2014年2月10日月曜日

『煩悩は力の源』 あなたのやる気と変える勇気 : 第16回施業プランナー育成研修


自分たちで知恵を出して、改善について考える
 ・行って、見て、聴いて、嗅いで、噛んで、触れて確かめるリスクより
               聞いただけで納得するリスクの方が大きい・・・現地現物

施業プランナー育成研修第15回施業プランナー技術維持研修第6回(林業再生講座の学生)
   今回は㈱豊田自動織機で長年経営改善などに取り組まれた圓谷先生と成瀬先生をお迎え
 して、「生産の管理」「効率的な組織運営」について、講義して頂きました。

 最初は現在、㈱中部フォレストマネジメントで技術顧問をされている圓谷公康先生から、「生産の
管理」について、講義して頂きました。

 開口一番、「企業の目的は何か?」・・・ 社会との調和を図りつつ、社会的使命を果たす。

                    ・・・・・そのためには、利益を上げて企業が存続し続けること。 



 個人も企業も評価は、相手がするもの。 売値はお客様が決める。
   ・・・・・自分の善し悪しは自分では見えない。

  企業の資産は、「人、物、金、時間、情報」と言われる。
    ・一つ目の資産は、「お客様の信頼、安心、満足」
    ・二つ目の資産は、「従業員のやる気」   ・・・・いろいろな場で常にこの軸で物事を見る

 林業の補助金について見る
  ①CS(顧客満足度)の追求
  ②優れた人材の確保と安全の確保
  ③SCM(サプライチェーンマネージメント)による流通の効率化・・・・どんぶり勘定から計量カップへ
                                      闇から希望へ 

生産管理するのと、商品化するのとは、次元が異なる。
  ・お客様の立場に立った、市場志向になっているか。→ マーケット・イン(帰納的)
  ・これなら売れると思い込んだ生産。→ プロダクト・アウト(演繹的)


 QCDSを林業で考えると、
   Q(品質): 曲がり、腐り、割れ、含水率、強度、色目
   C(コスト):作業者人件費、機械償却費、燃料費、管理費
   D(納期): リードタイム、客先納期、平準化
   S(安全): 処置災害、不休災害、休業災害

  効率的な作業の検討をする・・・・工程・設備・工数・・・・・ネック工程はどこか?

     林業では「集材」と「仕分け」が時間を費やすネック工程となる


考えるリスクより、考えないリスクの方が大きい
  行動するリスクより、行動しないリスクの方が大きい
    変わるリスクより、変わらないリスクの方が大きい。・・・・今の職場? そう思いませんか?

       だからこそ、「自分たちで知恵を出して、良くすることを考える必要がある」


さて、午後からは、㈱豊田自動織機ALSO技監である成瀬力造先生の「効率的な組織運営」です。
成瀬先生は『伏魔殿』と題して、甘やかされた環境やエゴイズムが蔓延した世界、YesManの横行
した現代社会について話をされ始めました。


 意外にも、『煩悩は力の源である。空海の教えになる「煩悩」の話を事例に、
それを良い方向に向けさせることを示唆されました。

 やる気の出ない職場とは
   ・計画のない場当たり的な業務
   ・目的不明確な形骸化した業務
   ・仕事の原単位がなく、現場任せ、人任せな業務
   ・セクショナリズムと他責主義の蔓延した業務
   ・お客様を考えない組織の壁       → → →  体をなしていない組織

 こうした組織では、不明瞭でアンフェアーな評価をされるため思考停止する。

 トップが喜ぶツボを押さえ、立ち回りのうまい、要領の良い輩が、
  トップの周りにはびこると業績は低迷する・・・・・どこでもあるようなゴマすり。


「働く」ことは付加価値を生み出すが、「動く」ことは付加価値を生み出さない。

  「動く」について考える。

施業プランナーならば、
  ・計画の精度アップ
  ・前段取り、後段取りの工夫
  ・始業点検と終業点検
  ・ブレイクダウン・メンテナンス   → → → 予防保全へ
 

  なぜ、PDCA回路が回せないのか?
       それは  ・計画が甘いから、検証できるレベルにまでブレイクダウンしていないから

       料理で言えば、丼勘定のままで、具材のここの味を見ていないから。



「匠の技」について考えてみよう。  どんな仕事にも匠の技がある。
 
  しかし、根拠のない経験や勘など無い。 見える化による効率化も可能。
 
 左官工のベテラン仕事を、作業の明文化と標準化してみる。すると、1~9項目のうち、匠の技が
必要なのは9番目の「鏝に取り、一気に塗り込む」作業のみ、他はマニュアル化できる。
・・・・・・これを林業でも考えれば、マニュアル化可能な部分も多いのでは?
 

 改善は、出来る? 出来ない?ではない。 やるか、やらないかである。

    本当の魔物は・・・決断できない自分自身かもしれない。

 一番大切なことは
         あなたのやる気と変える勇気
                 ・働く人が変わる  ・仲間が変わる  ・業界が変わる



 さて、成瀬先生の講義の後、研修参加者同士で「自分たちの職場で思い当たることがあるか」
グループ討議です。


 4つの各グループから出てきたことは、
   ・PDCA回路が回らない。
   ・PDCで止まってしまう。
   ・人材が育たない。
   ・見える化出来ていない。補助金のための業務日誌。
   ・現場と事務方の温度差。
   ・長期経営プランが無いため方向性を見失っている。
   ・多能工化できていない。・・・・・・・・・・様々な問題意識を持っていました。


 最後に、技術維持研修は今回で最終ですので、本年度の修了証を担当教員のJIRIが代理で
手渡しました。みなさま、ご苦労様でした。


 平成25年度技術維持研修終了者は11名、みなさん今後は上級目指して頑張って下さい。
 
 
 育成研修のみなさんは今月21日に一年間の総まとめ、「事業実績発表」があります。
頑張って下さい。期待していますよ~!
 
以上報告、JIRIこと林業再生分野教員の川尻秀樹でした。