2012年7月19日木曜日

郡上市内のヒノキ林とスギ林を見学


 7月17日にクリエーター科2年の講義で、郡上市大和町にある、様々な施業を
行いつつ、いろいろな試験も行っているという森林を見学しました。
近くに母袋(もたい)スキー場がありることから、雪が積もる地域であることがわかります。

 最初はヒノキの森林を見ました。林齢は約100年生であると先生から解説が
ありました。樹高は平均30メートルですが、胸高直径は平均40センチと細いのが
印象的でした。上を見上げると現状では樹冠どうし間隔があるように見えますが、
ここまで成長する過程での手入れが十分でなかったことが直径が細い主な要因との
ことでした。
 下層の植生についても、シロモジ、アオキなどの耐陰性の強いものはあったのですが、
一定以上の成長が光量不足で一定以上に成長できずにいるのが見受けられました。
また、アオキについてはシカに食べられた痕跡が目立ちました。




 ヒノキ高齢林に続いて、列状間伐を行った現場に入り、先生から投げかけられた
質問に対して各学生が意見を述べました。
 列状間伐はスイングヤーダ等の架線集材をするには効率いい方法と思いますが、
今回見学に入ったヒノキ林ではS字に曲がる保残木もあり、ちょっと疑問に感じる部分も
ありました。



 次に、スギ-スギ複層林の現場に入ったのですが、まずこれはちょっとね・・・という
具合でした。下層木が成長するのに十分な光量がなければ、この施業方法を維持する
ことは非常に困難になってきます。今ある下層のスギを見ても、幹が細いうえに、
樹形もスギに特徴的な尖った形状ではありませんでした。

 《教員からの補足 》 二段林の場合、それは更新技術であって、二段林の形を維持する
ことが目的ではないはずです。したがって、スギを樹下植栽してから20年近くも上木を
伐採せずにいること(すなわち、更新を果たさずにいること)は、その目的からして
ありえないはずです。
 しかし、日本中に、このような状態になった複層林を見ることができます。そもそもの
目的をきちんと考えずに樹下植栽をした、残念な結果です。



 気象害の実情も、説明していただきました。近くにスキー場があることからわかるように、
 この森林がある場所は、冬季はかなりの降雪量があります。したがって、雪害が発生します。
列状間伐を行ったスギ林では、冠雪害による幹折れが発生したそうです。ただし、幹折れと
列状間伐との因果関係は何とも言えないそうで、気象条件や地形的な事も大きく影響する
そうです。

 また、スイングヤーダによる集材にも注意することが多いと、先生から伺いました。
実際に、スイングヤーダを用いた集材をした場所も見学しました。伐倒木をワイヤーにて
引き出すわけですが、それなりに重さのある物がズルズルと引かれて、保残木に当たって、
その幹に傷を残したりすることには注意しなくてはいけません。その傷跡を目にして、
これは非常に注意すべきことだと感じました。

 また、冬期に木の水分が凍結し膨張することで起こる凍裂がある木も見ました。


 林業を継続させていく中で、今は伐って出す時期ではありますが、そのあとには植えて
育てると行程がいずれきます。その中で、過去の経験を生かして行かなければ、日本の
林業の発展は難しいのかなと感じました。

 また、山に関わる人の歩調がある程度そろう必要があるとは思いますが、同時に、
先行する人も必要だと感じました。今回見学したような実験林が、各地にあると思います。
そういった場所で次に備えた実験をしていくことが今後の技術、知識の発展に欠かせないと
思いました。


 林業再生講座2年 石丸  (教員が、若干の補足と修正をしました)