今回も県森林組合連合会顧問で、NACAパートナーズ代表の中島義雄先生を中心に、川尻がサポートしながら授業を展開しました。
最初に、前回演習林小班を測量した結果をパソコン入力してデータ解析します。コンパス測量の精度が誤差が1/100よりも少なくなることを願って、測点数60点程度のデータを入力しました。
計算ソフトに、測量した小班の作図も出てきましたが、なんと精度は誤差約1/500の班もありました。しかし一部の班は1/100よりも誤差が出てしまいました。
この測量データを演習林の航空写真に現場貼り付けします。
写真で青線で囲んだ部分が測量した小班です。この対象地の林況を林分調査する必要があるので、再度演習林に向かいます。ここでは2mの測量ポールと輪尺、測高器を利用して、ラインプロット調査をします。
ラインプロットとは例えば直線で25mとり、その直線上を歩きながら2mのポールを左右に振って、ヒットした立木のみを測定すれば、100m2の立木を標準値調査したことになります。
また、この方法ならば斜面の垂直方向に測ることで、斜面下部と上部に生育する立木の成長差が相殺されます。
標準値の測定はDBH(胸高直径)とH(樹高)、生枝下高です。生枝下高は丸太としての販売価格予測にも利用されます。
演習林での測定が終了したら、こんどは情報処理室で再度データ解析です。現場の小班は平均すると1050本/haの立木密度で、樹高平均14mのヒノキが主体であることがわかりました。
次に、実測とは別の樹高測定について検討します。
最初に、木材として利用することを第一に考えると、樹高10mの立木は利用できるところがほとんど無く、樹高20mであればある程度利用できることはみなさんでも容易にわかると思います。
しかし大面積の林分を対象として考えると、そのすべてをプロット調査するのは非現実的です。
幸いにも岐阜県は5年前に岐阜県全体をくまなく航空写真を撮影しています。そのデータを建設研究センターにお借りして、GISに取り込むことができます。
DSMによるGIS解析とDEMによるGIS解析をします。少々小難しいですが、DSMとは樹木で反射してきた値で、DEMとは樹冠を突き抜けて地面に達した値です。
これを用いて山のどの辺に樹高の高いものが分布しているか予測することができます。
森林文化アカデミーの演習林のうち、樹高25m以上の高木層があるところは今回測量した小班を中心としたところで、画面上では赤色系の樹冠層を示しています。ついで黄色系のところが15m程度、緑色系は10m程度となります。
このデータから、演習林では経営計画を立てて継続的に利用間伐できるところが少なく、演習林としての利用価値はありますが、経営計画上の利用価値は低いことがわかります。
さて、今回で最終回となりました森林GIS講座。なかなか奥深く、可能性も未知数だと感じるのです。
報告 ジリこと川尻でした。