なんで、枝葉ごと果実が落下(落果)しているかご存じですか?
これは樹上からの贈り物(コナラの玉手箱)です。
実は、これは樹上にいるチョッキリのお母さんの仕業です。
チョッキリとはドングリに産卵するオトシブミ科の甲虫です。卵を産みつけたドングリのついている小枝を「チョッキリ」と切り落とす習性から、この名がつけられました。
このあたりでよく見かけるのは、ハイイロチョッキリですが、今朝は見つけられません。
写真のように見事に小枝が切断されています。
ハイイロチョッキリはコナラなどのドングリ類に産卵しますが、詳しい生態は伊澤和義氏の”オトシブミ・チョッキリの世界”に解説があります。
ハイイロチョッキリの特徴は、第一にドングリの殻斗の端からドングリ自体に産卵孔を開けることです。ドングリなどは専門的には「堅果」と呼ばれますが、この堅い殻の中でもどこが最も柔らかいかを知っていて、最も堅い部分が薄い殻斗の端に孔を開けるのです。
第二に、未熟なドングリや葉がついた枝ごと切り落とすことです。しかし、これもよく観察すると、樹上には切り落とさないものも見られます。
コナラであれば、枝ごと落ちていて、かつ殻斗の端に穿孔していればハイイロチョッキリの仕業です。
ハイイロチョッキリは秋に老熟幼虫がこのドングリから脱出し、土中で幼虫態で越冬して、翌年になって蛹化し羽化するのです。
以上 ものずき 川尻秀樹 でした。