ人工林における下層植生の回復を考える(渡邉仁志)」
 
では、


ヒノキ人工林の面積、蓄積が全国2位の岐阜県ならではの考察です。
 ヒノキ人工林では表土流亡が大きな問題です。林地表面を被覆する植生を
発生させるための間伐はどのような間伐か?

 通常の3割程度の間伐では、表土流亡を抑制するほどの植生回復は望めない。
しかし、5割以上の強度間伐や群状間伐は間接的に表土流亡抑止に貢献する。


「スギの造林を見つめなおす(茂木靖和)」では、

下呂市にある下呂実験林。そこの品種比較や本数管理比較実験林のデータ解析
からの検討です。
 上の写真のように、初期成長の良い品種、初期成長の悪い品種、生長量がほぼ
一定の品種など、品種による成長特性があります。

 本数比較実験林の結果から、当初の植栽本数2000本/ha、3000本/ha、
6000本/haの3つの形状比で比較して、冠雪害を考えると2000本/haの形状比
が良いこと。
 また、植栽1年、2年後の施肥効果を見ると、直径成長に有効に働くことなどの
報告がありました。


 最後に、「作業道における表土ブロック積み工法の法面保護効果(臼田寿生)」
では、

 作業道開設時の表土ブロック利用を熟練者施工、初心者施工、表土なしの
心土施工に分けて、法面保護効果について報告がありました。
 熟練者と初心者では、単に施工後の植被率が同じでも樹木が発生するか
シダ類のみかの違いがあったり、熟練者施工は被度の回復が早い傾向が
見られ、表土ブロック積み工法は盛土の法面保護対策に有効であることが
わかりました。

 さて、学生ですが、こうした発表会を経験することで、自分たちの課題研究
の進め方、理論展開、結果と考察、発表方法を学ぶのです。
 みなさん、明日から夏休みですが、課題研究への取り組み、頑張って下さい。

 以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。



こんなん咲いてました89


ようやく梅雨もあけて、本格的な夏がやってきましたね。森林文化アカデミーも夏休みに突入しましたが、集中講義や夏期の実習・インターンシップなど、学生にとっては休む暇もないのではないでしょうか。有意義に過ごしてもらいたいものです。

今回ご紹介する花は、アカデミー構内の林の中に生えていました。ノヤマトンボというラン科の植物です。蘭と言えば、開店のお祝いに送られる胡蝶蘭のような派手な花や、野外では絶滅に瀕している貴重な植物が多いような印象ですが、実は雑木林など、結構身近なところにも、目立たずひっそりと生えている種類があります。


しかし、遠目に見ると地味ですが、近くに寄ってよく花を見ると、とんでもなく奇妙な形をしています。一昔ブームになったクリ○ネや、見ようによっては妖精が乱舞しているように見えなくもありません。足元にメルヘンの世界ですね。


この花をよくよく見ると、黄色いものが見えます。長さは2mm弱くらい。先に小さな吸盤がついています。ちょうどしぼみかけた風船のようにも見えます。これが花粉塊です。ランの仲間は、基本的に塊になった花粉を昆虫に運んでもらいます。


穴の奥にある蜜を吸うために昆虫が頭を突っ込むと、背中に吸盤がくっついて花粉塊が次の花に運ばれるという仕組みになっているのでしょう。よくできています。ランの中には、特定の昆虫を雇って花粉を運んでもらうために、花の形態をその昆虫の形に合わせているものが多くみられます。決まった虫が訪花してくれるなら、次も同じ花に行って花粉を届けてくれる確率が高くなるからです。

それにしても、ランはなぜ多くの花粉をひとまとめに花粉塊にしてしまうのでしょう?
ばらばらにして多くの虫に多くの花へ運んでもらった方がいいような気がするのですが??

こんなことが気になってしまう方は、ぜひ森林文化アカデミーへ!



林業林産業体験実習

 クリエーター科1年生が,洞戸で下刈り作業を行いました。
共通授業なので,ものづくり講座,木造建築スタジオの講座も一緒です。

現場は,カネキ木材の大野さんの所有林です。

大野さんに現場に来ていただき,大野さんが山仕事を始めたきっかけや,
現在の林業についての想いを聞かせて頂きました。









大野さんの想いを汲み取り,今日は丁寧に下刈り作業をしようと,
気が引き締まります。




この日は雨です。山では,雨宿りする場所がありません。
荷物を置いたり,休憩したりできるよう,みんなでブルーシートを設置しました。


無事設置を終えて, 大野さんに頂いた飲み物でかんぱ~い!
(これから作業ですが…)




さあ,下刈り開始です。
横一列になって下刈りをしていきます。上下作業に気をつけて,一定の間隔で作業しています。




午後は鎌研ぎから行いました。






雨が降ったり止んだりするような天気でしたが,
みんな最後まで作業を続けていました。

いつもは,部屋の中で木工をしたり,設計図を作ったりと,
山で作業することがない講座の人もいましたが,
林業の作業の厳しさを体験できたのではないでしょうか。


ものづくり講座日記更新

先週末に飛騨高山の世界国際文化センターで行われた生涯学習講座
「夏休み親子木育クラフト講座・飛騨杉を使った箱イスづくり」

スタッフとして参加したものづくり講座1年生 吉川さんがブログ書いてくれました。

真剣な顔をして作業に励む子供たちが印象的です!

↓こちらからどうぞ↓
http://monozukuridiary.blog103.fc2.com/blog-entry-191.html

2012年7月19日木曜日

ものづくり講座日記更新

ものづくり講座では、学生たちが主体となって日々の授業や学生生活をつづる
ものづくり講座日記」というブログを独自でやっています。

アカデミーブログでは伝えきれない学生たちならではの視点で
最低週に1回更新をしています。

さて、今回は、1年生のひらっきーさんこと平木さんが、
地域の小学校の「放課後子ども教室」でなにやら楽しいイベントをやってきたそうです。

ぜひブログをみてください^^

こちらからどうぞ

郡上市内のヒノキ林とスギ林を見学


 7月17日にクリエーター科2年の講義で、郡上市大和町にある、様々な施業を
行いつつ、いろいろな試験も行っているという森林を見学しました。
近くに母袋(もたい)スキー場がありることから、雪が積もる地域であることがわかります。

 最初はヒノキの森林を見ました。林齢は約100年生であると先生から解説が
ありました。樹高は平均30メートルですが、胸高直径は平均40センチと細いのが
印象的でした。上を見上げると現状では樹冠どうし間隔があるように見えますが、
ここまで成長する過程での手入れが十分でなかったことが直径が細い主な要因との
ことでした。
 下層の植生についても、シロモジ、アオキなどの耐陰性の強いものはあったのですが、
一定以上の成長が光量不足で一定以上に成長できずにいるのが見受けられました。
また、アオキについてはシカに食べられた痕跡が目立ちました。




 ヒノキ高齢林に続いて、列状間伐を行った現場に入り、先生から投げかけられた
質問に対して各学生が意見を述べました。
 列状間伐はスイングヤーダ等の架線集材をするには効率いい方法と思いますが、
今回見学に入ったヒノキ林ではS字に曲がる保残木もあり、ちょっと疑問に感じる部分も
ありました。



 次に、スギ-スギ複層林の現場に入ったのですが、まずこれはちょっとね・・・という
具合でした。下層木が成長するのに十分な光量がなければ、この施業方法を維持する
ことは非常に困難になってきます。今ある下層のスギを見ても、幹が細いうえに、
樹形もスギに特徴的な尖った形状ではありませんでした。

 《教員からの補足 》 二段林の場合、それは更新技術であって、二段林の形を維持する
ことが目的ではないはずです。したがって、スギを樹下植栽してから20年近くも上木を
伐採せずにいること(すなわち、更新を果たさずにいること)は、その目的からして
ありえないはずです。
 しかし、日本中に、このような状態になった複層林を見ることができます。そもそもの
目的をきちんと考えずに樹下植栽をした、残念な結果です。



 気象害の実情も、説明していただきました。近くにスキー場があることからわかるように、
 この森林がある場所は、冬季はかなりの降雪量があります。したがって、雪害が発生します。
列状間伐を行ったスギ林では、冠雪害による幹折れが発生したそうです。ただし、幹折れと
列状間伐との因果関係は何とも言えないそうで、気象条件や地形的な事も大きく影響する
そうです。

 また、スイングヤーダによる集材にも注意することが多いと、先生から伺いました。
実際に、スイングヤーダを用いた集材をした場所も見学しました。伐倒木をワイヤーにて
引き出すわけですが、それなりに重さのある物がズルズルと引かれて、保残木に当たって、
その幹に傷を残したりすることには注意しなくてはいけません。その傷跡を目にして、
これは非常に注意すべきことだと感じました。

 また、冬期に木の水分が凍結し膨張することで起こる凍裂がある木も見ました。


 林業を継続させていく中で、今は伐って出す時期ではありますが、そのあとには植えて
育てると行程がいずれきます。その中で、過去の経験を生かして行かなければ、日本の
林業の発展は難しいのかなと感じました。

 また、山に関わる人の歩調がある程度そろう必要があるとは思いますが、同時に、
先行する人も必要だと感じました。今回見学したような実験林が、各地にあると思います。
そういった場所で次に備えた実験をしていくことが今後の技術、知識の発展に欠かせないと
思いました。


 林業再生講座2年 石丸  (教員が、若干の補足と修正をしました)

2012年7月18日水曜日

トントンカチカチ(生涯学習講座) やってきました!

去る7月13日、岐阜市で開催されたイベント「つながりフェスティバル」にて生涯学習講座のひとつ
ステップ1「トントンカチカチ コーナー」を開催してきました。

  今回の会場はなんとモデルハウス!!中庭の池を囲むようにして建つモデルハウスの中やら外やら入り口広場やらに多くのブースが立ち並び、それはそれはテーマパークのような不思議な空間となりました。

当日は、44名の子どもたちと保護者の皆さん、合計110名近くもの方々がアカデミーブースに立ち寄ってくれました。さらにうれしかったのは、アカデミー事務局の方、元関係者の方、OBの方、生涯学習講座参加者の方々などなど、多くのアカデミー応援団の方々が、ぶらっと遊びに来てくれました。学外でもつながりがあるアカデミー、いいですよね。



「たからのやま」と称された端材の山の中から、好きな形の木材を選び出し、切ったり、釘をうったり、くっつけたり、色をぬったり、と思い思いの作品が生まれました。子どもたちは皆本当にすばらしい芸術家ですね。

中には、10cm角ぐらいの柱材をひたすらのこぎりで切っている子も登場。子ども達はいろいろなスタイルで、木と対話しながら作品を創り上げていました。

アカデミーで毎週3回実施しているプレーパークでも、一番人気のトントンカチカチコーナー、次回もいろんなところに出張していきたいとおもってます。