2014年11月7日金曜日

加子母の山づくりに学ぶ「美林萬世之不滅」

働く意欲を評価する加子母森林組合を訪問


  JIRIです。林業再生講座として、中津川市の加子母森林組合を訪れ、内木組合長から地域の
森林組合が何を目指し、どのような事業展開をしていくべきかを学ばせて頂きました。

「美林萬世之不滅」・・・これは加子母森林組合の山づくりの考え方です。
 
  林齢の異なった色々な木が配置され、草花や木の実があふれ、小鳥や動物、昆虫が棲み、
豊かな水を育む『美しい循環型の森林』を育て護っていく意思を表した山づくりの理念です。

 加子母の植林は明治42年に始まり、平成3年頃まで続けられました。
森林組合は住民との協働による「美しい森林づくり」に取り組んでおり、災害に強く、生物層が多様
な二段林や三段林づくりを推進しています。

 平成6年からは択伐方式の複層林づくりに取り組んでおり、新植はなくなりました。

 組合が抱える森林技術者は月給制の「グリーンキーパー」と呼ばれ、平成24年からは「前年度
実績を基準とした給与制度」を導入しており、働く意欲を評価しているのです。

 林業の相手は海外にも、[kashimo style」では英語で加子母の山づくりや木材、加工技術を紹介。
バンコクでの商品説明などもされている。

 

 加子母森林組合は民有林でしか仕事をしていません。そして加子母中の森林をGISシステム
を導入した森林管理システムとして動いています。

 傾斜が35度以上の傾斜分布も表示し、作業を解説の指針にしています。


 自前の木工加工だけでなく、地域内の木工所とも手を組んで、学童机などの製造・販売も
手がけています。

 実は、森林文化アカデミーの開学時にも、学校使用備品の一部を加子母森林組合さんに
お願いしていました。


 製材工場や木工所から発生するおが屑や木片でブリケットにして、薪ストーブ用の燃料として
販売しています。

 ブリケットはペレットとは違い、2cmくらいの大きな木片でもそのまま利用でき、含水率も20%程度
で充分なため製造しやすく、薪ストーブで燃やせるのが利点です。


 自前の原木市場では、地域材をどのように集め、どのように販売すべきかについてもお話し
して下さいました。

 年間20回ある市ではメインのヒノキだけでなく、1月は「松の市」としてアカマツを中心に販売する
とのことです。

 前回の市で出品されたスギ丸太、年輪は予想以上に大きいのですが、年輪が均一であるため
7万円/m3で取引され、多くのヒノキよりも高値で取引されたとのこと。

 どのような年輪構成の丸太を育てるべきか、学生はヒントを得たようです。


 市場の横には樹木成分等抽出加工装置があり、特別に施設を見学させて頂きました。
巨大な水蒸気上流窯が並び、そこにヒノキの葉を入れることで、抽出成分が得られる。

 一部はゼオライトに含浸させ、鮮度保持材として利用されています。


 抽出成分を利用した「桧葉水」は加子母森林組合直売所、「もくもくセンター」でも販売されて
いました。

 学生は早速、購入して入浴剤とするようです。


 最後に尾張藩の「山守」であった内木家へ、

 組合長さんのお計らいで、急遽訪問させて頂きました。門の前には巨大なカヤの木がお出迎え。
江戸時代の山の管理について、20代目当主の奥様からご説明をいただきました。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。