クリエーター科林業再生講座の『樹木学実習』(1年生)と『樹木学指導実習』(2年生)が始まりました。この科目は、林業や森林管理に必要な樹木の知識を身に付けることを目的にしています。
授業は、1年生と2年生の合同で行います。
2年生は、昨年(1年生のとき)の『樹木学実習』やそれ以外の機会で得た知見を1年生に伝えるというのがミッション。人に教えることで、自身が持っている知見をて再確認し、伝える技術を磨いてほしいと考えています。2年生には結構なプレッシャーになると思いますが、その緊張感も大事です。
1年生には、扱った樹種に関する知見を得るとともに、樹木に関する知見が林業をやっていく上で重要であること、どんな知識がどんな場面で役に立つかということを学んでほしいと思っています。
この科目で目指すのは、
■樹種がわからなければ、森林管理はできない。まずは、樹種を同定できるようになろう。それも、葉っぱだけではなく、樹形や枝ぶり、樹皮、冬芽などを総動員して、いつ見ても同定できるようになろう。
■樹木は、実生・稚樹・萌芽枝(徒長枝)・成木で葉の形や雰囲気が変わることがある。一つの姿しか知らないのでは、現場で使えない。どんな姿でも同定できるようになろう。
■自分で同定できるように、図鑑の見方や検索の仕方を知ろう。ついでに、最近はいい図鑑がいろいろと出ているので、いろいろな図鑑を比べてみて、自分に合った図鑑を見つけよう。
■木材やそれ以外の利用方法がわからなければ、その樹種の価値はわからない。何に利用できるのか、用途と市場価値を知ろう。
■生態的特性がわからなければ、施業への応用ができない。どんな立地に生えるのか、どんな場所に更新するのか、どんな成長の仕方をするのかなど、生態的な特性を合わせて知ろう。
■冬芽の開葉の仕方、シュートの伸び方、長枝と短枝などで樹形が作られる。樹形は、その樹種の生き方を代弁する。樹形と樹種特性の関係を理解し、樹形を見ることで樹種の特性を類推できるようになろう。
などなど。
今年度の初回は、高山市の落葉広葉樹林での実習を予定していましたが、あいにくの台風接近に伴う荒天のため、教室での実習になりました。
急遽、授業前に演習林などを回って集めた枝を使っての実習です。なので、今回は生えている場所や樹形、樹皮をセットで見ることができなかったのが残念です。その反面、1日4コマ分がっつり腰を据えて取り組むことができました。
次回も落葉広葉樹林に出向いての実習を予定しています。そのとき、今回の実習で得た知見をどれだけ蓄え自分のものにしているのか、見てみることにしましょう。
by 横井秀一