エンジニア科1年生による
カシノナガキクイムシ被害木山側への伐倒実習
岐阜県関市にある百年公園のアベマキがカシノナガキクイムシによって枯れてしまいました。
所長の若林さんと森林研究所の大橋さんと相談の上、斜面下側に傾斜していたアベマキを
山側に伐倒しました。
指導者は江崎林業の江崎尚史さん、アカデミー教員は杉本先生とJIRIです。
伐採に先立って、御神酒を捧げ、二礼二拍手一礼して、「安全祈願」をしました。
伐採予定木は中央のアベマキと右上に写っているスギで、アベマキは内木くんが、スギは
女性の丹羽さんが伐採します。
ちなみにこのアベマキは樹高20m、根元直径50cmほどあり、樹冠にはフジ蔓が絡んでいた
ため、JIRIがツリークライミングして、フジ蔓を除去しました。
アベマキには下の写真のように約10m近い高さまで登って、牽引具チルホールのワイヤーを
セットします。チルホールは500kg対応と750kg対応を3つ利用して、山側に倒します。
アベマキは伐採によって幹が裂けないようワイヤーとアテ木で「裂け防止」を施します。
どのように巻いて、どのように締め上げて、固定するのか? 一つ一つが勉強です。
伐採は丹羽さんによるスギからです。「伐倒方向よし、待避場所よし、上方よし」
自分で目立てしたチェンソーを使って、人生2回目の伐採です。江崎先生のサポートを受けなが
ら、山側に受け口をつくります。
山側に引っ張って倒すため、追い口は高めにします。立ち位置の関係からチェンソーの上刃を
つかって切り込みます。小柄な女性であるため、チェンソー操作は一苦労です。
追い口を切って、少し厚めのツルを残して、スギの伐採は終了です。このスギはアベマキと一緒
に倒す予定です。
さて、内木くんは本日の大物、アベマキとの格闘です。
自分で目立てした刃が切れ味が悪いかと思ってしまうほど。単に広葉樹だから堅いだけでなく、
立ち枯れして乾燥しているため、一層堅くなっています。
使用しているチェンソーのガイドバーが短いため、左右両方から受け口を切らなければなりませ
ん。
受け口は山側に、かつほとんど90°に近いオープンフェイスで実施。
初めての合わせ切りですが、材の堅さと、緊張とで、思ったようには切れず、切断面の切り直しも
しました。
最終仕上げの追い口切りは、他の学生は安全地域間に待避です。
内木くんは再度、自分の待避場所を確認をしてから、追う口を切り進み、適宜チルホールで引っ
張る手順の繰り返し。
途中で「パシッー」と木材繊維が断裂する音が山中に響き渡り、最後には見事に目標の場所に
伐倒することができました。
伐採した木材から出てきたカシノナガキクイムシの成虫を、若林所長さんが発見。
長さ5mmほどの成虫ですが、彼らが運ぶラファエレア菌(ナラ菌)によって、枯れてしまったので
す。
最後に百年公園の駐車場で記念撮影。
今回は百年公園の若林所長さん、メイン講師の江崎さん、大変お世話になりました。
有り難う御座いました。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。