初日は、法政大学の白井信雄先生の「森と人を活かす山村再生~山村マーケティング調査と取り組み事例に学ぶ」という基調講演の後、全員参加で山村再生のためのアイデア出しを行った後、3テーマに絞ってディスカッションを行いました。テーマは「山村再生の目的とは」/「これからの山村の仕事づくり」/「山村と都市をつなげるには」。どれも簡単に結論の出る課題ではありませんが、さまざまな分野の研究者、東北から沖縄までの森林組合スタッフ、都市のマーケティング機関、林野庁の政策担当者など多彩な顔ぶれの議論の中で、これからの山村再生を示唆するヒントが見えていたように思いました。熱い議論は夜の懇親会まで続きました。
2日目は、岩手大学の山本信次先生から滝沢演習林を歩きながら「地域性を踏まえた森林管理とその利用」について野外講義を受けました。東北・岩手県の気候地形の特性と、歴史的に人の働きかけによって特徴ある生態系が生まれた背景を踏まえて、科学性と歴史性をふまえた森林管理・地域づくりの目標設定や意思決定のあり方について、分かりやすくお話いただきました。
森林文化アカデミーでも今年度から「山村づくり講座」がスタートしました。これまで地域林業研究会、里山研究会、インタープリテーション・環境教育研究会で積み重ねられてきた「地域づくり系」授業の遺産を引き継ぎながら、中山間地域再生に向けた多様なプロジェクトの企画運営、限界集落問題の調査研究や人的支援など、アカデミーに期待される役割は沢山あります。全国的なネットワークや県庁事業とも連携しながら、これからの時代に必要とされる新しいカリキュラムを創っていきたいと思います。 (記:嵯峨創平)