2014年9月25日木曜日

現地実習のあとはデスクワーク

森林土壌について、各自で詳しく調べる


 昨日は森林文化アカデミーの演習林で、唐鍬、コテ、土色帖などを駆使して森林土壌を調べまし
た。初めて掘る土壌断面づくりに悪戦苦闘し、そこに生息する森林植生の把握にも苦労!

 今日は昨日からの雨がまだ残っているので、情報処理室Aで復習です。

1.森林土壌はどのようにできるのか?(200字程度)
2.A0層のLFHとは何か。またLFHは英語でどのような単語か。
    L Leaf 落葉層、落葉落枝の未分解落葉層Liter
    F Fermentation(発酵) 植物組織の認められる有機物層。認組織有機物層
    H Humus(腐植) 否認組織有機物
3.褐色森林土とはどのような土壌か?(200字程度)
4.褐色森林土の土壌型BA・BB・BC・BD・BD(d)・BE・BFについて、一つの土壌型につき100文字程度説明せよ。
5.土壌構造の粒状、塊状、カベ状、団粒状、堅果状を各々100文字程度で説明せよ。
 

 さて、簡単に提出されると思っていた土壌に関するレポートですが、みな真剣に約2000字
ほどのレポート作成に頭を悩ませたのです。
 
 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2014年9月24日水曜日

土を知れ、土壌を知れ、立地を知れ

土と土壌の違いを知ってるか? 樹木が育つということ。


 こんにちは、JIRIです。
今日はエンジニア科1年生の精鋭が集い、森林文化アカデミー演習林で植生や森林土壌の勉強
をしました。

 指導教員は、ななんと、横井エンジニア科長とJIRIクリエーター科長の2人。

 最初に現場の地質のこと、岩石が風化して土壌化すること、落葉落枝が栄養分になること、
植生を見れば地質が、水分環境が、立地環境が判る。・・・・・などを習う。


 最初はスギ林で土壌を見てみる。
 根系の分布はどうか。石礫はどうか。土壌の色は。土壌構造は。土性は?・・・・実際に土壌を
掘って、素手でさわらなければ土壌は判らない。

 「土」と「土壌」は違うようね。 土壌には構造がある。粒状、塊状、団粒状など。



 土壌の層位区分をどうするのか。仲間同士で検討する。

 今度はヒノキ林に移動する。そこの下層植生はウラジロが主。他にもアカラカシやツブラジイ、
ヤマウルシなども見られる。

  そこに見られる「根」は何の根か? 草本か、シダか、上木のヒノキか?


 土色帖では10YR 3/4 と黄色みが強い。
 土壌を指で潰して、水分状態を確認するとともに、色合いや土性を確認する。


 最後に、広葉樹林の中で土壌を確認。そして植生も再確認。
今日は一日中を演習林で過ごす実習をこなしたのです。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2014年9月23日火曜日

エゴノキプロジェクト2014のお知らせ(参加申込みもこちらから)


 岐阜県立森林文化アカデミー・美濃市の林業グループ山の駅ふくべ・全国の和傘職人たちが共同で、和傘づくりに必要なエゴノキを毎年収穫する「エゴノキプロジェクト」、2014の詳細が決まりましたのでお知らせします。
 「そもそもエゴノキプロジェクトって何?」という方は、こちらのページに詳しい説明を掲載しています。
 一般の方もご参加いただけます。林業の専門家のアドバイスを受けながら、直径4~6センチのエゴノキを手ノコで伐り、運ぶ作業です。伝統工芸を支える森づくりの活動にぜひご協力ください。
 参加ご希望の方は、末尾の参加申し込みフォームからお申込みください。


▼2014の方針
エゴノキ500本の伐採を目指します。うち250本は和傘用(直径が4~6センチ)、残り250本は太い樹を伐って若い芽を出させ、森の更新を促すための伐採です。


▼日時、場所
日時:11/23(日)8:30〜15:30
集合場所:美濃市片知 瓢ヶ岳(ふくべがたけ)登山口駐車場
作業場所:美濃市片知 新田の森
地図:http://goo.gl/vUcDA7
集合場所までのルート:http://forest-academy.blogspot.jp/p/blog-page_6.html

新田の森の入り口 この周辺に車を停めて徒歩で林内へ入ります。


▼持参するもの
弁当、飲物、山歩き用の靴、軍手、防寒具、雨具(カッパ等)
※ノコギリ、ヘルメットなどは事務局側で準備します。
下の写真は2013年の作業の様子です。服装などを参考にしてください。




▼作業スケジュール
8:30     登山口駐車場に集合
            各自の車で新田の森入口へ移動、徒歩で新田の森へ
9:00     ガイダンス
            エゴノキプロジェクトの概要
            和傘・傘ロクロの解説
            森林の更新の状況
            エゴノキの見分け方、伐り方
9:30     伐採作業開始
12:00   昼食
13:00   作業再開
15:30   作業終了、解散


▼雨天の場合
小雨決行します。
悪天候の場合は、11/24(祝)に延期します。


▼交流会
日時:11/23(日)18:30~
場所:美濃市曽代88 森林文化アカデミー・アトリエ棟ゼミ室A
地図:http://goo.gl/JRJHiQ
※交流会では食事代(実費1000~2000円程度)をご負担いただきます。


▼勉強会
日時:11/24(祝)9:00〜12:00
場所:美濃市曽代88 森林文化アカデミー・アトリエ棟ゼミ室Aほか
地図:http://goo.gl/JRJHiQ
※和傘関連のビデオを見たり、足踏みロクロ等の人力の道具で「傘ロクロ」を作る体験を予定しています。


▼参加申し込みフォーム
 エゴノキプロジェクト2014に参加ご希望の方は、以下の申し込みフォームよりお申込みください。日程等の変更をメールや電話でお知らせする場合がありますので、必ずお申込みをお願いします。
 危険を伴いますので、乳幼児の同伴はご遠慮ください。小中学生は必ず保護者同伴でご参加ください。
(新しいウィンドウで開く場合はこちらから)   

2014年9月22日月曜日

生涯学習講座「ニホンミツバチと暮らす」1回目開催しました!


 先週土曜日(9/20)に生涯学習講座「ニホンミツバチと暮らす① ニホンミツバチの蜜をしぼる」を開催しました。クリエーター科山村づくり講座の実習でもお世話になっているニホンミツバチ協会さんとの連携講座です。

  ニホンミツバチ協会事務局長山田さんの挨拶

  ニホンミツバチ協会事務局長の山田さんの挨拶の後、協会の三輪会長より、ニホンミツバチ全般について、さらにその巣の構造についての講義がありました。さらに協会顧問の遠藤先生よりニホンミツバチの生態についての講義もありました。ニホンミツバチは飼えない、飼うというよりも一緒に暮らしてもらうという姿勢が大事であること、またニホンミツバチとともに暮らすことでその先に見えてくることを大切にしている、といわれたことが印象的でした。


ミツバチの生態のお話。皆さん聞き入ってます。

 講義の後はいよいよ実習です。当初はアカデミー内に設置している巣箱から蜜をしぼることを予定していましたが、以前お伝えしたように7月の猛暑時に巣落ち、逃去してしまったために利用できる巣箱がありません。そこで協会さんから近隣のお寺さんにお願いしてもらい、境内に置いてある巣箱を利用させていただくことにしました。
 最初にお墓の中に棲んでいるニホンミツバチの自然巣を皆で見学しました。墓石の隙間からミツバチが出入りしている姿を見て、皆テンションがあがります(個人のお墓なので写真はありません。すいません!)。
 そしていよいよ巣箱から蜜を取ります。巣箱はお寺の本堂の軒下に設置してあります。参加者やアカデミースタッフは本堂の中に入らせてもらい、網戸越しに作業の様子を見学します。協会スタッフの方がネットを被り、重箱式巣箱を上段から切っていきます。これは底の無い重箱のような枠を積み重ねたもので、最上段に蓋がしてあります。その蓋から巣板が何枚も垂れ下がるように作られていて、上の方は蜜室、その下に花粉室、更に下の方はミツバチの子育てのスペースとなっています。そして上の方の枠だけを切りはずすことで幼虫や卵等を殺すこと無く蜂蜜を採取することができるのです。

軒下の巣箱。底の無い重箱を重ねたような構造です。

網戸越しに作業を見守ります

上の段を切り離したところ。ぎっしりと蜜が詰まっています。

 巣の大きさを確認した上で2段目まで切り取りました。ご覧のようにぎっしりと蜜が詰まっています。網戸越しに見ていた参加者も切り離した途端、思わず身を乗り出します。その場で少し試食。そのおいしさに皆盛り上がりました。
 切り離した巣枠はそのままアカデミーに持ち帰り、巣板を包丁で切り離して蜂蜜を分離します。ここでも試食をさせてもらいながらの作業です。蜜室の蓋を切りはなすと中からトロッと蜂蜜があふれてきます。至福の瞬間!

細かくして蜜を落とします。

蜜しぼりと言っても自然に蜜が垂れてくるのを待つため時間がかかります。方法の説明を受けたところでお昼休みとしました。

 午前中だけでもボリュームのある内容ですが、昼からも講座は続きます。午後からはまずアカデミーの柳沢先生から蜜源植物の講義をしてもらいました。その後周辺の植物を見て歩きます。ちょうど花が少ない時期であまり花を見ることはできませんでしたが、タラノキの花が満開でいろいろな虫が訪れていました。このようにミツバチをきっかけとして、周辺の植物、さらにそれを利用する他の生き物についても関心を向けてもらえるとうれしいです。
満開のタラノキ。色々な昆虫が訪花していました。

 その後、私から蜜蝋と木蝋の話を少しさせていただいた後、蜜蝋づくりに入ります。ミツバチの巣は働き蜂の腹部から分泌されるワックスで作られています。蜜をしぼった後の巣をお湯で溶かし、不純物を取り除くことで蜜蝋を精製することができるのです。今回は会長秘伝の方法で行いました。ミツバチの巣が鍋の中で見る見るうちに溶けていきます。不純物を取り除く作業を繰り返し、冷まして固めれば蜜蝋の出来上がりです。今回はさらに山田さんの指導のもと、蜜蝋にホホバオイルを混ぜて床用ワックス(?)を作りました。薬事法の関係で大きな声では言えませんが、ハンドクリームやリップクリームとして使う人もいるそうです。興味のある参加者さんが手に塗っていました(アレルギー体質の場合もあるので、あくまで自己責任です)。
溶かした蜜蝋にホホバオイルを混ぜていきます。

また蜜蝋は家具等の木製品の塗装にも使われます。今回はものづくり講座の和田先生もスタッフとして参加してもらっていたので、その場合の調整の仕方や使い方について説明をしていただきました。参加者の方々に聞いてみるとご自宅に木の家具のある人は多く、今後のメンテナンスに役立ててもらえるとうれしく思います。

木製品塗装についてのお話。

 一日盛りだくさんの内容で、お腹いっぱいの人も多かったようですが、実際に巣箱を自宅に置いてみたいという人も多く、最後の質疑応答も熱いものでした。蜂蜜と蜜蝋製床用ワックス(?)をお土産に持ち帰っていただいて講座を終了しました。次回(10/11)は巣箱と蜜蝋キャンドルづくりです。

 参加者の皆さん、ニホンミツバチ協会の皆さん、お疲れさま&ありがとうございました。
琥珀色に輝くニホンミツバチ蜂蜜タワー!

2014年9月21日日曜日

「伏見まるごと博物館」にエコミュージアムの始め方を学ぶ


山村づくり講座1年生の「エコミュージアム概論」で京都市伏見区を訪れました。伏見と言えば、伏見稲荷、酒蔵のまち、龍馬襲撃の寺田屋事件など…歴史文化の観光資源には事欠きませんが、今回お訪ねした「伏見まるごと博物館」の活動はひと味違います。



京都市内11区のうち伏見区は28万人の人口を擁する最大の区です。戦国時代末期に豊臣秀吉が築いた伏見城の門前町として栄え、伏見稲荷の門前町としても賑わいました。また京~大阪を結ぶ淀川水運の要衝として商工業も盛んでした。そんな歴史から「伏見は京都とは別のまち」という意識が地元っ子には根強くあります。現に昭和4~6年の短期間ではありますが「伏見市」という独立した自治体でした。

そんな背景をもつ「伏見まるごと博物館」の活動は、3年前(2012年)に始まりました。市民活動をベースに住民主体でつくるエコミュージアムを目指して、15人の「まる芸員会」を中心に、いわゆる観光名所や文化財ではない「生活者の目線で残したいまちの記憶」をガイドツアー、手づくり展示、上映会、シンポジウムなどの多彩な活動で発信しています。事務局が伏見区青少年活動センター内にあることから、これらの「まちの記憶」を「平成生まれの若者・青少年に伝える」ことも意識しています。



こうした「伏見まる博」の理論的な側面を支援しているのが京都市まちづくりアドバイザーの加藤ゆうこさん、まる芸員会の代表であり実践活動の中心となっているのが地元商店主である北澤雅彦さん、そして事務局として裏方を支えているのが伏見青少年活動センター所長で京都市ユースサービス協会の職員である石指温規さん。こうした住民と専門家と行政の絶妙なパートナーシップが、「伏見まる博」の柔軟性や発信力を支える大きな骨組みだと思いました。



さて、お楽しみの「伏見まる博ミニツアー」に出かけました。といっても、観光パンフレットに載っているような名所はほとんど歩きません。京都文化と一括りにできない伏見ならではの暮らしの自慢や陰の歴史がが、あちこちに点在しています…。ちょっと例を挙げると、

・秀吉の街割りが今も使われている「伏見界隈」
・住宅のホーロー看板に残る「伏見市」の印字
・水運のまちの「運河の面影」
・日常食としての「粕汁」の食文化
・かつての「遊郭」の名残を感じさせる街並
・実はここが発祥!? 佐々木パンの「メロンパン」
・大スター長谷川一夫が通った「外科医院」の跡地





 

これらの「まちの記憶」を表す無数の場所はモノは、文化財の指定外であり、大きな観光資源にはならないかもしれません。でもエコミュージアムの本質は、地域の暮らしの記憶を伝える場所やモノを手掛かりに「何気ない"地域の遺産"を住民の目線で捉え直し、若い世代や新しい住民へ伝えていくこと」にあると思うのです。
この地道な活動が「まちの気風や景観」を知らず知らずのうちに育てていきます。そうした意味で「伏見まるごと博物館」は正しくエコミュージアムであり、40~50代を中心に"つなぎ世代"を自認する「まる芸員」の方々の活動は、「どこでも・だれでも始められるエコミュージアム」のお手本のような活動だと思いました。


記  山村づくり講座 教員 嵯峨創平

2014年9月18日木曜日

こんな”サイ”がほしかった!?地域材を使った地域のためのものづくり~その後

さて、以前「地域材を使った地域のためのものづくり」と題して、ものづくり講座が実施しているオリジナルグッズ開発の授業について紹介しました。あれよあれよという間に9月も半ば。あのオリジナルグッズ開発はどうなったか。そもそも一体全体何をつくっていたのかを紹介したいと思います。



今回、制作させていただいたのは、美濃加茂市にある「みのかも文化の森」という市民ミュージアムのオリジナルグッズです。学生たちから出てきた中から選ばれたのは、この施設のマスコットでもあるカニサイをモチーフにしたステーショナリーシリーズでした。

カニサイは、美濃加茂市内を流れる木曽川でその足跡の化石が見つかり、施設内ではその足跡とカニサイを復元した模型が展示されています。化石は国内最古のものだそうです。

選ばれたアイテム、完成した姿はこちらです。 3種のカニサイからなる「カニサイ君ステーショナリーシリーズ」です。

 最近はやりのマスキングテープカッター

 ペンホルダー。使用頻度の高いシャチハタもいい具合に納まります。


そして、カードホルダー。



また、別の学生が提案した、敷地内にある太郎池の形をモチーフにしたカードスタンドやシンプルなヒノキのしおりも制作しました。


各アイテム、2年生が制作工程を考え、冶具を用意し、本番では1年生に指示をしながら制作していきます。


その過程では、冶具の精度が悪く形を整えるのに非常に時間がかかったり、工程の順番を見誤ったりするなど何度も何度も手戻りが発生しました。また、この方法でいけるだろうという見通しだったものが、いざやってみたらものすごく効率が悪かったり、正確な加工ができなかったり。たまに教員からも作業変更や工程変更などの指示を出しながら、少しでも早く正確にきれいに仕上げれるように進めていきます。この授業は、このライブ感、ピリピリした空気が刺激となります。


さぁ、ゴールが見えてきた!といった時点でも、すでに授業枠をはるかにオーバーしていた時でしたが、そこに来てまさかのマスキングテープカッターは全部不良品ということが発覚!

2年生からの指示ミスで、あるパーツに接着剤を塗っていないことがわかり、すべて作り直し。そうですそうです、これもすべて学びです。と教員は言えるのですが、学生らはほんと大変な思いだったでしょう。

しかし、そういった困難もなんとか乗り越え、やっと出来上がった商品。雷に打たれて立ち枯れしていたみのかも文化の森のヒノキ。それがこのようにデスクの上を彩るステーショナリーに生まれ変わりました。この秋、みのかも文化の森のミュージアムショップの店頭に並ぶ予定です。

(正式な販売時期は決定していません。)

2014年9月17日水曜日

キャリアデザインかな?

将来の就職先を見据える時間


 エンジニア科1年生が将来どのような仕事に就くのか。それを考えるため、希望の職種や
キーワードを使って、インターネット検索しました。

 希望の職種は森林組合や林業事業体、家具工場、特殊技能者など、これに大学進学希望者
もおり、1年生のうちから目標に向かって覚悟を決めます。


 自分が就こうとする仕事の内容はどのようなものか。年収の平均はどれくらいか。
身分保障や保険対応、地域での貢献度なども含めて、調べることで何となく将来の自分が
見えてきます。

 さぁ、みんな、自分の目指す仕事に就くために、一層のスキルアップを図りましょう。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2014年9月12日金曜日

人工林施業あれこれ ~ヒノキ高齢林・スギ列状間伐・スギ二段林

 クリエーター科林業再生講座2年生の実習で、郡上市大和町の人工林を訪ねました。

 最初は、ヒノキ100年生の林。


 「この林の本数密度や蓄積は?」

   「800本、1000立米」  おいおい、そんなにあるか。

 「木材生産林としての評価は?」

   「枝打ちしてある元玉と2番玉は期待できる」
   「でも小曲がりがある」
   「細い木が多いかも」

 「公益的機能は発揮できている?」

   「下層植生があるので、水土保全機能はOK」

 「これまでの施業は適切だったか? こうしたら良かったということはない?」

   「樹冠長率が小さい。もっと間伐した方が良かったんじゃない」

 「この林は、地域のヒノキ林の目標としてふさわしいか?」

   「胸高直径40cm越えの木が多いし、 いいんじゃない」
   「うーん、・・・」

 「この林は、今後どう取り扱うのがよいか?」

   「樹冠長率が小さくて今後の成長が期待できないから、皆伐して、再造林」
 
     ほんとに成長が期待できないか、きちんと判断する必要があります。
     その判断に基づいた選択肢を上げ、その中から取り扱いを決めることが大切です。


 山に入ると、見ること・考えること満載です。

 日頃から問題意識を持って森林を見ること、そして考えることをくせにしてください。



 次に見たのは、列状間伐したスギ人工林です。 この林は、間伐直後に冠雪害を受けてしまった林です。


 冠雪害で穴が空いたところの植生を観察します。

 「これ、針広混交林を作ると言ってやってる強度間伐のようなものだよね。何か更新してる?」

   「 高木性の樹種はない。このままでは針広混交林にはならない」
   「これと同じように、まずは少し穴を空けてみて、更新の可能性を判断するのはどう」

     ナイスな意見です。 



 最後に、二段林を造成した場所をいくつか見ようと思っていたら、雷雨が。


 しかたなく、1箇所だけを道ばたから観察。じっくり観察できないのが残念。

 目的なき二段林の問題を話し、大和の現場をあとにしました。


  by 横井秀一
  

2014年9月10日水曜日

国会議員さんも見学『樹と木材を知る(応用編)』

『樹と木材を知る』を社民党の福島みずほさんらが視察



 今日はエンジニア科1年生の『気と木材を知る(応用編)』二日目、担当教員は久津輪先生とサブ
のJIRIです。

 昨日、学生たちと柳澤先生、久津輪先生で採取してきた16種類の樹木を材料に、「木のお家型木
材標本づくり」です。

 そこに森林文化アカデミーを表敬訪問された社民党の福島みずほさんとそのお仲間の方々
飛び入り参加されました。

 アカデミー全体を見学されるととに、学生の授業風景をご覧になり、木材を削る体験もされて
楽しい時間を過ごされました。


 山で採取した丸太を樹木の繊維に沿って割り、その割り木を削りだして、柾目・板目・樹皮つきの
木材標本でありながら、小さなお家をつくります。

 削り出す途中で、木材の香りや色合い、硬さ、肌触りなど、五感をフル活用して、標本の説明シナ
リオを考えながらの作業です。


 課題となる材料は①サカキ、②ヒサカキ、③コナラ、④アベマキ、⑤クスノキ、⑥リョウブ、⑦クリ、
⑧アカマツ、⑨カスミザクラ、⑩ウワミズザクラ、⑪カナメモチ、⑫アカメガシワ、⑬コシアブラ、
⑭タカノツメ、⑮アラカシ、⑯ソヨゴです。


 写真の右側が一般的な標本、左側は子どもさんたち用のお家型の木材標本です。
学生たちは一週間後までに、それぞれの樹木の特徴や木材としての利用価値などを調べて
報告する予定です。

 
以上報告、JRIIこと川尻秀樹でした。

生涯学習講座「里山文化を伝える」ワークショップの参加者募集します

里山文化を伝える拠点として博物館の新しい形を創造している「明宝歴史民俗資料
館」を会場に、同館が所蔵する民具資料を使って、明宝地区内3ヵ所(道の駅、温泉
施設、カフェを予定)に分散展示を作ります。
明宝の古老にアドバイスを受けながら、テーマ考えて資料を選び、展示計画から展示
制作までチームで進めます。最終回は12月の「明宝フェスティバル」で地区内外の人
に広く展示を公開します。
民具の意味を学び、展示を制作しながら、里山文化を伝える方法を学ぶ実践講座で
す。(参加費無料・全回参加が原則)                     
             
担当:嵯峨創平(山村づくり講座)


エンジニア科乗鞍岳登山:あまりにもリアルに感じる自然の厳しさ~その3~

さて、エンジニア科の登山も終盤に差し掛かってきました。とことん天気に味方されなかったわけですが、最後こそはという思いで乗鞍を出発し、西ウレ峠に向かいます。

西ウレ峠までは高山の市街地を抜け、高山と郡上を結ぶせせらぎ街道を通ります。8月の大雨で大変な土砂災害、水害にあったこの地域。今でこそ道路は通行できるようになっていますが、あちこちでその爪跡を見ることになりました。

西ウレ峠についた際、かなり雨が強く降っていたため、一度道の駅パスカル清見へ行き、少し早い昼食をとることにしました。天気図を見ると、その時間を稼げば雨の山場は過ぎるだろうという見通しでした。お弁当を食べた後、再び西ウレ峠へ向かいます。読み通り雨は小康状態となり、レインウェアもなしで散策できるほどでした。

  

横井先生から、このあたりの植生の解説を聞いたのち、散策道を歩きはじめます。乗鞍周辺とは違い、冷温帯に属するこのあたりでは豊かな植生が見られるようです。





 ホオノキ、トチノキ、夏椿、捻木、オオカメノキ、ミズメザクラ、ブナ、ミズナラ、コシアブラ、ハリギリ、ウリハダカエデ、ハウチハカエデなどなど、次から次へといろんな樹木の名前が出てきます。それぞれの見分け方や材の利用についての解説をしながら進みます。





しかし、さらに奥に進もうとしたとき、遊歩道は土砂崩れにより寸断されていました。 上方からブナの木が根元から崩れ落ちています。さすがにこれ以上は進めません。



大雨が悪いわけでもなく、土砂崩れが悪いわけでもありません。これも自然な遷移です。本来このブナの木があったと思われるところにはきれいなギャップができています。ここに新たな種子が飛来し、新しい木々が育っていくのでしょう。

今回の登山では、標高が高い乗鞍岳の植生を見ながら、さらに自ら雨風に打たれることにより厳しい自然にさらされて生きる植物がどのような環境で生きているのか体感することができました。また、西ウレ峠では豊かな植生ばかりでなく、自然の猛威にあい崩れた山肌から、自然の遷移のきっかけを目の当たりにしました。リアルに感じた自然という厳しさ、エンジニア科夏の登山はこうして1泊2日の日程を終えたのでした。