2012年6月12日火曜日

お裾分け見学第2弾 森の合板工場

お裾分け見学第2弾
森の合板工場が中津川市加子母にできて、1年が経過する中で、学生が見学したのは初めてのことです。森の合板(協)の専務理事斉藤強氏に案内していただきました。
いろいろな方が見学に訪れているようで、アカデミーの説明をさせていただいたところで、内容にあった資料を配布していただきました。
工場内は写真撮影ができなかったので、皆さんには感想で、その内容をお伝えすることにします。

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最新の合板工場であること。そしてなによりも国内唯一の国産材利用による内陸型合板工場であることがその特徴であります。
また県内のほかの製材工場を含めても原木消費量がダントツに大きいことです。県内で最も大きい飛騨高山森林組合の製材工場で原木消費2万m3/年間に対し、10万m3ですから、その大きさに驚きます。その大きさは県内林業そして隣県の林業に多くの影響を及ぼしていくことにあります。

まずはトラックから降ろした原木の集積量に驚きます。温水の炉で蒸し、リングバーカー投入から始まります。4m材は中央で裁断され、カツラ剥き、一定幅の単板に裁断されるが、それは既に心材と辺材?に自動的に2分されているようだ。その後、長い乾燥ラインに投入されていくことになるが、その2分は乾燥前の選別として利用されているようにも思われる。

乾燥された単板の補修などを経て、この合板工場の最新型といわれる所以のラインに向かう。この箇所は外国製のセンサーを駆使して、含水率、ヤング係数、そして表面の節などの化粧面レベルを判定し、10程度あるランク別ストッカーに入ってゆく。
このランク別された単板が自動的に投入され糊付けされ積層。コールドプレスで一定時間、糊を馴染ませてアコーディオン型ホットプレスにてプレスされる。

この工場の主力合板は厚さ24mmのネダノンで、合板周囲の実加工が特徴のよう。納品各社の仕様に応じた寸法も受注しているとのことでした。

その後の斉藤氏との話の中で、アカデミーの学生が素材生産側の学生とみるや素材の選別に言及され、その選別にまだ問題があることを強調してみえた。
曲がりの矢高5cm以内規定について、まだ徹底していないとのこと。問題はバーカー投入時に5cm以上の矢高があると、くわえた反対側が振られ、その危険性を強調してみえた。(確かにその箇所は危険と判断され、見学しませんでした)。

自然の木を商品化することの意義は、商品化する側が使う側の問題をどこまで理解するかが重要であり、それを理解してこそ商品になることを認識とすべきと感じた。

この工場は林業の素材生産の根本を変えていく重要な位置づけとなっている。森林組合のシステム販売や民間市場の並材選別においても、この工場の要求する規格は、玉切りなどの決定因子ともなる。末口14cm上で元口径54cm以内の2m材及び4m材、いずれも矢高5cm以内としている。素材生産側もその値が何を意味するか?その理由を知り、現場を見聞きし理解することが重要ではないでしょうか。

岐阜県としての合板工場の製品の目玉はやはり、ヒノキ合板。同行した使う立場の建築の先生は、年輪がおとなしくシナ合板に代わる価値の高い製品を期待していて、その可能性を確認した様子でした。
でもそれで想定しているのは比較的薄い9mm程度のヒノキ化粧合板だと思うのですが、この工場のラインではどうなのでしょう? 
また、化粧のヒノキ合板が必要なら元玉が必要となりそうで、その価値が上がる効果が期待されますが、工場側では元玉といえば曲がりを懸念されるばかりで、繋がらなかったなと。やはり大手の合板工場だからでしようか。もっと深く、具体的にお互いの意見交換、調整が重要なのでしょう。

工場の詳細については木材情報2011/7月号に記載されています。