2012年7月20日金曜日

授業の一環で「岐阜県森林研究所 研究・成果発表会」参加

今日は授業の一環で、「岐阜県森林研究所 研究・成果発表会」に、エンジニア科
2年生とクリエーター科学生の一部が参加しました。

 引率は横井先生、久津輪先生、柳澤先生、玉木先生、そしてジリです。

 内容は、講演として
「人工林を広葉樹林にもどす可能性」
  ~ 実用化事業 広葉樹林化プロジェクトの成果から~ (独)森林総合研究所の田中浩さん

 森林研究所の研究成果として
「ヒノキ人工林における下層植生の回復を考える(渡邉仁志)」
「スギの造林を見つめなおす(茂木靖和)」
「作業道における表土ブロック積み工法の法面保護効果(臼田寿生)」でした。

最初の「人工林を広葉樹林にもどす可能性」
  ~ 実用化事業 広葉樹林化プロジェクトの成果から~




 人工林を間伐しても前生稚樹がいなければ広葉樹林化しづらい点や埋土種子
による発芽樹種は短命なパイオニア種が多いことなどを、わかりやすく解説され
ました。
 強度間伐しても、大きな前生稚樹の有無が大きな鍵となり、強度の間伐は稚樹
や実生の生存、成長に大きく影響する。
 また、散布種子による侵入可能性を決める大きな要因として、周囲の広葉樹林
の分布に加え、種特性(散布型、種子生産量、豊凶)が重要とのこと。

 
 

広葉樹林かできるところはどこか?

 通常、一回の強度間伐で更新・定着した広葉樹はその後の成長や定着が望める
とは限らない。
 強度間伐は有効だが、将来的には繰り返し間伐によって、混交単層林に誘導する
考えも必要。


「ヒノキ人工林における下層植生の回復を考える(渡邉仁志)」
 
では、


ヒノキ人工林の面積、蓄積が全国2位の岐阜県ならではの考察です。
 ヒノキ人工林では表土流亡が大きな問題です。林地表面を被覆する植生を
発生させるための間伐はどのような間伐か?

 通常の3割程度の間伐では、表土流亡を抑制するほどの植生回復は望めない。
しかし、5割以上の強度間伐や群状間伐は間接的に表土流亡抑止に貢献する。


「スギの造林を見つめなおす(茂木靖和)」では、

下呂市にある下呂実験林。そこの品種比較や本数管理比較実験林のデータ解析
からの検討です。
 上の写真のように、初期成長の良い品種、初期成長の悪い品種、生長量がほぼ
一定の品種など、品種による成長特性があります。

 本数比較実験林の結果から、当初の植栽本数2000本/ha、3000本/ha、
6000本/haの3つの形状比で比較して、冠雪害を考えると2000本/haの形状比
が良いこと。
 また、植栽1年、2年後の施肥効果を見ると、直径成長に有効に働くことなどの
報告がありました。


 最後に、「作業道における表土ブロック積み工法の法面保護効果(臼田寿生)」
では、

 作業道開設時の表土ブロック利用を熟練者施工、初心者施工、表土なしの
心土施工に分けて、法面保護効果について報告がありました。
 熟練者と初心者では、単に施工後の植被率が同じでも樹木が発生するか
シダ類のみかの違いがあったり、熟練者施工は被度の回復が早い傾向が
見られ、表土ブロック積み工法は盛土の法面保護対策に有効であることが
わかりました。

 さて、学生ですが、こうした発表会を経験することで、自分たちの課題研究
の進め方、理論展開、結果と考察、発表方法を学ぶのです。
 みなさん、明日から夏休みですが、課題研究への取り組み、頑張って下さい。

 以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。