2014年12月26日金曜日

心を込めて『山の神』に神饌を供える

餅をつき、鏡餅をつくり、山の神に供え、一年を感謝


 今日は御用納めの日、森林文化アカデミーの学生有志とJIRIで、餅つきをして、鏡餅をつくり、
そして演習林の『山の神』 にお供えに行きました。ちなみに私はお休みを頂いて、本日は一般
参加?

 一般に「神に供える飲食物は「神饌」とか「供物」、「みけ」と呼ばれます。稲作文化中心の日本の
多くの場所では、「山の神」は春に里に降りて「田の神」となり、また山に帰る。とする考えもありま
す。
 稲作文化の伝承、日本人といえば、お餅つき。 そのお持ちを神饌としてお供えします。

 地元産の糯米(高山糯:たかやまもち)を蒸して、ケヤキの臼でつきます。

 鏡餅を作ったら、演習林の管理人、佐藤潔さんと私たち合計7人で山の神に鏡餅を奉納しま
した。
 注連縄、清め塩、御神酒、御玉串をあげて、JIRIの祓い詞に続いて、管理人さん、学生さんの
順に、二礼二拍手一礼をしました。


 学生代表は女性の下西さん。御玉串を奉納し、二礼二拍手一礼(学生全員が同調)です。


 私たち森林文化アカデミーの演習林の『山の神』は一年中、山の神ですので、本日はお餅を
持参して、一年のお礼をしたのです。


 ところで「鏡餅」は源氏物語などにも記されているように、平安時代には既に存在し
ていました。現在のような形で供えられるようになったのは、室町時代の建築様式の中
で床の間が造られるようになり、そこに具足(甲冑)などと一緒に飾る習慣が広まり、
主に江戸時代に定着したと考えられています。

 鏡餅は丸く平ぺったく、その形が昔の鏡(銅鏡)に似ており、鏡に自らの姿を映して
(かんが)みることにつながるとして、鑑餅=鏡餅と呼ばれるようになったとされま
す。
 丸い鏡餅の形は家庭円満を表し、餅を重ねた形は「年をめでたく重ねる」意味がある
とされ、ダイダイとも通ずる考えがあるのです。

みなさま、今年一年本当にご苦労さまでした。山の神にも感謝です。

2015年は1月24、25日のアカデミーの入試です。
                            正月じっくり考えて早めの応募、忘れぬよう!

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。合掌!

2014年12月22日月曜日

木工系の2校で合同説明会 好評につき1〜2月も開催します!


岐阜県立森林文化アカデミー × 森林たくみ塾
合同説明会 in 名古屋・東京

名古屋 2015年1月24日(土)13:00〜16:00
オスモ名古屋ショールーム
464-0807 名古屋市千種区東山通5-20-1 サン東山公園ウエスト2D
地図

東京 2015年2月1日(日) 13:00〜16:00
オスモ東京ショールーム
160-0023 新宿区西新宿1-20-2 ホウライビル11F
地図


ご存知でしたか?木工の盛んな岐阜県には、木工を学べる学校が4校あります。
・岐阜県立森林文化アカデミー(美濃市)
・森林たくみ塾(高山市)
・岐阜県立木工芸術スクール(高山市)
・飛騨職人学舎(高山市)

それぞれスタッフも設備も違うし、教育内容や人材目標も異なります。
木工に関わる仕事に就くために学校選びをする人には、その違いをよく理解して
自分に合った学校を選んでほしいと思います。

このうちの2校で合同説明会を実施します。それぞれの学校からスタッフが出向き、
特色を分かりやすく説明します。参加者の質問にもお答えします。
前回(11月、12月)は大変好評で、多くの方に集まっていただいたことから、
1月、2月にも開催することになりました。
木工に関わる仕事に就きたいと考えている方、どの学校を選んでよいか迷っている方、
比較検討できるチャンスです。ぜひご参加ください。

参加ご希望の方は、以下のフォームからお申込みください。
(別のウィンドウでフォームを開く場合はこちらから)

2015/1/11追記
名古屋会場、東京会場とも、それぞれ説明会終了後に講師との交流会を開くことに
しました。近くのお店で食事をしながら、ゆっくり話をすることができますよ。

2014年12月21日日曜日

デザインか、着心地か、視認性か、チェンソーウェアの比較

安全』のための第一歩、チェンソーウェアをモニター


 今日は信州大学の松村先生、デザイナーの中山さん、そして今回の試着品を用意して下さった
チェンソーウエアの代理店さんの3者の協力を得て、森林文化アカデミーの学生がさまざまな
チェンソーウエアを試着して、機能性外見(見た目)、林内での視認性などを比較調査しました。


 揃えられたチェンソーパンツは約30種、最初に見た目や機能性で仕分けをします。

 学生が着用したいもの、重量が軽いもの、機能的なもの・・・・・


 モニターをするため、アイマスクをつけて①履き心地、②屈伸運動のしやすさ、などを調査しま
す。

 目隠しすると、どうも①「履きやすいもの」、②「少しゆるめのもの」、③「軽いもの」がBESTに選ば
れる傾向があるようです。


 目視で、BESTを選択すると、①「デザイン性」、②配色の良さ、が優先されるようです。


 上着も何着も試着し、また違うメーカーの上着とチェンソーパンツの組み合わせも試し、
何が良い理由なのかを松村先生が聞き取りします。


 上着の値段もピンキリ、日本の現場ではチェンソーパンツは普及し始めたものの、上着を着用
する人は少ないのが現状です。


 学生たちは初めて見るチェンソーウエアも多く、興味津々。

 私もこれほどの量のチェンソーウエアを見るのは初めての経験で、興奮しました。


 午後からは、アカデミーの演習林内で、チェンソーウエアの視認性試験。
林内である一定の距離を離れると、どのウエアが目立つか?

 意外に日本製のものは林内での視認性が劣る傾向がある。


 今回はおまけで、チェンソーブーツも履き試しをしました。

 これも森林文化アカデミー始まって以来、初めての試みです。

 学生さんはヘルメットも着用性の良さを比較。
色合いも、機能も、安全性も重要ですが、やっぱりつけ心地の良いものが一番人気。


 他にもグローブも比較しました。 下刈りの時に手の甲を蜂に刺されないために、どのグローブ
がBESTか。チェンソーにはどのグローブがBESTか。

 さて、今回の結果はメーカーに迷惑を掛けることになるので、ブログではお知らせできません。
今回判ったことの一つに、見た目で選んだチェンソーウエアと、履き心地で選んだチェンソーウエア
は全く違うこと。
 見た目で選ぶと、日本製は外国製に劣る傾向があること。・・・・様々なことが分かりましたが。
 
 みなさんも購入前には、必ず試着してから購入しましょう。
 
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

こよみのよぶね2014に森林文化アカデミーチームが作成した「6」が参加します!



みなさん、「こよみのよぶね」という イベントをご存知でしょうか?岐阜の方は知っている人も多かと思います。毎年冬至の日に長良川鵜飼いが行われるまさにその場所で、竹と和紙でつくった1から12までの数字型の巨大行燈を流すというものです、岐阜出身のアーティスト日比野克彦さんを中心にたくさんの方が関わり合って作り上げているイベントです。

これは1月から12月の1年を振り返り、そして新たな気持ちで次の年を迎えるという、とっても粋なイベントなのですが、9回目の今回、なんとアカデミーに「参加しませんかー」とお誘いがありました!

ということで、水面下?!で夏ごろから学生と一緒に準備を進めてきました。

何をしてきたかというと、担当する数字を決め、そこからデザインを決め、竹と和紙で巨大行燈をつくる。言葉でいうと簡単ですが、これが結構大変でした。

まず数字はこよみのよぶね実行委員会にて、各チームから希望数字をあげます。森林文化アカデミーは「6」に立候補。

アカデミーフリークな方はわかると思いますが、長良川鵜飼いといえば、アカデミー卒業生が鵜かごの制作で1300年の伝統文化を支えています。その鵜かごは六つ目編みです。さらにアカデミーフリークな方は ご存知かもしれませんが、アカデミーではニホンミツバチを飼っていますが、ミツバチの巣は六角形です。さらにさらにアカデミーフリークな方にしてみれば常識かもしれませんが、森林文化アカデミーは美濃市と連携協定を結んでおり、その美濃市は市制60周年であり、その市章は六角形の「の」でできているのです。

6という数字だけで、アカデミーのいろんなことを知ることができるわけです。ということで、「6」が決まりました!

それからデザインです。有志であつまった学生チームと一緒にアイデア出し合い、それを木造建築の学生に まとめてもらいました。そのデザイン案がこちら


 六角柱10個で構成される「6」です。

 次は、これが技術的に成り立つものなのかの検証を進めます。竹を曲げたり、編んだりすることも必要なので竹細工職人であるOGに協力していただき、技術指導も受けました。






 その結果、なんとか実現できそうだ、ということになりいざ制作に!ここからは写真でご覧ください。

型に合わせて六つ目編みをして針金で固定していきます。

必要な長さに切る作業。

 熱を加えて、竹を曲げていきます。

和紙を着色して乾かしています。

たくさんの六角柱をつくり6の形に結束しました。

「6」がたった!

着色した和紙をヒーターで乾かしています。

たくさんの竹が入り組んで成り立っています。

だんだん形が見えてきました。

明かりをともすと、なんということでしょう♪(反対向いてますが)

 というわけで、12月22日(月)冬至の日が本番になります。17時以降、明かりが燈った行灯が鵜飼い観覧船乗り場付近に並びます。

森林文化アカデミーの6をはじめ、県内のさまざまな方たちがつくった巨大数字行燈が長良川を流れます。うかいミュージアムでも飲食なども出ます。

ぜひぜひ遊びに来てください。

 詳しくは公式ページを見てくださいね。
http://www.dnaand.org/yobune.html

2014年12月20日土曜日

生涯学習講座「里山の文化を伝える~明宝歴史民俗資料館の分散展示づくり」


2年目となる「明宝歴史民俗資料館の分散展示づくりワークショップ」を、今年は明宝公民館と森林文化アカデミー生涯学習講座の共催で実施しました。

第1回の10月7日は、展示ってなに?、展示にはどんな手法があるか?といった導入講義の後、地元住民を主体に外部ボランティも加わった3チームに分かれて、資料館の実物資料を見ながら「展示テーマ」を検討。第2回の10月14日は、実際の展示場所を想定しながら各チーム毎に「展示プラン」を作成。今年の展示場所とテーマは、道の駅明宝に「お米」の展示、ななしんぼカフェに「子育て」の展示、そして明宝温泉・湯星館に「木質エネルギー」の展示と決まりました。


それから約2ヵ月、3チームそれぞれに制作作業をすすめて完成した展示を、12月7日に村民文化祭である「明宝フェスティバル」でお披露目しました。

ななしんぼカフェの「赤んぼうを育てる(ひとねる)」展示はいち早く完成し、カフェに訪れる女性客に格好の話題を提供していました。制作チームも女性中心で、展示づくりをしながら昔の子育ての道具を(自分が子どもの頃に)使った記憶や、最近の子育て事情や新しい用具のことなどを、楽しげに情報交換していました。

 



道の駅に展示された「お米展示」は、明宝の特産品である「日出雲(ひずも)のめぐみ」の新米と隣り合わせに設置され、お客さん達は昔の米作りや食文化を表す道具類を、興味ぶかそうに見ていました。




明宝温泉に展示予定だった「木質エネルギー」展示は、湯星館の設備を新型の薪ボイラーに交換する工事のため閉館中で、この日は公開できませんでしたが、12月18日のリニューアル・オープンに合わせて公開予定です!



おまけに一つ、「分散展示づくり」と並行して、明宝中学校で実施している「聞き書き授業」の成果も、この日「明宝フェスティバル」の舞台上で発表されました。地域のお年寄りに中学生が聞き書きしまとめた『中学生版・奥美濃よもやま話』を、語り手の方だけでなく昔を知る聴衆に大好評でした。


 
こうした地道な活動を積み重ねながら、明宝歴史民俗資料館は「明宝の里山文化を伝える拠点」として、現在の地域づくりやコミュニティ活性化の基礎を支える存在になっています。森林文化アカデミーの教員や生涯学習講座も、そのパートナーとして息長い活動をしていきたいと思います。


記: 山村づくり講座 嵯峨創平

2014年12月19日金曜日

竹を伐る、竹を使う


 林業を学ぶエンジニア科の若い学生たちを対象に、はじめて竹細工の授業を実施しました。彼らは夏に竹林整備も体験しており、竹を伐ること、使うことを一貫して学んでもらうことにしたのです。ものづくりを学ぶ学生との合同授業です。
 この授業、森林文化アカデミー卒業生で長良川鵜飼の鵜籠をつくる職人、鬼頭伸一さんと前西千寿香さんが指導に当たりました。

「節のとこは繊維がこうぐるっと回ってて・・・」

まずは丸竹をヒゴにするのに一苦労。見てる方がドキドキ。

底の「六つ目編み」を開始。CAD図面を用意するのが、さすが元エンジニアの鬼頭さん。

縁のところがいちばん難しい。若きエースの前西さんがお手伝い。

「オメェそうじゃねェだろ、貸してみろ!」優しい鬼頭さんはそんなことは言いません。

ちょっとユニークな形してるけど、よくできました。


 いま、竹は増えすぎて邪魔者扱いされがちですが、こんなに優れた素材であることをこれから林業の現場に出てゆく学生たちに体験してほしい、というのがこの授業のいちばんの思いでした。じっくり2日間竹と向き合って、きっと伝わったと思います。