2012年5月22日火曜日

クリエーター科2年生 林業再生講座 「木材の流通と販売戦略」 ~新たな木材流通戦略を考える~ を開催しました。

クリエーター科2年生 林業再生講座 「木材の流通と販売戦略」 ~新たな木材流通戦略を考える~ を開催しました。

 この講義は現在の木材の流通や販売方法を学び、そこに山側からどのような木材を搬出すべきかを学ぶ講義です。
 講義の主任はジリこと川尻秀樹、そこに岐阜県林政部県産材流通課、県産材需要拡大係の中通実技術主査をお迎えして、今回は講義、次回から木材販売の現場に出かけます。

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 中通さんからは現在、日本がおかれている木材流通の現況と、岐阜県の現況についてパワーポイントで説明を受けます。
 具体的には、岐阜県の森林資源、木材供給量(用材)と自給率(丸太換算)の推移、合板用素材の国産材、外材入荷量の推移、国産材の価格の推移、木材の生産、製材にかかる費用の推移などです。

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 近年、合板用木材の自給率は高くなっていますが、パルプ用材の自給率は減少しています。また、日本の製品価格は外国産に比べて製材経費と乾燥経費が高いことがネックになっている。

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 岐阜県の製材工場数を見ると326社と全国2位で、このうちJAS認定工場は22社、県産材使用率60%と高い。しかし多くが零細である。岐阜県内で最も多く製材する工場は年間20,000m3、次いで15,000m3と会社事例を出しながら説明を受けました。

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 岐阜県内の製材工場は(1)東濃桧を中心とした柱材製材工場、(2)柱・梁桁製材工場、(3)板材専門工場に分けられる。

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 林業再生の学生は、こうした川下の話を聞くことはないのでみな興味津々。川下で求められる木材を生産するために川上(山側)はどのような情報を得て、どのような対応をすべきかを考えます。

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 製材で嫌われる木材には、風などで木材内部に応力が加えられた「モメ木」、スギノアカネトラカミキリによる食害(俗に言う「枝虫」によるハチカミ)があります。
 三重県ではこうした木材を「あかね材」として、用途を提案する販売戦略をとっている事例を紹介。

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 次に、岐阜県産材住宅で使用されている梁・桁の長さを調査した事例です。一般に山側では3m、4m、6mの採寸で丸太を出します。しかし、梁・桁材では、6m材よりも5m材の方が多く使われている実態があります。
梁・桁専門製材工場に持ち込むならば、6mでなく5mにあわせた採材をすることが重要なのでは?

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 現在の岐阜県産材スギの木材性能を、曲げヤング係数で見てみると。丸太が太い方がヤング係数が低い傾向があり、細い丸太の方がヤング係数が大きく、強度がある傾向が伺えます。
これは、現在出荷されているスギ丸太の材齢がほぼ同じであるため太い丸太は年輪が太いということ、元玉よりも二番玉の方がヤング係数が高い傾向があり細い丸太には二番玉が多いことが原因と考えられますが、「太ければ強度がある」という見かけとは全く違うことがわかります。

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 年輪幅もしかりです。一般的にスギなら年輪幅が狭い方が強度が強いように感じますが、なんと年輪幅が広くてもヤング係数が大きくなって、強度が強い事例も多くあります。年輪幅で判断してはいけません。見かけで判断できないのが木材なのです。

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 とは言っても、梁・桁木材は年輪幅が広くても良いわけではなく、やはり均一な年輪成長をしている木材が一番です。
「製材工場や工務店が好むような木材を生産するために何をなすべきか。」それを考えて、施行できる人材が、この林業再生から育っていって欲しいのです。

 さぁ、次回も頑張って情報吸収しましょう。 以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。